ダイビングに興味を持つこと間違いなし『あまんちゅ!』 - あまんちゅ!の感想

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あまんちゅ!

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画力
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ストーリー
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キャラクター
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設定
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演出
4.50
感想数
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ダイビングに興味を持つこと間違いなし『あまんちゅ!』

4.74.7
画力
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
4.0
設定
4.0
演出
4.5

目次

優しいタッチで登場人物の成長を描く、ダイビング漫画

ダイビングと聞いて、皆さんはどんな印象を抱くだろうか。
海の中は何があるのか分からない未知の世界で怖い――ダイビングの経験がある筆者も、当初はそんな風に考えていた。もちろん、ダイビングには危険が付き物である。しかし、きちんと準備をして落ち着いて潜れば、あたり一面には素晴らしい海中世界が広がっている。青く美しい世界と様々な海洋生物に出会えるダイビングは、一度その魅力を味わえばまた潜らずにはいられない。海が好きで生き物が好き。そんな人は、是非一度ダイビングを体験してほしい。
この『あまんちゅ!』という漫画は、かつて『ARIA』で人気を博した天野こずえ先生が描く、ダイビングをテーマにした青春漫画だ。ダイビングって何だろう?と興味を持っている人はもちろん、現役のダイバーや趣味で潜っている人、誰にでも楽しんでもらえる内容になっている。どの巻でも、登場人物の心情が丁寧に、事細やかに描かれており、ダイビングを通して成長する姿は私たちに勇気を与えてくれる。


ダイビング部での活動

筆者が以前に通っていた大学にもダイビング部が存在していたが、本作の舞台は高校である。調べてみると、数は多くないが部活動でダイビング部がある高校は実際にあるようだ(主に水産高校や海洋実習のある高校など)。筆者が初めてダイビングを経験したのは二十歳頃。ダイビングを始めるきっかけとタイミングは様々だが、高校生の彼女たちの年齢でダイビングを始められるのは羨ましく、本当に素敵な環境であると思う。ダイビングを始めようとすると決して安くない費用がかかるが、これには作中の人物たちも現実と同様で、金欠の際にはアルバイトをしてお金を稼いでいる。何より、部活動に打ち込むダイバーの少女たちは毎日が楽しそうで、生き生きとしている。
登場人物たちは決して年がら年中潜ってばかりというわけではなく、本分は学生である。「日常、ときどきダイビング」というキャッチコピー通りに、友人や先輩たちと遊びを満喫し、ダイビングの知識を深めたり、人生において大事なことを教わったり、たくさんのことを学んでいる。前向きで一歩ずつ前進していく彼女たちを見ていると、読者も「頑張ろう」という気持ちになることだろう。
作者の天野先生が描く海中世界は幻想的だ。不思議にあふれて、きらきらと輝いている。それはまるで、少女たちの感性がそのまま現れたようだ。天野先生はあまんちゅを書くにあたって実際にダイビングを経験し、ダイバーの資格を取得したという。実際の取材に基づき、複雑に思えるダイビングの用語や知識を分かりやすく読者に伝えてくれるため、非常に勉強にもなる。


正反対のふたり

行動力があり明るく天真爛漫、だけど少し口下手で不器用なところもある小日向光。通称ぴかり。引っ込み思案で人見知り、人前で緊張しがちだけれども、負けず嫌いな一面も持つ大木双葉。通称てこ。
高校生になった二人は同じクラスで出会い、友人になる。ぴかりは既にダイバーで、休みの日には地元の海に潜っている程のダイビング好き。将来の夢はインストラクターだとてこに話す。一方てこはそんなぴかりを眩しく思い、彼女の持つ強さと優しさに魅せられる。ぴかりに誘われる形でダイビング部に入部したてこだが、やがて本気でダイバーを目指そうと躍起になり、消極的だった姿勢も少しずつ改善していく。
筆者もなかなか前向きな考えができないことが多いので、てこに共感ができる。だからこそ、本当に少しずつ、一歩ずつ前進していく彼女を応援したくなる。
ぴかりとてこは日常生活でも、ダイビングにおいても「バディ」の関係だ。互いの欠点を受け入れ、悩んでいる時はそっと背中を押してくれる。ぴかりとてこは読者に、「人生の大事なこと」をはっと気づかせてくれる。
どちらも欠けてはならない、あまんちゅは「ふたり」の主人公の成長の物語なのだ。


「過去と他人は変えられなくても、未来と自分は変えられる」

ダイビング部の顧問、火鳥先生の言葉だ。
過去に嫌なことや恥ずかしいことがなかったという人はおそらくいないだろう。私たちは度々、昔の出来事がフラッシュバックして落ち込んだり、あの時ああすれば良かったと後悔することがある。だけど、人生は悩みが尽きないものだからそれは普通なのだ。過去の経験は決して無駄ではない。これから、どのように行動していくかが大切なのだ。
天野先生が描くキャラクターは時たま、さらりと核心をついたことを話す。だけど、日常生活でそれに気づくことはとても難しい。心に余裕がなかったり、時間がなかったりするといつの間にか忘れてしまうこともあるだろう。あまんちゅは、当たり前だけどとても大切なことを私たち読者に教えてくれる。
ピリピリしたり、上手くいかないことがあった時は、肩の力を抜いてこの漫画を読んでみよう。ほっとする安らぎが詰まっているからだ。

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