地球環境と遺跡の大切さを考えさせる作品
伝説の勇者ダ・ガーンとは
勇者シリーズの第三作品目として放送されました。
前二作と同様に勇者が乗り物に憑依するというコンセプトは同じですが、今作では主人公「星史」が勇者たちの隊長として合体などの命令を出すという役割が盛り込まれています。
この形式は後の勇者シリーズにも取り込まれています。
時代を先取りしすぎた個性豊かなキャラクター達
サイボーグ、デブ、女王さま、オカマ、幼馴染、不思議少女、ライバル等といった登場人物がいます。
当時の作品としては盛り込みすぎなキャラクターの濃さです。
さらに後半になると敵キャラも半数以上が主人公側に寝返って協力してくれるので、敵キャラが好きな方も楽しめる作品になっています。
また、ラスボスも魅力的な要素の一つになっています。
話し合いの時、戦闘中のセリフ、そして最後に倒されたときに「これで死ねる」といった言葉から推察するにオーボスは自らの死に場所を求めて今まで侵略をしてきた事がわかります。
物語的に侵略された側にとっては堪ったものではありませんが、『死に場所を求めて』というのが個人的に好きな設定です。
後半に遺跡の重要性、地球環境といった子ども向けとは思えない内容に
今までの勇者シリーズと同様に『敵を倒す→新たな敵』の繰り返しで物語が展開していきますが、徐々に物語の質が変わっていきます。
後半に敵の目的が『プラネットエナジー』を手に入れる事、このエナジーを手に入れるために5つの解放点を探していたことが判明しました。
そこで敵は解放点の候補として様々な遺跡を調べていきますが、ある一つの遺跡が戦闘によって破壊されました。
この時、敵にスパイとして潜入していたヤンチャ―と遺跡を破壊する際に揉めることになります。
遺跡というのは『星に住む者たちが生きてきた証』だと、それを壊した星史に『星を守る隊長の資格がない』と叱責します。
全滅寸前での苦肉の策でしたが、この事が星史を悩ませます。
これが本作の重要なシーンの一つだと考えています。
今までの勇者シリーズなら主人公の命令なしに各自で判断して行動していました、しかしこの作品では隊長の命令が絶対です。
星史は『あの状況から抜け出すために遺跡を壊しても仕方がない』、『俺は間違っているのか?』と問いかけますが勇者たちは何も言ってはくれませんでした。
『星史に従って行動するだけなのだ』、このダ・ガーンの言葉が星史に重くのしかかります。
ただ敵と戦えば良いのではなく、星史がその行動の先の事を考えながら成長するのも物語の見どころの一つだと思います。
このあと星史は、図書館で遺跡の事について考えますが答えを見つけることが出来ません。
そこで本作のもう一人のヒロイン蛍からの助言、また深海での『地球の声』に思いふける事で星史は答えを得ることが出来ました。
それをまとめると
地球の歴史とは人、動物、植物など地球上で生きている全ての営みであり、その中でも人間の歴史とは昔どこかで生きていた人と今の人たちを繋げるものである。
つまり、遺跡というのは人間の歴史を考える上で過去と現在の人の精神を繋げる重要な要素という事だと私は考えました。
話は変わりますが、現実世界でも遺跡が破壊されたというニュースが少し前にありました。
その際、私はこの事を思いだし非常に残念な気持ちになりました。
また、本作では歴史だけではなく地球環境についても触れられています。
いくつか場面がありますが、私が印象に残っているのはペンギンとシャチのシーンです。
戦闘を終えて孤島で休息を取っていた時です、たまたま居合わせたペンギンの群れがシャチに襲われた時に星史が助けようと命令を出しましたが蛍によって静止させられます。
『自然の摂理を壊してはいけない』
『シャチはペンギンたちを滅ぼそうとしているわけではない』
『星で生きているものの定め』
蛍の言葉を抜粋するとこんなところです。
要は食物連鎖のことです。
『自然の摂理に人間が介入してはいけない』今では常識的な事になっていますが、放送当時はそこまで認知されていなかったことです。
どれもこれも、テーマとして難しいものを取り扱っています。
そのためか、ダ・ガーンは勇者シリーズの中でも人気が低い方です。
この作品で感じた事。
この作品が放送していた当時、私は幼稚園児でした。
地球環境、歴史といった扱いが難しいジャンルを取り入れた事で今までと違った勇者シリーズになっていて当時は全く理解できませんでしたが、ダ・ガーンが好きでよく見ていました。
そして、成長して改めて見返すとより面白い作品として見ることができ、当時は分からなくても改めて見る事によって違った視点で見えるようになったことで自分が成長していることを実感しました。
勇者シリーズとして評価が低いのは残念ではありますが、周りの評価が低くても私は勇者シリーズの中ではダ・ガーンが一番好きです。
私の記事に共感して頂ければ幸いです。
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