主人公の右往左往が悲しい - BLUEの感想

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BLUE

3.003.00
画力
3.50
ストーリー
2.75
キャラクター
2.75
設定
3.00
演出
2.75
感想数
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主人公の右往左往が悲しい

3.03.0
画力
4.0
ストーリー
2.5
キャラクター
2.5
設定
3.0
演出
2.5

目次

島っていいよね

島と東京。田舎と都会。ホームとアウェイ。対比としてはいい感じだなーと思います。島っていいですよね~…人は悩むと海を見る。自分が小さいことを思い知らされたり、癒されたり、さざ波の音に嫌なことも楽しいことも流れていく。で、別れ話を切り出すシーンにも、告白をしたいときにも、海ってピッタリなんですよね。なんでこんなに使われるんでしょう?森と海はともだちって言いますけど、森は暗くて影になることが多いし、海は世界がひらけて光の象徴である場合が多い。そう考えると、海って、「何も隠せない場所」って気がしてきます。だから、ポジティブでもネガティブでもどっちでも、正直な気持ちを打ち明けるのに適しているというか。さらに言えば、海はどこかと必ずつながっていて、離れていても近くにある気がしてくる。距離感覚を麻痺させる役割もある気がします。濡れ場にもよく使われるもんね。

とまぁ「BLUE」というタイトルから島や海の青のことを考えつつ、この物語について語ってみたいと思いますが、美海にとっては逃げれる場所が島にあるっていうのが始まりですね。もともとは島でヒカリ・菫・陽介と楽しく過ごしていた美海。それが家庭問題のゴタゴタによって東京へ引っ越さなければならないことになり、離れ離れに。母親にも愛されず、愛をくれたと思っていた学校の先生には裏切られ、島へ一人帰ることを決める。4人でまた楽しく過ごせる。そう思っていたのに、恋愛の渦に巻き込まれていき、島と東京のどっちが逃げ場かわからなくなっていく。どこに心休まるところがあるんだろう?みたいなね。爽やかな青とは裏腹に、スタートからダークな雰囲気…

ヒカリがかわいそうでどうしよう

ヒカリはですね、本当に美海一途で。大好きで大好きで、一生懸命思いを伝えるわけですね。だけど、美海は東京の大人の男の傷がありなかなか本当のところで理解しあうことができずにいます。それでもいいから、自分の隣にいてほしい。その気持ちに打たれてヒカリと美海は付き合うけど、東京の男から連絡がどうだとか、母親がどうだとか、陽介がどうだとか、菫がどうだとか、進路がどうだとかで…いったんお別れになってしまいます。おいおい、お互い想いあっていて、ヒカリはいつも美海のこと優先させて、待つ気でいるのに、美海はあっちへ行きこっちへ行き…かわいそうだよヒカリが!

だってさ、何年もせつなく片想いしてたわけだよ。それをさ、やっと叶ったと思ったら離れて、また来て、また来たと思ったらは?陽介?おーい迷走も甚だしいぞ!もう菫とくっついたほうが幸せだろう?と、思ってしまいました。ヒカリのことしか見えてない。ヒカリの幸せしか考えてない人がそこにちゃんといるよ?まぁ菫は奥手な分けっこう卑怯な奴なので、こいつもまた好きになれない…いい女はいったいどこにいるの?!いい男たちに甘やかされて、女たちは自由奔放・自由気ままに好き勝手やっているきがしてならないですよ。初恋のパワーってどんなにでかいんでしょう。というか、1回好きになってしまったら、その呪縛って結構すごいものがあるよね。なんか、大人になっても忘れらんないよね。好きになった人って美化されるんだよ。いつでも息を吹き返す気がする…

陽介は隙あらばって感じだよね

いや、ヒカリを捨てて陽介とくっついたらまじでどうしてくれようかとは思いましたよ?そしたら読むのやめようってくらいでした。序盤は。でも読み進めていくうちに陽介の男前がどんどん上がっていくんだもの。もう止められないよ!よく考えたら、菫がヒカリと付き合って、陽介は美海とで…いいじゃん…って思ってしまった!それでおさめたかった!!なんかもう陽介のほうが絶対いい男じゃん!って思った!常に先回り、気持ちの先を読んで行動してくれる。最初はなんか人妻を手に入れようとがんばっていた彼でしたけど、そんなことは過去の事。傷を癒しあう美海と陽介はお似合いだろうなと。ヒカリはまさに光。陽介はある意味別の光だけど(名前からしてそうだし)、影だよね。陽介にとっても美海は初恋の人だった…隙があったらいつでももらうつもりでいるよ?でも美海が幸せであることを心から願っているから…どんなポジションでもね。俺はここにいるから…女にとってなんて都合のいい男…!こんなごちそうはないでしょうね。そんな陽介を幸せにしてくれるのは、どうかもっと正直で、まっすぐで、強い女性でありますように。

一緒に東京に行ってくれて、余計なこと言わなくて、常に待っていてくれる安心感を持つ陽介。逆にいつもドキドキしなきゃいけなくて、まぶしくて、焦る気持ちが生まれるヒカリ。もともと性格の似ている陽介に惹かれる気持ち、対照的なヒカリに惹かれる気持ち。贅沢だよね~自分と近くても遠くても、人間って欲しくなるんだよ。

美海のどこがいいねん!

敢えて言おう。彼女のどこかいいのだろうか?彼女の境遇をたどってみよう。

母親に愛されず、学校では孤立し、何も信じられるものがなかった彼女の心に入ってきた先生。いつも島にいたころのことを思い出していた彼女は、東京に来て初めて愛された気がしていた。だけど実際には寂しさをごまかしあうだけの関係だと思い知らされた。そして島へ逃げ帰り、ヒカリに愛された。だけど菫に勝てないかもしれないとか、なんかよくわからん気持ちの差を出してきて、ヒカリと離れた。そして今度は陽介の誘惑をくらった…彼女は常に周りを振り回しています。島にようやく帰ってきたときのヒカリのセリフのいう通り!なんなんだよお前は!しかしこれもまた惚れた弱み…好きになったら許してしまう男心ってやつですね…

結局、美人な人ってモテるんです。しかもそこに憂いを持っているときたら、守ってやりたくなるし、開拓してみたくなるんですよね。自分にしか見せない表情をみせてくれないだろうか、自分のものになってくれないのかとか…安定感よりもドキドキ感優先みたいな。同じ女からすると、悲しみ全面押しの人には正直引くし、それでも強くあれ!と言いたくなる。自分が一番悲しいと思うんじゃねーよ。それを利用するんじゃねーよ!ってね。もうすっぱり別れて独り身もありだと思うんだけどさ、さすがに少女漫画的にどこかに落ち着けないとどいつもこいつもかわいそうだからね…

なぜか納得できないこの気持ち

ヒカリの元に戻ってきて、まぁ落ち着いてしまったわけですけれど、紆余曲折がどうにも納得しかねるというか。正直に気持ちを伝え合えなければ、それは恋人・家族とは言えないと思うからね。ウジウジしまくりの状況がいつ打破されるのだろうと8巻までずっと待ち続けたわけですから、疲れました。美人でアンニュイな女の魅力に取りつかれた男たちの惑いしか目立ちませんでしたよ。よかったところを言ってみるとするなら、そんな彼らのかっこよさを拝めたことかな。女のほうでいいことはあんまりなかった…女の悪いところばっかり見させられて、落ち込みました。自分もこんなもんだろうかって。女は男を振り回すもんだっていうけど、感情に左右されて生きるのってすごい嫌だなー…あほらしいじゃん。もっと真理をつこうぜ。そうでなきゃ、いつまでたっても働く女は不利でい続ける気がするよ…そしてもっと周りを見ましょうよ…それしか見えないの!!ってなんか…子どもみたいであほらしいじゃないか。

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ヒロインが嫌

豊かな島の雰囲気はいいのにね自然豊かでアットホームな島。そしてビルに囲まれてるせいなのか、ちょっと冷たい感じのする東京。それぞれの土地で起こる出来事の違い。そしてその感じ方の違いがうまく表現されている。山、海、川は、人間が感じている感情や、余計なことをリセットしてくれるパワーがある。だからこそ、迷った時には行きたくなる。別に都会に住んでいようが田舎に住んでいようがあまり関係なく、自然とその空気や流れる時間を求めてしまう。そういう気持ちは絶対理解できるから、人間は自然に逆らえるものじゃないって考えさせられてしまう。そういう場所では、なぜか素直になれてしまう。そして、そこに住む人間も素直である気がする。誰かに思いを告げるときも、どす黒い気持ちを吐き出すときにも、何も言わずにどーんと構えていてくれるから、美海だって島に帰ってこようと思えたわけだ。ところが、やはりどこにいようが人間というやつは...この感想を読む

3.03.0
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