なんか違う…デルトロ監督 クリムゾンピーク
怖いというよりびっくり
正直、全く怖くはない。ホラー映画が得意ではない私でも怖くはなかった。
どちらかといえばびっくりする。急に大きな音がなり、ばっとでてくるといった感じでびっくりはする。
他のホラー映画のようにじわじわ何か出てくるんではないか、といった怖さはない。
ホラーというよりミステリー
父が謎の死を遂げたり(明らかに他殺)、屋敷で過去に何があったのか謎を探っていったりとホラーというよりミステリー要素の方が強い気がする。
ホラー要素としては、幽霊が出てくるというところと、屋敷が古く腐敗していてお化け屋敷っぽいという点かな…と思ってしまう。
幽霊というより化け物に見える
私が幽霊を想像すると、透けていてふわふわと足がなく宙を漂い…という感じになるが、鬼才デルトロ監督は違ったらしい。確かに足はなかったがちぎれて腐敗して骨があらわになり、床を這いつくばって近づいてくる…←なんとなく貞子感があるが…
幽霊というよりは、なんか真っ赤な化け物…といった感じ。
パンズラビリンスを見たせいか、おどろおどろしい中にも神秘的というか、もっと恐怖の中にある美しいものを想像していたが、ただただ気持ちが悪い。
そこがファンタとの違いなのかもしれない。
化け物は本当はいいやつ
上記でただただ気持ち悪いと罵ってしまったが、本当はとってもいい幽霊。そこも他のホラー映画とはまた一味違う感じだ。
ホラー映画の幽霊やお化けは人を呪ってなんぼ、というかむしろ逆恨みだったり、とりあえず家に来たやつは誰でも怖がらせてやろうと八つ当たり並みに関係のない人まで襲ったりといった感じが多いがクリムゾンピークのお化けは主人公にヒントを与えていく。
自分のようになって欲しくなかったのだろうか、もう被害者を出したくなかったのだろう。とても健気な幽霊だ。
昼ドラ並みの愛憎、そしてロマンス
ネタバレになってしまうが、トーマスは既婚者、それも姉のルーシーとできていた。いわゆる近親相関だ。
それが原因で幼い頃に母を肉切包丁で殺害している。
そしてルーシーの嫉妬、トーマスとイーディスへの邪魔がすごい。
それとは裏腹にトーマスはイーディスにどんどん惹かれていく。それに気づきルーシーのイーディスへの殺意倍増…
と、いった感じでドロドロ感がすごい。
プラス、イーディスに想いを寄せていた幼馴染の医者、アラン。
イーディスの父の死をきっかけにトーマス、ルーシーのことやクリムゾンピークのことを調べ上げ、命がけで助けに来るのだ。
そしてアランと協力し姉ルーシーもとい妻?ルーシーを裏切りイーディスを助けるトーマス
もはやこれはホラーではなくロマンス映画なのではないか?と錯覚する。
そしてアクション
イーディスとルーシの戦いがすごい。
映画のラストはイーディスとルーシーの一騎打ちとなるのだが、
母を殺した肉切り包丁を持ってイーディスを追いかけ回すルーシーが怖いのなんのって、幽霊よりルーシーが断然怖い。
きっとその殺意の中には、当初の目的であったお金よりも、愛してやまない弟トーマスを取られてしまったことが強くなっていたのだろう。姉弟でなければよかったのか、はたまた姉弟関係じゃなくても嫉妬心が強く隠れ束縛症なルーシーとは最終的にはうまくいかなくなっていったかはわからないが、報われない恋だったのだろうと思って見返すと、なぜだかとても切なく感じる。
という気持ちで見ていたが、またもや優秀で健気な幽霊の登場により
最後はイーディスがスコップで撲殺。
生き残ったのは結果イーディス一人になってしまった。
まとめ
確かに謎解きでハラハラしたり、気持ちの悪い幽霊の登場にびっくりしたりと面白かったが
結果これはゴシックホラーだったのだろうか?という気持ちになる。
衣装や風景はまさに申し分のないゴシックなのでそこは否定しないが、果たしてこれはホラーなのだろうか?
序盤から漂うミステリー臭と後半でこってりと見えてくる、愛憎とロマンス感により
結果的にホラー感が軽い気がするのは私だけだろうか…
あとは起承転結がはっきり見えすぎている気がした。
起 幼い頃、母の幽霊に「クリムゾンピークに気を付けろ」と警告を受け、幽霊が見えるようになる。
承 父の会社と交渉をするトーマスと出会いすぐに恋に落ちるが、父はトーマスをイギリスに帰そうと秘密裏に動くが殺害され、これをきっかにトーマスと結婚しクリムゾンピークへ
転 クリムゾンピークへ現れる幽霊に導かれ、謎にどんどん近づいていくが、それとともに体調も悪くなっていく。それは過去に起こった残虐な事件と同じだった。
結 全てに気づき、ルーシーを倒し、イーディスはクリムゾンピークの執筆に至る。
といった感じに順当に順当に外れなくフラグを回収していって予想外のドッキリや展開は全くといっていいほどなかったように感じる。
もう少ししねりやホラー要素が強かったり、おもいっきりミステリーや愛憎劇に振り切ってしまえばもっと楽しめたのではないだろうか。
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