信念を感じないチープな実写化
なんなんだこのキャスティング
当時、原作の大ファンの僕からすると許せないキャスティングでした。
まずは国見比呂役の山田孝之。
あだち充漫画の主人公の絶対的な条件である、
「うすい顔」
これが絶対的に欠けていました。
次に国見比呂のライバル、橘英雄役の田中幸太朗。
強豪校の4番にもかかわらず
「すらっとしすぎ」
これがダメでした。もう少しフィジカルが強固でなければ。
さらに国見比呂の女房役(野田)の中尾明慶。
「デブ」「メガネ」
この2つがあれば万事OKなのに、なぜガリガリの青年をチョイスしたのか。
おかげでキャッチャー感と食いしん坊感がぜろ。僕の中では最大のミスチョイス。
そして、古賀春華役の石原さとみ。 全部許せませんでした。
「天然」「でも優秀」「圧倒的に可愛い」
はずの春華ちゃんが眉毛ゲジゲジのハスキーボイスの女子がやっていて僕の夢は儚くも散りました。
最後に雨宮ひかり役の市川由衣。
文句なしのハマり役。
・・・と当時の僕は思っていました。
でも今になって思うと、
山田孝之
→ 当時ウォーターボイズやセカチュウの主役を張る男。このドラマにスタッフが力入れている証拠。
田中幸太朗
→ 山田孝之と同じ事務所だからバーターな気がしてならない。
中尾明慶
→ 石原さとみと同じ事務所だからバーターな気がしてならない。
石原さとみ
→ 空前絶後の先見の明。
その後、驚愕の美女になるとは素人の僕にはわかりませんでした。
市川由衣
→ これを機に一気にブレイク。結果、ブレイクしそうでしない。
といった感じで、大人目線だとまたキャスティングの見え方も変わってきます。
作り手のことを意識できるような年齢になって、子供の頃のドラマを見ると、視点が増えているので新たな発見があって、色々な思惑が蠢く制作現場を想像することができてまた面白いです。
ダサすぎる野球の映像
野球部の僕からすると、それはもう信じられないくらい野球の動きがダサすぎました。
ツッコミどころが満載どころがツッコまなくていいところが存在しないぐらいの出来です。
投げる動作、打つ動作、補球する動作、全てがかっこ悪い。
にもかかわらず、当時中学生の僕の周りの女子はキャーキャーしている。これが許せませんでした。 (僕もキャーキャー言って欲しかった)
多分、野球部出身の方なら強く共感してくれると思います。
では、どうすればよかったか。今はもう大人なので対案無くして批判できません。
①野球の場面はほぼなし。
あだち充漫画最大の特徴である、甘酸っぱすぎる青春と恋模様、これがあればあだち充漫画の80%は楽しめます。しかし、ドラマH2は30%~40%程の時間を野球のシーンに費やしていました。ドラスティックに野球シーンを削っていればチープな印象は拭えたのではないかと思います。
②野球経験者のキャスティング
映画タッチでは斉藤兄弟が主役をやっていますが、2人とも経験者らしい動作で見ていて違和感なし。 当時、タッチの構想も決まっていたりキッズウォーの撮影で忙しかったとか様々な背景があったかもしれませんが、双子のどちらかを国見比呂役にしてもよかったのではないかと思います。
③野球動作を非連続的にする
一連の動きを習得するとなると一朝一夕では身につきません。
ならば、構えと打つ/投げる/捕る瞬間だけを練習して、編集で頑張ればそれなりの動作に見えるようにすることができたのではないかと思います。(コスパは悪い気がするけど)
いずれにせよ、"野球"というスポーツに対する工夫が感じられなかったのが、このドラマの大きな欠点な気がします。
CG技術の圧倒的低さとそこから見える現在の進歩
今見返すとびっくりするぐらいのCG技術の低さ。ボール変わってるやん、ぐらいの違いが見えて、よくあれでGOサインが出たなと思います。
ただ、逆に言うとこの約10年間の技術の進歩を感じることができます。
昔のドラマを見たときのあるあるなのですが、当時の光景が鮮明にフラッシュバックして、 ノスタルジックな気持ちになります。
学校や街の風景、髪型や服装、携帯電話などのデバイス、家の形などなど。時代の変遷を見ると共に、 自分がそれだけ年を重ねたのだと気づくとドラマどころではなくなってしまいます。
結局このドラマはなんだったのか
(おそらく)多くの方が原作とのギャップがありすぎて期待ハズレと言う気持ちに包まれたと思います。少なくとも僕はそうでした。
このドラマは、当時の大人達が、
「今後売れそうな若手、若しくは売り出したい若手を、実写化という一定数はとりあえず見てしまうドラマに出演させることで、流行を牽引していく世の中の中高生や20代に訴求したい」
「ひいてはターゲットを明確化することでCMの広告枠高めに売りたい」
といったことを目指した結果、商業的な要素プンプンになり、チープになってしまった作品なのではないでしょうか。
できればもう一度、"本気"で実写化してみて欲しいなと思います。
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