親子の在り方
これはファンタジー
ある家庭の年頃の娘との接し方に悩む普通のサラリーマンと、娘である普通の女子高生がひょんな事から入れ替わってしまうことから始まるお話。
まず、設定としてありえない話だが、最終的にお互い知らない所で日々頑張っているんだと再確認して和解してハッピーエンドという非常にシンプルで分かりやすい内容。色々深く考えずにコメディと割り切って楽しむにはもってこい。
舘ひろしの名演
なんといっても見所は、中身が女子高生になったおじさんをコミカルに演じている舘ひろし。
正直いって観ていられないのではと思ったが、これがまた可愛く見えてしまうから不思議だ。女の子言葉を使い、内股で女の子の仕草で振舞う舘ひろしは必見。
リアルな話
父親と娘が不仲な家庭はよくある。私も中学高校時代はまさにそうだった。幼少期はそれなりに遊んだり会話したりしていた記憶があるのだが、何がきっかけか過剰に毛嫌いしていた。一緒に食事をするのも、同じ部屋に居るのも、話をする事も嫌だった。
しかし、働く父親は好きだった。自営で大工をしていたので、毎日の様に働く姿を見ていた。職人気質で頑固一徹だが、一切手を抜かず家づくりに魂を込めているとよく母親から聞かされていた。素直に尊敬していた。入れ替わるのは勘弁だが、家庭内の父親の顔と、外で働く社会人の顔は違う。
その偉大さに気付けたのは、自分が社会人として働き始めてからだった。当たり前の様に不自由なく育てられとても恵まれていた。それがどんなに幸せなことか、恥ずかしながら大の大人になってやっと気付いた。大切なのは遅かれ早かれ相手の思いに気付けるかどうかなのではないか。
作品では、入れ替わる事によってそれぞれの苦労や思いを知るうちに絆が生まれたが、そんなことしなくてもほんの少し相手の立場を想像して思いを汲み取る思考を持てば、きっと今まで以上に優しくなれるはず。
それが家族ならばなおのこと、相手のささいな愛情を汲み取ってあげることが出来れば、それだけで幸福になれると思う。家庭内が幸福なら、しいては世のため人のためになるのかもしれない。
大袈裟な話でなく、豊かな心を育むことが出来るのは、両親の愛情なのだ。これだから親になったら大変だが、我が子に無償の愛をもって如何なる時も接する事が親としての使命かもしれない。きっと親の思いは子どもに受け継がれ、子もまたその愛に応えたいと思う時が来る。わたしはそう信じたい。
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