元気とやる気を貰える映画
人生の再出発
この映画は、うまく行かない結婚生活に見切りをつけた母と、幼い子供の再出発を見守るような気持ちでスタートします。
女が一人で子供を養うことの大変さや、周囲からの偏見の目などは映画の中だけのことではありません。
そんなときこそ屈託のない子供の笑顔に癒され、頑張る力が湧いてくるものです。
この映画に登場する子役さんの笑顔はキラキラしていて、不安な現実を忘れさせてくれるようでした。
離婚に踏み切れずにいる人や、自分の生きがいについて考えている人、何かはじめたいことがあるけれど今一歩勇気が出ない人におススメできる映画です。
勇気・根性・愛など色々なことを感じ取れる内容になっています。
好きなことに没頭できる幸せ
母親役の「小巻」役を演じるのは、小西真奈美さんです。
小さい顔立ちに華奢な体、一人で子供を養っていくにはふさわしくない彼女だからこそ、その過程を見守りたくなります。
小巻はお弁当作りを得意とする女性です。
娘のためだけでなく、友人や知人の分までお弁当を作る彼女の姿はまさに幸せそのものです。
人間は誰しも何かしらの特技があるもので、その得意分野に時間を費やすことを苦と感じません。
とはいえ、好きなことを仕事にできる人はそう多くはないはずです。
好きなことを仕事にできる人に共通するものとして「運」や「タイミング」があります。
そういった意味で、小巻は人生の岐路に立たされ、「自分の好きなこと」を再確認することができたのですからタイミングが良かったのでしょう。
そして人には必ずチャンスがあるものだと思えてきます。
ですが、そのチャンスを掴む人もいれば、逃す人もいます。
この映画を見て、「自分の周囲にあるチャンスを見逃すな!」というメッセージも聞こえてくるような気がしました。
また、好きなことに没頭するためには周囲の協力が必要不可欠です。
この点においては、映画の中でも母親(倍賞 美津子)・友人・小料理屋の主人など多くの人の存在が小巻の協力者としてあります。
お弁当を作って売るために必要な場所の提供、商売をする上でこんなに恵まれた待遇はないでしょう。
世の中には、自分の好きなことで商売をはじめたいと考えている人がたくさんいます。
そんな中で、ネックになってくるのが「場所確保」の問題なのです。
損得勘定抜きで、人が美味しいといってくれるお弁当を作ることに幸せを見出したことが、「運」を味方につけるポイントだったのかもしれません。
ピュアな心は人を惹きつけるものだということを学ぶことができます。
小西真奈美さんは、ピュアなイメージが強い女優さんですが、映画の中で見せるひょうきんな表情や、激しい一面、そして子を思う優しい表情など、見ている人を飽きさせません。
学ぶことの大切さ
小巻は小料理屋の主人(岸辺一徳)から料理について学ぶというチャンスにも恵まれていました。
実際に働かせて貰う中で実体験として学ぶことは、後にお弁当屋を開業する小巻にとって財産となります。
人はいくつになっても学びが大切だと感じます。
学ぶことで人は豊になり、離婚によって失いかけていた自信も取り戻すことができます。
また、学ぶことは一人の女性が自分の可能性を切り開いていく糧となるのです。
そんな後ろ姿を子供は見て育つことでしょう。
何より、親が仕事に生きがいを見出す姿こそ子供の将来に良い影響を与えるものだと感じました。
夢を追いかける姿を追うのは見ている方も楽しいものです。
夢を諦めてしまうことは簡単です。
夢を追う中で苦労も挫折も味わうことでしょう。
だからこそ、幸せの一歩手前で手放してしまう人が多いのだということも感じさせられます。
映画の中では、そんな大変さも描かれています。
そのため、現実というものについても考えさせてくれます。
夢を叶えるということは、決してきれいごとではないのです。
人が自分の夢について聞かれた時、「私の夢はこれ!」と強く語れなくても、
夢とは「あ!これだ!」とある日突然気付かされるものでもあるのです。
ですから、今すぐに夢を語れない人にも是非見て欲しい映画です。
この映画を見ていて、人を喜ばせるということがどんなに幸せなことであるかが分かります。
美味しい料理を作ること以外にも、人は生きている中でたくさんの幸せを人に与えることができるのだと思います。
人に喜びを提供できるということがどんなに幸せなことか気付かされます。
また、離婚についても考えさせられる部分がありました。
この映画の夫婦は、離婚をしても、両者が子供との良い関係を変わらずに保っていこうと考える親であった点に救われたのです。
色々な事情で離婚する人がいる中で、当事者にしかわからないものがあり、他人はとやかく口を出すべきではないのだということも改めて感じました。
離婚をすることが、子供のためにも、夫婦のためにも幸せな選択である場合があり、この映画の中の夫婦はまさしくそんな夫婦だったのです。
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