ハマる人にはハマる映画 - ジヌよさらば 〜かむろば村へ〜の感想

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ジヌよさらば 〜かむろば村へ〜

3.253.25
映像
2.75
脚本
3.00
キャスト
3.75
音楽
2.75
演出
3.00
感想数
2
観た人
2

ハマる人にはハマる映画

4.04.0
映像
3.5
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
3.5
演出
4.0

目次

個性豊かな俳優たち

主演の松田龍平始め阿部サダヲ、西田敏行に松たか子、個人的に大好きな片桐はいりまで豪華な俳優たちが集結した映画です。
パッケージを見て面白そうと思ったわけではなく出演者を見て面白くないわけがないと思って手にとった作品。
やはりベテラン俳優がいい味出していて冒頭から引き込まれて行きます。
松田龍平扮するタケはお金アレルギー。
そもそも金属アレルギーとは聞いた事がありますがお金アレルギーってあるの?
村まで来るのに公共交通機関使ったでしょ?とつっこみどころは満載ですがクールに演技します。
タケは過去のとらうまから逃げるように東京を離れ「お金を使わずに生活をする」と田舎の限界集落に移住します。
そして村の村長である与三郎(阿部サダヲ)の助けを借りながらも自給自足をスローガンに田舎暮らしをするというお話し。
よそ者を嫌う田舎の人がよく愛想もない挙動不審なタケを受け入れたなと田舎暮らしの私は感心しながら見てました。
ですがこの村の人々もタケに負けず劣らず変わっていて村から神様と崇められているなかぬっさん(西田敏行)が存在します。
ですが西田敏行が神様を演じるとなんだか本当に神様に見えてくるような感覚になるから不思議。
その他にも女子高生なのにすでにお金が大好きな若葉(二階堂ふみ)はパンチラしたりキスしたりなんだか大胆演技が目立ってました。
そして冒頭タケがからまれてしまう私なら避けてしまうチンピラ役に荒川良々など多彩な俳優陣が村のくせ者役を演じてます。
最初はほんわかと和やかな雰囲気満点の田舎映画ですが与三郎の過去を知るヤクザの多治見(松尾スズキ)が出現することによって物語がガラッとしまりました。
松尾スズキってルックスも普通のおじさんだし声張った演技するわけでもないのに登場するだけでリアリティが生まれるのが不思議です。
与三郎の妻(松たか子)にしたって普段は女優オーラが出ているのにこの映画では村に馴染んでいます。
この映画を見てると、そんな一人一人の個性が発見出来るのも面白いです。

丁寧に作られた作品

笑いあり涙ありというよりは笑いあり突然真顔ありというようなストーリー展開です。
しかも大笑いするというよりはクスクス笑ってジワジワくるタイプの笑いになってます。
ですが笑いだけではなく現代社会の闇も盛り込まれてます。
タケが村に来たのも都会のしがらみがから抜け出したいから、与三郎が村に来たのも過去の自分から新しい自分に生まれ変わりたいから。
そんな理由を持って村に引っ越してくるワケありな人って私の住んでいる田舎町でもよくあります。
本当に自然が豊富な田舎が大好きな人と逃げなければいけない過去がある人のどちらかといってもいいでしょう。
田舎に住み周囲の人々と新しい関係を築いていくと田舎に越して来た頃とは別人とような表情になっていきます。
人は一人で生きていく事は出来ず周囲の支えがあって生活が出来るのです。
その様子がタケを見ていると見てとれるので丁寧に描かれていると思います。
と思えば与三郎にそっくりの少年が出現します。
その少年は与三郎が昔他の女性との間に出来た子供という事実が発覚したりとワケあり度が加速していくストーリー展開も面白いです。
中盤ではヤクザの多治見が出現し殺人や暴行、強姦などそれまでの物語が一変するような重い内容が展開されていきます。
与三郎にはこのような過去があったのか、これから与三郎はどうなってしまうのかと考えずにはいられない展開です。
タケが今の生活があるのも常にタケを気遣う与三郎のおかげであり村の人々も村長である与三郎がいたから助けられた。
そんな与三郎の最大のピンチの時だから覚醒したタケや村の人々の団結力はこの作品の見どころとなっていました。

松尾スズキワールド

松尾スズキの出演作品は今までもたくさん見てきました。
松尾スズキが監督をした作品であるクワイエットルームにようこそはまさしく松尾スズキワールドだなと思っていたんです。
今回の作品をみてまたまた一癖も二癖もある松尾スズキワールド全開になっているなと感じました。
噛めば噛む程味が出ると言いますか一度見ただけでは掴みきれずもう一回見たくなるそんな作品になっています。
この作品を人気若手俳優を集めて映画化しようと思わないところも流石だなと思いました。
女性に人気の松田翔太ではなく兄の松田龍平にするところ、とびきり可愛くはない二階堂ふみにするところ。
きっと美形俳優達だとハズレるようなすごくシュールでアブノーマルな作品を作り上げています。
全てがリアリティがあるので入り込みやすく、舞台のようなドキュメンタリーのような映画のような感じでジャンル分けするには難しいです。
ただ下ネタ満載でバイオレンスシーンもあるので決して品がいいとは言えません。
私は下ネタが気にならないですし言葉のチョイスが絶妙で面白かったので笑っていましたが好き嫌いは別れると思います。
松尾スズキの独特なストーリー展開が理解出来ないと笑うタイミングもなく伝えたい意味が分からない作品になっているかもしれません。
っでオチは?と聞かれればどんでん返しもなく平凡な終わり方ですが松尾スズキの意図する内容はどう生きていくかに焦点を合わせています。
田舎の素朴な風景や田舎で生活する人々を言葉や表情で魅せる松尾スズキだから描ける最初から最後まで楽しむ映画です。

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他のレビュアーの感想・評価

原作の良さが伝わってこない作品

下世話が目立つ映画筆者が『ジヌよさらば』という映画を知ったのは、たまたま別の映画を観にいった際に、予告編を見かけたことに起因する。そこでは、松田龍平演じるお金恐怖症になった公務員が、お金の必要のない田舎へ引っ越して暮らす、という趣旨の説明がされており、その内容に興味を持って本作を観ることにしたのだが……実際に観てみると、そういった田舎暮らしに重きを置いた話ではなく、ギャグと下ネタがほとんどであって、そこに期待した筆者はだいぶ面食らってしまった。この映画の印象を一言でいうと、「汚い」に尽きる。断っておくが、筆者はバラ園のような様式美をどの映画にも求めている訳ではない。だが、『ジヌよさらば』の「汚さ」は、例えば滅多に人の立ち入らない隠れ家感のある公衆トイレを覗いたときのような、「うっ」と顔を背けたくなる醜さなのである。登場人物の品性、行動原理、映画としての映し方、何もかにもが汚い。きょうび...この感想を読む

2.52.5
  • すらりすらり
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  • 2048文字
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