保育士の鏡・詩春ちゃん奮闘記 - LOVE SO LIFEの感想

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LOVE SO LIFE

4.004.00
画力
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ストーリー
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キャラクター
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演出
3.83
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保育士の鏡・詩春ちゃん奮闘記

4.04.0
画力
4.0
ストーリー
4.0
キャラクター
4.5
設定
4.0
演出
3.5

目次

孤独のさみしさにつけこんで

孤児院で育ち、小さな子たちのお世話を当たり前のようにしてきた詩春ちゃん。そんな彼女が、いつものように保育園でお世話をしていたら、茜ちゃんと葵くんという双子の天使が詩春ちゃんと離れたくないと騒ぎ出す。そこから親代わりの松永政二さんの事情を知り、茜ちゃん、葵くんのベビーシッターとしてアルバイトを開始する…4人の時間限定共同生活。とてもかわいらしく、癒し系でした。詩春ちゃん、いい子です。健気です!本当の家族じゃなくても、誰よりも大切に想っているってことが伝わってくる、いい話ばっかりでしたね。

詩春ちゃんがベビーシッターとしてアルバイトができるようになったのも、松永さんがアナウンサーという仕事の片手間、子どもの世話が十分にできているわけではなかったからです。詩春ちゃんに家族がいないということも聞いて、同情しちゃったんだろうなーって思いました。茜ちゃんと葵くんが珍しく懐いている人だし、なんとなくかわいそうだし、子ども好きそうだし、優しそうでかわいいし?普通にベビーシッターとして雇える。それだけの価値があるよね。若いうちからできることがあると、得だなーって思いましたよ。ちょっとブラック目線ですが。詩春ちゃんと松永さんがここからどんなふうに心通わせていくのだろうかと、軽い気持ちで読み進めていったわけですが、まさか17巻という大作にお付き合いすることとなるとは…これだけのヒットにつながったのは、登場人物たちの気持ち、子どもの気持ちがとても丁寧に描かれ、自分が子どもだったときは…という想像も掻き立ててくれることで、様々な世代の方に読まれたからなのかなと推測されます。

松永さん誠実で素敵

松永さんがね、とても誠実なんです。いつでも想いがはじけ飛んでもよかった。だけど、そこまで足元がふらついている人じゃないんです。しっかりと自分の仕事のことを見ているし、茜ちゃんと葵くんを置いて出ていった兄のことも少なからず理解して、毛嫌いすることなく双子のお世話に奮闘している。いい人ですよね。もちろん、兄が帰ってきたときはどの面下げてきたんだってお怒りでしたが、それくらい双子のこと、大事に想ってるってことなんですよね。何より、一番のいい人確定シーンといえば、詩春ちゃんへの告白でしょう!今の松永さんと同じくらいの年になっても希望があるなら交際してほしいというお言葉…希望があるなら、ですよ?とても謙虚で、相手を思いやる言葉遣いだなと思いました。何となく両想いだってわかってても、自分のアナウンサーとしての立場や、詩春ちゃんの高校生という立場、いろんなものを考慮して、それでも君を手放したくはないんだよっていうやさしさ。人を大切にすることばかりだった詩春ちゃんに、初めて自分を大切にしてくれる人ができ、必要としてくれる人ができた。これだけでも彼女にとってはご褒美展開だけど、これだけ松永さん、いい人なんだもん。他の人は眼中に入るわけないでしょう。梨生ちゃんは先の見えない話に怒ってたけど…いろんな愛のかたちがあっていいよね。物語のテーマにもある、「終わりのない場所」ってやつこそが、詩春ちゃんにとってみれば至高の場所なのだから。

茜と葵の成長も垣間見れる

駄々をこね、泣き叫べば大人がどうにかしてくれる。何も知らない・何もできない小さな子どもたちは、そうやって大人を困らせます。当たり前のようにお世話をされ、すくすくと大きく育っていく。でもその中で、いつもありがとうって気持ちも育てていくんですよね。頑張っている人の背中をちゃんと見てる。子どもに快い気持ちをさせていれば、そういう背中を参考に育っていくし、子どもに悲しい思いをさせていれば、そういう背中を追わないように育っていく。どんな人でも、精一杯の愛情を注いで育てていれば、子どもってついてきてくれるなーっていうことがわかります。茜ちゃんと葵くん、お別れのときは本当に辛かったですね…でも、いろんなことを教えてくれて、助けてくれて、笑ってくれた詩春ちゃんのことが大好きだから、お別れのときにぐっと堪えて離れることができました。そして成長しても忘れない。愛情は返ってくるんだね。

また、詩春ちゃんの子どもへの声のかけ方も、参考にしたいなーっていうものが多いです。子どもの欲望を抑えるのに時に必要になる優しい嘘。個人的には、茜ちゃん葵くんたちの素朴な疑問に対する松永さんの真面目なアンサーも素敵だなって思っていましたが。子どもに言うことを聞かせるのって詩春ちゃんが言うような言葉が効くんですよね。知識のない子どもにもわかりやすく、ちゃんとつじつまの合っている説明。とっさにこういうのがすらすら~っと説明できることは、けっこう有用なスキルですよね。世の中のお母さん、尊敬してます…!

直哀れ

詩春ちゃんと松永さんが双子のお世話を通してどんな家族のかたちを見つけるか?それがこの物語の主軸にあったように思いますが、直もかわいそうだったなー…ずっと詩春ちゃんのこと好きだったのにさ、言わないんだもん。素直にならないとだめなんだって恋愛においてはさ。憎まれ口言ってる・周りに気持ちがばれているっていうのは中2までしか許されないって。しかも、だいたいのラブストーリーならけっこうもめるんですよ?やきもちどうのこの、年齢差を乗り越えることができずにお互いに譲り合いする、略奪される…なのにさらっとフラれて終わっちゃったらさ…物足りないよね。仕方ないとはわかっています。松永さんと詩春ちゃん、安定感ありすぎてゆらぎがないのです。物語がラブストーリーががっつりメインというわけではないので、甘いことばのささやきやら、ドキドキの吐息がー…!なんてものはまだまだ先のお話です。

成長してくれば、葵くんが完全にダークホースとなって襲いかかってきそうですよね。俺、いいところ、ダメなところ、全部知ってるよ?政ちゃんなんて関係ないし、遠慮なんかしないから…強引にきそう!松永さんが癒し系イケメンであるだけに、最高の対抗馬!これまたおもしろい展開になるに違いない。というかそうなるようによろしくお願いします。

続編も出ている人気ぶり

LOVE SO LIFELOVE SO HAPPYというタイトルで続編が登場しています。確かに、最終回の終わり的に、まだまだ彼らの行く先を教えてもらいたいというのが正直なところ。愛すべき双子の旅路や、松永さんと詩春ちゃんの紆余曲折、孤児院のみんな・直の行く末などなど…どんなことになっていくのか、目が離せません。できれば、松永さんには心のストッパーを外した姿を多めに見せていただき、葵くんとの争奪戦を繰り広げてくれることを期待しています。

詩春ちゃんって孤独な人でしたけど、ちゃんと5歳までは母親がいて、その母親の愛情をしっかりと覚えていましたよね。だから、詩春ちゃんはそれを頼りに子どもたちへ優しく接することのできる人に育った。やっぱりお母さん様様ですね~どんなに忙しくても、詩春ちゃんに愛をくれた人。こんな人間になりたいものです。茜ちゃんと葵くんにとっても、詩春ちゃんとの思い出は忘れられないものになっているはずでしょう。小さいうちの経験は、たとえ記憶が薄れていったとしても、抜群のインパクトを持っているものですから。自分の根底を作ってくれるというか。その気持ちを忘れないでもらいたいです。血のつながりがあろうがなかろうか、家族として一緒に暮らすっていいなーって改めて思わせてくれる作品です。

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