環境美化がテーマなのかと。
空白の才
バトルものの鉄板で、能力者同士のバトルに勝ち抜いたらご褒美があります。というのは当時流行った設定のひとつだと思います。その中でこちらの作品は最後の最後まで主人公が空白に何を書き込むのかわかりませんでしたね。しかも最初に驚いたのが、ごみを木に変える力という能力。あまり戦闘向きでないにもかかわらず、どんどん立ちはだかるライバルを倒していったこと、その能力の使い方に感服しました。仲間に加わるメンバーたちは、みな空白の才になにを書き込むのか決まっていましたね。
主人公の求める才は、ラストへの伏線だったのでしょうか。
重い設定を背負ったキャラクター達
思えば植木もあいも佐野も秀吉も鈴子も、ライバルたちも、みな若いのに重たい設定を背負いすぎでした。読んでいて悲しかったです。けれどもそれを救い出してしまう植木の存在。普段ひょうひょうとしていながら、仲間が傷つくと怒ったり、例え敵が相手でも怒ったり、助けたり。正義感の強さが、とても格好良くて。植木自身も本当は天界人だし父親は二人いるしで複雑なのに、それをみせようとせず前に進むさまが好感をもてました。そうやって、いろんなキャラクターが植木に惹かれていくのは納得です。
能力の使い方、主人公の能力がキー?
神候補に選ばれた子供たちは○○を××に変える力を与えられます。主人公の場合は、ごみを木に変える力でしたね。全巻を通してたくさんの変える力が登場しましたが、どれだけ読者である自分が知恵を絞っても、こんなにたくさんの応用は思いつきませんでした。元々の能力の基本構造から、応用、果てはレベル2。こうなると次はレベル2の応用がはじまり。作者の頭の中をのぞいてみたいと思いました。主人公が天界人であることが発覚してからは神器も使用でき、戦闘の幅が広がり、何度も何度も読み返しては、ここはこの能力と神器とあのキャラクターの能力があってこそなのだな、とようやく理解したり。
ここで初心にかえり、主人公の能力、ごみを木に変える力に話を戻します。一巻の初めの方からしたら、後半の怒涛のバトルは思いつきもしませんでしたが。ですので最初は、やはり実際問題としてある、ごみのポイ捨てが元のテーマなのではないかと思っておりました。ポイ捨てされたごみを植木が拾い、木に変えて自然に戻す。とても美しい行為だし、これは資源や公共の道路、公園、駐車場などにポイ捨てをはかる心なき方々への問題提起作品ではないか。と、感じます。
善意がなくとも、ひょんなことからそのような能力を手に入れられたら、最初は面白半分でも、美化の爽やかさ、緑を守ることに目覚めそうですね。
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