柳の恋、応援せずにはいられない - ラストゲームの感想

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ラストゲーム

4.504.50
画力
3.75
ストーリー
5.00
キャラクター
4.50
設定
4.25
演出
4.50
感想数
2
読んだ人
5

柳の恋、応援せずにはいられない

4.54.5
画力
4.0
ストーリー
5.0
キャラクター
4.5
設定
4.5
演出
4.5

目次

立場逆転恋愛

これはですね、柳がいかにバカなのか、そして愛しいやつなのかっていうのを切々と語ってくる物語です。よくある鈍感男子ときつめの女子っていう設定を真逆にし、鈍感女子とそれに翻弄されまくる哀れで愛しい男子っていう設定なんですよね。この立場の逆転具合が新しく、おもしろいポイントだと思います。序盤はだいたい柳の目線で事が進んでいきます。もちろん、柳目線、九条目線を行き来する感じではありますが。柳がどんなふうに九条の魅力のとりこになり、身動きとれなくなっていくかっていう話です。いやー…悶絶する萌具合でした。柳は金持ち・顔よし・頭よし・運動能力よしというトントン拍子な男なのに、それがまったくもって目立ちません。九条という女の前ではすべてが二番目以下になり、負かしてやって表情の崩れるのをこの目で見たいとあの手この手でがんばっていたのに、全部が空回りして、結局一喜一憂すべてを九条からもらっているんですね。ほほえましい…

一番愛しいなこいつ!って思ったシーンは、1巻に登場する、柳と九条のケータイを買うという初デートですね。もし苦情が誰かを好きになるとしたら、きっと家柄も何も関係なく、その相手自信を好きってことなんだろうな…と柳が回想して、

…いいなぁ そいつ

って言ってるところです。柳よ、早く気づけ。落とそう落とそうと思っている相手にすでに落とされているということを(笑)。餌付け以外に柳自身が必要とされていない感じがして、ちょっとかわいそうでもありましたね。九条にまったく悪気はないんですが、大丈夫。柳はちょっとナルシストだけど、十分いい奴だから、九条にとっても特別になってましたよ。

10年越しっていうのは新しい

だいたいは、中学校から高校、高校から大学といった形で、節目に別れていくかいかないかっていう描かれ方をしますよね。しかしこのラストゲームでは、出会いが10年前、そこからもうずっと柳が鈍感な九条に付きまといながら大学まで一緒に…ということになっています。おもしろい。確かに、片想いを打ち明けられずに大学まで…っていう流れ、実際あるんですよね。共感できるなーというところです。柳にとってはもう完全に特別なんだけど、九条にとってはちょっといい友達くらいのポジション。よく大学までそんな状態で通してきたなっていうくらいですけど、あまり友達と恋の話もしなければ、知識的に成熟しないので大学で花開くパターンって多いと思うんです。割と自然な流れだと思いますね。

大学に入るときには、お互いのこと、ちゃんと信頼している感じなので、時間の問題かなーって思いました。だけど1巻の終わりに、ようやくラストゲームが始まったんですよね…ますます柳が九条に翻弄されていくんだろうと思うと、もうにやける顔が止まりませんでした。

小学校のころから友だちらしい友だちもいなかった九条が、大学という自由な場に来て頼り・頼られる友だちを持つようになっていくことで、人間関係・恋愛模様を学んでいきます。楽しくもあり、もどかしさもあり、二人にどんなこれからが待っているのだろう?そう思わせるラストゲームの展開。見事ハマってしまいました。

鈍いやつが気づいてからの爆発力

もうね、とにかく九条がいかに鈍いやつか。これがすごいです。人から好かれる・恋愛感情の初歩も何もない、表情に豊かさもない。だけどとても理論的で、母親思いで、友だち思い。大切なものをただ大切にしたいと思っている。いいやつだなー柳は本当にいい奴と出会ったね~としみじみ。九条は母子家庭に育ち、お金がなく、母親に楽をさせたいという真面目な奴です。それ以外に生きていく目的がないって感じ。だから必要な勉強関連、家事関連は完璧にこなし、お友達関連は無頓着です。お友達との良き関係性なしに学校生活を送ることはちょっと無理だと思うので、最低限の事はやっていたんでしょうが…いじめとか、面倒な展開がなく、柳と九条の関係性に焦点を当て、メインは大学に入ってからのお互いの成長だったという…やっとか。それでも一生懸命考えている九条はかなり萌でした~今までどうやって接していたのかわからなくなるほど、意識しすぎて空回り。平常心ではいられなくなるのが恋ってやつです。九条自身も戸惑いながら、一番は柳が動揺しまくっているのが愛しいなと思いました。お互いにいつ気づく?いつ伝えられる?もはやパカップルフルスロットルで後半戦は展開しているので、周りのお友達たちは相当やきもきしたことでしょう。結局は柳が九条にベタ惚れであるため、何かおかしいことが起こってぎくしゃくしても、九条の笑顔さえあれば柳はコロッと騙されてしまう。女子か。かわいいやつめ…

横恋慕もお待ちかね

相馬くん、橘さん、いい仕事してました。柳と九条というバカップルのそばにいてくれてどうもありがとう。君たちがいなかったら彼らはゲームに終止符を打つことなんてできなかったはずです。ほんと感謝してもしきれないってくらいのポジションにありました。しかし、相馬くんはいい奴でしたね…かっこいいし、柳なんかより行動力があって、まっすぐで、一生懸命さが素敵でした。柳はどこか自分に対するプライドも捨てきれていないので、かっこよく決めようって感じが漂っているんです。終始ね。だからたまにイラっとくるんですよね。俺様野郎、何を言ってやがる、ただのヘタレのくせに!相馬くんの気持ちがわかるわー…柳はファーストインプレッションキラーで、その他は九条のことしか頭にない困った奴です。そこが愛しいんですが。

橘さんのエピソードも、かるーい感じでよかったです。ただ言わせてほしいのが…太ってたことなんか、どうでも良くない?今ボディが綺麗で、それでよくない?コンプレックス克服した自分をもっと褒めてあげたほうがいいですよ。過去は過去なのだから…ただ、綺麗になって男は全部落とせるんじゃいって思っているのは自意識過剰で残念な性格の持ち主。そこは純粋培養の二人に刺激を受けて、変わっていけたらいいですね。そんな自分と向き合えたこれからは、きっといいことしか待ってない。女子アナとしてますますのご活躍を期待したいと思います。

ハッピーエンドにココロオドル

柳と九条が結婚式を迎えられたこと、本当にうれしく思います…!案の定、すべてのプランニングは柳がやってくれたようでした。自分で選んどいてどうよって感じだけど、感極まる彼は、本当にかわいい…女子でした。何度泣けば気が済むのかというくらいの柳。九条のこと、九条の家のこと、美和さんのこと。全部自分が九条に好かれたくてやってきたことだけれど、それでも、関わった人間のことを大切にしてくれることとか、いろんな人の気持ちを鑑みて同じ気持ちになれるところとか。ますます女子としか思えない思考をお持ちな気がしますが、柳は本当に心優しきイケメンでした。憎まれ口をたたかず、九条のことを正直に褒めたりもできるようになって…成長したね。そして、柳がまたくっさいセリフで新たな勝負の始まりを告げ、物語はエンドとなりました。うまく持ってきましたね。でもセリフがあまりにキザなので、九条に一蹴されて最後までちーんで終わってもいいくらいでしたよ…

長い時間を経て、大切な人とゴールインできた二人。いい終わり方だったなと思います。好き好き~っていうよりは、人間として尊重するっていう姿勢がとてもよかったですね。地味に表紙の裏エピソードも楽しく、最後まで柳らしさ全開で、ファンの心をわしづかみしたことでしょう。

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かわいくてときめく柳の恋

乙女な柳くんの憂鬱このラブゲームは、鈍感女子・九条のギャップにやられたナルシスト・柳が、どんどん乙女心に磨きをかけて恋に翻弄されていく物語だ。たいていは鈍感な男子と乙女な女子の駆け引きを描くのが少女漫画ってもんだが、こういう感じで位置関係を逆にしていると面白みが増す。小学生のころから完全に九条に恋しちゃっている柳だが、それに気づかず(認めず)大学生になるまで来てしまった残念な男である。容姿端麗・成績優秀・スポーツ万能でお金もあるという柳は常にモテており、彼女も数知れず作ってきた。でもすべてにおいて九条に負け続け、勝っているのはお金のみ。餌付けで心をとらえているだけと言っても過言ではないのだが、九条に少しでも喜んでもらいたい・あわよくば勝利したい柳なのだ。彼女が出来たと言っても、そのたび九条に報告する柳のかわいさと切なさと言ったらぐっとくる。哀れで愛しい柳である。から回っているときほどう...この感想を読む

4.54.5
  • kiokutokiokuto
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