ジェーン・バーキンの美と、エゴン・シーレの絵画を堪能する名作!
ジェーン・バーキンの最も美しい時期!
ジェーン・バーキンと言えばセルジュ・ゲンスブールのミューズです。彼との娘であるシャルロットの母としても知られています。最近では、シャルロットの活躍に押されて、ジェーン自身はさほど派手に活躍はしていないようにも思えます。しかしシャルロットの活躍は、母ジェーンのイメージなしには存在しないのではないでしょうか。
若き日の母ジェーン、シャルロットの現在にそっくりなのです。まさに生き写しなのです。シャルロット自身も彼女の母のイメージに近づこうとしているようにも思えます。そしてそのおかげで、現在のフランス映画をけん引する、独特の女優として大成しています。
フランス映画の女優さんにはとても個性的な女性が多いのですが、ジェーン・バーキンもその中のひとり。
彼女は実は、彼との共同生活の前後にも、様々な映画監督のミューズとなり、名作に登場しているのです。この映画もその中のひとつ。ジェーンが最も美しかった時代の鮮烈な突き刺すような色気に溢れた印象深い作品です。スクリーンに現れた瞬間の緊張感、本物の女優には何か妖しい妖気のようなものがありますね。
立ち居振る舞い、貧しい環境の設定のこの映画でも、何か高貴なものを感じさせるのです。
彼女が現れた瞬間、私達はスクリーンにくぎ付けになります。
もとはイギリスの高貴な家柄の出身であった彼女。どんな役柄にも対応できる柔軟な女優でもありますが、それには「汚れたイメージ」にも負けない圧倒的な存在感と自信が裏打ちしているのだろうと思います。
伝説のエゴン・シーレの身近な肖像
エゴン・シーレと言えば、クリムトの弟子であり、社会からは隔絶されたような独特の生活の中で、独自の画風を完成させた不遇なアーティストとして知られています。豪華な生活に明け暮れたクリムトの絵画の世界。そしてその弟子であったシーレの豪華さとは程遠い悲壮な世界。しかし両者に共通するのは愛欲と陶酔の満ち満ちた「色香」です。動くシーレを見ることで、その秘密に近づくことが出来るようです。
画家の生活というのは、知らないものたちにとっては派手な生活のようにも思えますが、まさに貧困との闘いであったことがわかります。借金をしながら、絵の具代を稼ぐ。その日暮らしの生活で、周りのブルジョワたちの慰み者でしかないような最低限の保証もないような生活なのです。
エゴン・シーレの絵画にはその怨念のようなものがにじみ出ているようで、この映画を見る前には「ちょっと怖い」と感じてもいたのですが、その怖さに掛け合わせると、映画の中のシーレは比較的人間的で、手の届く存在のようにも感じ始めました。
私達となんらの変わりはない、とても普通の悩める人間なのです。
彼らが食べるもの、彼らが口にするもの、それを映像としてみることは、絵画ファンにとっては不思議な体験でもありますが、同時に嬉しいと素直に感じたりもするのではないでしょうか。
クリムトの存在もこの映画には欠かせません。
彼の残した名言や、数々の名画のイメージも映画の中で奔放に登場します。特にエゴン・シーレとの対比としてもイメージが鮮烈なのではありますが、それでもクリムトファンにとっても魅力ある映画なのではないでしょうか。
画家の生活と画家を支える妻の生活
画家とその妻とを描いた作品は多くあります。「モンパルナスの灯」なども印象深いです。
最近ではゴッホやターナーの映画などもさかんにスクリーンに登場しています。そこを鑑みると、画家の生活というのは、ある意味では私たちの興味を古今東西惹きつけてやまない類のテーマなのだろうとも思います。
そしてなぜだか、画家の人生には不幸で悲惨な人生が多いのも事実です。そんな画家を支える女性たちは、並大抵の苦労ではないのではないかと思います。
天才の周りには必ず「強い女性」がいる。
不思議な構図ですね。
そしてそれが画家の場合には、画家の芸術的なイメージを喚起するような美しさの持ち合わせたそんな女性でなければならないのでしょう。
日本では昨今漫画家とその妻を描いたドラマなども大ヒットしておりましたが、その構図としては、このエゴン・シーレや「モンパルナスの灯」などが原型なのだともいえるでしょう。
この作品を紐解くときにも、エゴン・シーレとその絵画を支えた女性の存在は特に見逃せません。シーレの絵には女性への賛美、たくましく、そしてかよわい女性への賛美があります。どのような女性たちの存在によって、彼の画家としての才能が開花していったのか、それを知りたいかたは必見の映画です。
芸術にまい進する男とその周りの女性。そこには貧しさと辛さがあるのですが、観ている私たちには「ほかにはない本当の愛」を見つけてしまうのだと思います。たとえどのような境遇に置かれても、愛した男のためならば、苦労をしてでも支えていく。そんな女性になりたいものですね。
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