映画製作陣が出したGANTZのPERFECT ANSWER - GANTZ: PERFECT ANSWERの感想

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GANTZ: PERFECT ANSWER

4.144.14
映像
4.71
脚本
3.93
キャスト
4.21
音楽
4.64
演出
4.29
感想数
7
観た人
9

映画製作陣が出したGANTZのPERFECT ANSWER

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

星人は本当に悪者なのか

前作の「おこりんぼう星人」が発したセリフで、「お前たちが先に攻撃してきた、だから復讐する」というセリフがあります。そして今作でも黒服星人が「先に攻撃してきたのはお前たちだ」と言っています。それに関してはそもそもの話なのか、おこりんぼう星人のミッションの時に、攻撃したのは確かに人間側からだったので、そのことを言っているのかはわかりませんが、「〇〇星人」と名前は別になっていても、「星人」というひとくくりの関係なのかもしれません。

ミッションということで、GANTZ部屋に集められた者たちが星人を倒していくのですが、よくよく見ていくと常に攻撃を仕掛けてきているのは人間側だと言えます(田中星人の場合はラジカセが子どもとぶつかって壊れたことを、攻撃ととるのであればですが)。星人が本当に悪者であれば、GANTZ部屋が存在しているいじょう、星人も存在していると仮定できるため、GANTZ部屋に誰も招集しないという結果にはならないと思われます。しかし、星人との戦いで亡くなった人を生き返らせ、GANTZ部屋にも誰も招集しないという結果になったということは、人間と星人との戦いの終結を玄野くんが犠牲になることで折り合いをつけたと考えるのが妥当なのかもしれません。そう考えると星人は存在しているというだけで、悪者ではなかったということだったのでしょう。

加藤の死をうけて大きく成長した玄野くん

前作とは全く違った印象となってしまった玄野くんです。前作の最後のセリフ「行こう」の中にもその片鱗がうかがえていましたが、前作ではただただ「イタイ」子だった玄野くんが、加藤の弟である歩の面倒を見ていたり、多恵ちゃんの協力を素直に受け取っていたりします。GANTZ部屋でもリーダーとしてメンバーをまとめていき、犠牲者を出さないようにみんなを引っ張っていっています。身近な人の死と、メンバーになった者たちの死を通して人との接し方に対する考え方が大きく変わったのかもしれません。

加藤を失ったことで特に遺された者の思いを痛感している玄野くんだからこそ、玉男になった時にみんなの記憶から自分を消し去ることで、誰も苦しまないようにしたかったのかもしれません。そしてその思いとは矛盾するかのように、多恵ちゃんに対してメッセージを残したのは、たとえ記憶を消したとしても多恵ちゃんだけには完全に忘れ去られたくないという玄野くんの正直な思いがあったのかもしれません。

多恵ちゃんの玄野くんに対する思い

前作はアクションが中心だったのに比べ、今作は玄野くんと多恵ちゃんの恋愛にもクローズアップして、ストーリーが進んでいきます。多恵ちゃんの告白で接近したかのような二人でしたが、恋人という関係までにはまだならず、かといって二人ともがお互いのことをとても思いやっている姿もみられるため、GANTZのことがなければ恋人同士になっていたのだろうなと思われます。そんな二人の微妙な距離感に、自分を重ね合わせてみる二宮さんのファンも多かったのではないでしょうか?それだけに最後の玉男になったシーンは衝撃的だったと言えるでしょう。

もし「本当に大切な人の存在自体がこの世界から消えてしまったら」、単純に考えれば存在があったことさえなくなってしまうので、喪失感だとか悲壮感だとかいう感情には支配されないですむというのが本当でしょう。しかし、本当にそうなるのでしょうか?近年では臓器移植を受けた人の中に、提供者の記憶も移ったかのように嗜好に変化が現れたり、今までは感じなかった感覚を覚えたりする人たちもいるようです。そしてそれは、もしかしたら細胞の中に記憶を司る場所があって、そのために移植者の記憶になんらかの影響を与えているのではないかと考えられるようにもなっています。

最後にプラットホームで、多恵ちゃんが涙を流しています。この涙には忘れてはいけない大切な記憶を喪失してしまった悲しみが込められているように思えます。一見記憶・存在を完全に消し去ったように見えますが、スケッチブックに残っていた似顔絵と、遊園地の入場券が消えていなかったのは、二人の相手に対する思いの強さだった故なのかもしれません。ほんとうに大切な人への思いというのは、感情という形で身体の細部にまで影響し、第三者によって完全に消し去ることはできないことを、このシーンを通じて訴えかけているようでした。

最後に・・・

では一体PERFECT ANSWERとはどういうことだったのか?映画を見ても、パンフレットをみてもそのことについては触れられていません。ただ言えるのは、最後の玄野くんの決断が完璧な答えだと思っているのは、玄野くん本人でしかないということです。結局前作で見せた一人よがりの部分が、ここに残っていたということになりますが、多恵ちゃんを助けるための選択肢がほかになかったのであれば、GANTZで犠牲になった人を助けるためでも誰も招集されないようにするためでもなく、玉男になって多恵ちゃんを生き返らせることが玄野くんにとってのPERFECT ANSWERだったのかもしれません。

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