古き良き昭和のアニメ
基本的には救いようのないストーリー
化石の戦士という前後編のアニメが総集編で取り上げられ、化石の星で鉄郎と対峙した戦士の過去などが掘り下げられた作品だが、バッドエンドで特に教訓めいたものはないように思う。
子供用の絵本にもなった話であるが、子供がこの話から何を学べというのか、大分無理を感じる。しかし、この話はどういうわけか、999の中でも目立つ話として総集編になったりしている。
メーテルの言いつけを守らないせいでいつも痛い目に遭う鉄郎の行動が、人の言う事を聞かないから余計なことになるのだという教訓になっているとも考えられるが、よくよく考えるとかなり残酷な話で、なぜ子供用の絵本にまでなったのかよくわからないストーリーである。
慣れとは恐ろしい
999を見ていると、アンタレスの教訓じゃないが撃たれる前に撃てという感じで、自分の命は自分で守れという無法地帯で鉄郎は旅をしていて、それが当たり前になっている。
私たちもいつしか、10歳の鉄郎が、たとえ相手が悪い機械化人などであっても、殺人を行っていることを単なる悪者退治という感覚で見てしまい、なんとも思わなくなってしまうのが恐ろしい。
化石の戦士についても、放送当時に見た時は、性根は悪くないとはいえ鉄郎を監禁したりパスを盗む戦士が、わざと鉄郎に勝負で負けるよう仕向けたところで自業自得だという気持ちもあった。
しかし、今思うと10歳の子供に自分を殺させるというのは余りに残酷ではないだろうか?
しかし鉄郎は戦士殺害後も機転を利かせて恋人の化石と遺体を並べてやったり、無事化石化ガスから脱け出したことに喜んで祝杯をあげようと飲酒まで求めている。
飲酒や殺人はテレビ版999には珍しい描写ではないが、冷静になると慣れがその異常性を何とも思わなくさせていたかもしれない。
未来を託される鉄郎
鉄郎はたまに停車駅の惑星で、未来を託されることがあるがこの星でも例外ではない。正義感の強い鉄郎の事なので、何とかしようという意思はあるだろうし、何といっても背中に大きな傷をつけられたインパクトのある星なので、この星のことを忘れることはまずないだろう。
ただ、ナレーションでもその後のことはわからないため、鉄郎が化石化を元に戻す方法を突き止めたかは不明であり、戦士との約束を守ったかは定かではない。どうもテレビ版の鉄郎はできもしないことを安請け合いで受けてしまうような一面もあるので、なんとなくこの星はこのままなのだろうなと思えてしまうのが悲しい。
余談であるがこの話では、999のコアなファンには、666が脱線した999をけん引するシーンが魅力的だと思った人もいることだろう
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