あっけにとられるラストと続編への期待 - ジュラシック・ワールドの感想

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あっけにとられるラストと続編への期待

4.54.5
映像
5.0
脚本
3.5
キャスト
3.5
音楽
4.0
演出
4.0

目次

映像美にドキドキ

ジュラシックパークで起こったあの凄惨な事件から22年後という設定。新たに完全なテーマパークとして復活を果たした様子。その島、恐竜たちの生きている躍動感、爪や皮のリアルさもすごい。息づかいまで伝わってくるみたいで終始ドキドキできるだろう。さすがにCGも進化してるし、みんな見慣れてるから驚きはそんなにすごくないかもしれないけど、1993年に公開された最初のジュラシックパークを考えるとかなり進歩を感じるね。

ジュラシックパークの1作目の時の衝撃ってすごいものがあって、その恐怖と新しさが目立っていた。今作はその作品からの正当な続編のような形になっていて、ところどころにジュラシックパーク第1作を思い起こさせる遊びがある。たとえばあのジープ。懐かしい…それでまた逃げるんだ…22年経ってもジープという車は使い勝手が良くて愛されているんだね。そしてジュラシックパークの幕で教訓を思い起こさせつつ、ラストにティラノサウルス・レックスをぶつけるという流れ。まさに1作目あってこその物語になっている。これは第1作目も見てもらいたいってことかな、と策略を若干感じた。

流れとしては、安全なはずの野生恐竜パークが安全じゃなくなる、という分かり切った展開。その中で行動する人間の弱さはもちろんだが、今作を見ていると、第1作のジュラシックパークがいかに先駆的で未来の事をよくわかってつくられていたのかがわかる。22年前の時点で夢に描いたものが、現代で実現されていることも多いなーとか、そういう気持ちにもなりつつ、楽しくなる作品だ。

恐竜を調教するという新しさ

クリス・ブラッド演じる主人公のオーウェンは、いかつい系のイケメン。そんな彼はラプトル4頭の調教係をしており、彼らに対しては愛情と敬意を持ち合わせている様子。これは新しい展開だろう。昔だったら、人間ではないものとはわかりあえない・だからこそ恐怖するし惑う、ということをまず推したのではないだろうか。今作では、もちろん人間による出過ぎた好奇心がもたらす自然の恐怖や、人間ではない恐竜に対する恐怖ももちろん感じさせるが、分かり合えないこともないという期待もさせる。

インドミナス・レックスには遺伝子操作によってかなりの知能と能力が授けられていたため、もしかしたらインドミナス・レックスとですら何らかの意思疎通がされるのかと思ったが、そこはジュラシックパーク。本能に忠実に生きる存在に知能がついた、実に厄介な相手だった。開発者のウー博士は、難を逃れてさっさと島から脱出しており、2018年の次回作で恐竜と理解しあうようなところまで話をもっていってくれるのかもしれない。次回作もただの殺し合い・孤島での話にはまさかならないと思っている。さすがに飽きるだろう。可能性としては、今度は街で暴れますとか、ウー博士がなぜそうまでして恐竜の遺伝子操作にこだわるのかという秘密を別の視点で暴露してくれるとか、そういう可能性もあると思う。どちらかと言えばそのほうがおもしろい。

弱肉強食の考え方からいくと、恐竜と人間は食べる側と食べられる側にあたる。その前提を抜きにしてお互いに存在を認め合えるような、そんなことには…ならないよね、おそらく。

前作の続きなのに学習してない人間

ジュラシックパークを知る者。ウー博士は間違いなくその末路を知っていたのに、また同じことやってたくさんの命を犠牲にした。こればっかりは許せないけれど、ウー博士の研究を許したクレアもどうかしてるし、結局、興味本位で古代の生物をいじくって娯楽にしている人間がいくらでもいるってのが問題なんじゃないだろうか。

あの怖さを知っている人間は、生き残った人数からいってもごくわずか。伝えるには難しすぎるその規模のデカさ。知らなければまた同じように手を出す人間はいるんだよね。ザックとグレイも、叔母にあたるクレアの血が流れているからかわからないが、わざわざ進入禁止エリアに入っていくってダメでしょ。なんで「こっちはいかないで」と言われると逆に行きたくなってしまうんだろうね。もはや、こっちに行くと死ぬよ・命の保証は絶対にしないって書いといたほうがいいんじゃないの?そうやって煽ったほうが入る人が増えるのかな。もっと近くで写真を撮りたいとか?それならもう絶対どうにもならないように道ふさいでおくか、隠し扉にでもしてください。

ただの動物よ!

とか言ってるクレアと付き合うオーウェンの気が知れないよ。オーウェンはその危うさに気づいていたし、土壇場でレックスに懐柔されたラプトルたちの意識を取り戻せたのも彼のおかげ。オーウェンがいなかったら皆殺しだったわ。

常に危険と隣り合わせのはずなのに、慣れたら意識が薄れてしまう。管理している側が偉いと思ってしまうし、強いと勘違いしてしまう。人間のすごいところでもあり、バカみたいなところでもあるよね、こればっかりは。

恐竜が交信する

ただ図体が大きく、力が驚異的で、獰猛なだけではないのが今作のレックス。“知能”を持つということが最大のポイントだ。追跡装置を自分で外しちゃううえに、周辺に擬態して息を殺して獲物を待つ。そして食べる。それはゲームなんかじゃなくて、インドミナス・レックスにしてみれば普通の食事だ。最も効率的に獲物を誘い出し、そして喰う。そうやって生きていこうとしているだけなのだ。

邪魔をされればなぜうまくいかなかったかを考え、違う手段に出る。まさに敵なしの存在だった。まさか自分を攻撃してきたラプトルをテレパシーか超音波かわからないけど会話して懐柔するとは。自分より知能の低いやつを扱うのは簡単だ。レックスだってそう思ったからこそやったんだろう。なぜ食べ物を言うことを聞き従うのか?食べればいいだろう?とでも言ったのかな…ラプトルにとってのオーウェンがどんな存在だったのか?友にはなれなかったのか?悲しい気持ちになったよ。

どうにか土壇場でまた調教できたけれど、そこに愛とか、慈しみとか、そういう感情を持ってこれるのは人間だけだろうから、今後も同じように対応するなんてできない。「親が子を大切にする・子が親を大切にする」理論は通用しないと思う。

モササウルス!

ラストはびっくりしたね…まさかの第1作の最恐最悪のティラノサウルス・レックス(T-レックス)を解き放つとは…!第1作を知っていると「おおー!!」ってなったけど、ティラノサウルスの寿命ってだいたい30年くらいらしいから、相当なおじいちゃん。そりゃ勝てるわけがない。ラプトルもだめ、T-レックスもだめ…万事休す…じゃない!まさかのモササウルス!!水際にやってきたインドミナス・レックスの大失態!!水中最強!救世主!

まさかこんな幕引きとは思わなかった。そして最後のT-レックスの雄たけび。英雄っぽい…かつての最恐最悪だった生物の勝利。そしてそれに感謝せざるをない今を生きる人間。とても皮肉っぽいよね?かつて人間を殺した生物に、今度は救われることになった。

しかし、気になるのはその後のT-レックスをどうやってまた隔離したのかな?そのままそこに置いとくわけにはいかないじゃん?というか、あの島でまたテーマパークやるの無理じゃん?まさかそのまま放置するの?でもまあおそらくT-レックスはそろそろ寿命になると思うから、次の子孫が勝手に生まれることはないんだろうけどね。次回作ではそこでウー博士がまたやらかすのかもしれない。

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オリジナルのジュラシック・パークと映画の内容が同じ!?映画に込められたメッセージとは???

オリジナルのジュラシック・パークとあらすじがほぼ同じジュラシック・ワールドはとてもおもしろいですね。オリジナルのジュラシック・パークと比較してみると、ビジュアル的にもジュラシック・ワールドの方がかなり映画撮影の技術が発展していて映像が美しく、恐竜たちもかなりリアルに映ってますね。しかし、ジュラシック・パークとさらに比較してみると、、、、映画のあらすじ同じ!!!どちらの映画も、恐竜バージョンの動物園を建てるが、動物達が脱走して、みんなパニックになり、人間が動物達に食べられるというストーリ、、、なぜストーリが同じなのか?それは、単純に映画のヒットが必ず狙えるからでしょう。1990年代に撮影されたジュラシック・パークが大ヒットしたのだから、それと同じ内容で現代化された映画を作ってしまえば、ジュラシック・パークが大好きだった大人たち、そしてジュラシック・パークを見たことのない新しい世代の子供たちに...この感想を読む

4.54.5
  • Maria O'haraMaria O'hara
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