従来のバイク漫画とは異なるストーリー展開に期待
バイクへの先入観を払拭するような登場人物のキャラクター設定
まず、ジャジャという漫画は、イタリアンバイクの中でも古いレトロなもの、すなわち旧車のイタリアンクラシックバイクに着目し、どのような経緯で、そのデザイン、内部構造等が生まれたのかという点が詳細に描かれている作品です。この作品において取り上げているテーマである「バイク」については、どうしても、バイク好きな人間への先入観があるために、良い印象を有していない方も多いのではないでしょうか?
バイク好きな人間への先入観としては、
一般に、
- 周りへの迷惑を考えない
- 暴走族との因果関係
- ガラの悪い人間が多い
- 清潔感のある人間が少ない
などの印象が挙げられるのではないかと考えられます。
しかし、この漫画における主人公は、推定年齢30歳位の美人な独身女性と、推定年齢22歳位の見た目は普通のフリーターの二人です。このように、ジャジャという漫画において、バイクの良さ等について事細かに語ったり、油まみれになりながら試行錯誤したりするのは、上述した印象のバイク好きな人間とは正反対のタイプの人間です。そのため、バイクに興味のなかった人間にとっても、バイクという精密機器に興味を示しやすいようなストーリーの進め方になっていると考えます。
この点が、ジャジャという漫画が、それまでのバイク漫画と異なって、読者にとって作品の内容に入り込みやすくなっている最大のポイントだと考えられます。
ちなみに、
ジャジャという漫画に出てくるその他登場人物はといいますと・・・
- 元々バイクレーサーだった一人のしがない主婦
- 元々バイクレーサーだった上記主婦にライバル心をもった元レーサーもOL
- 主人公の師匠的存在の小汚いバイク屋
- バイク業界の裏事情にまで精通している人相の悪いバイク親父
- 若かりし頃に暴走族的なバイクの乗り方をしていた医者のおっさん
- ベンチャー企業の社長
などです・・・(笑)
登場人物の人間性に工夫を凝らして作品に入り込みやすくしているのがポイント
主人公である二人の人物は、作品を読む限り次のようなタイプの人間のように描かれているように思われます。
主人公はというと・・・
- 推定年齢30歳位の美人な独身女性:バイク屋を営んでいるためバイクについては誰よりも熱い思いを秘めている。そのため、バイクに関連する仲間への気遣いは、非常に優れたものであり、一番といったものだと思います。しかし、自分自身のこと、特に、自分自身の恋心的な気持ちについては何も気が利かないタイプの人間なのだろうと思えます。
- 推定年齢22歳位の見た目は普通のフリーター:バイクが好きすぎてバイク便のライダーを生業としているタイプの人間であると思えます。この主人公も、上記ヒロイン的位置づけの人物と同様に、バイクに関連する仲間への気遣いは、非常に優れたものであり、その仲間意識といったら馬鹿げているレベルのもののように思います。また、このフリーターについては、いわゆるムッツリスケベ的な思想の持ち主であるものの、自分の気持ちの表現の仕方は、赤点レベルといった感じです。
この漫画の中には、二人の主人公の恋話的なストーリーも随所にちりばめられているので、バイクしか描かれていない漫画と比べて読みやすいんじゃないかと思います。
また、他の登場人物の人間性は、以下の通りなのではないかと思います。
- 主婦:人の感情や、社会的な信頼性等のバランスを絶妙な塩梅で読み解くことができる。恋がらみに関しては、既婚者であるが故の、アドバイスもできる
- OL:素直じゃなく、一見自己中心的な人間のようにも思われるが、自分の周りにいる人たちが大好きなので、結局お願い事をやってしまうタイプ
- 小汚いバイク屋:いわゆるバイク野郎の真髄的な人間。ちなみに、ヒロインがかつて恋心を寄せていた人間
- バイク親父:バイクにまつわる歴史そのものを体現したような人物で、いわゆる仙人的な位置づけなので、的確なアドバイスができる
- 医者のおっさん:バイク屋にたまっているものの、本業は医者なので、大変常識人。若かりし頃に苦労しただけのことはあるのかな??と思わせる一面もある
- ベンチャーの社長:会社運営以外の面はポンコツ・・・
といった感じで、それぞれの登場人物の人間性が、絶妙な塩梅の設定となっているので、何か事件が起こった時のごちゃごちゃ感がいい感じに描かれていると思われます。
筆者がまとめているバイクコラムの読みごたえ
単行本には、各話のつなぎ目に、筆者がストーリーを進める上で調べ上げた内容について書きあげているバイクコラムが入っています。このバイクコラムは、バイク雑誌に載っている芸能人のコラムとは違って、大変読み応えのあるものとなっています。
実際、漫画中に組み込まれているバイクコラムは、ストーリーを進めるために、筆者が調べ上げたバイクヒストリーの余談等に関するものであり、裏事情を知ることができるものです。そして、このバイクコラムを読めば、筆者が、作品に登場する主人公のように、バイク以外のことに目がないのではないかと思うくらいバイク好きな人間なんだなということが非常によくわかります。
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