何もかもが幻想的な世界
何もかもが不思議で、夢のような物語
ペットショップに来店した客に店番の男・D伯爵が様々なペットを売るという話なのだけど、D伯爵は特別なお客様にだけ特別なペットを渡すのです。
店の中は特別な部屋がたくさんあるけど、招かれざる客が入ればどうなるのかは入った人しかわからない。
動物が人間になる?
見える人には動物が人間の姿に見えるのです。
ある時は可愛い子供に、またある時には軍人のような逞しい青年の姿をして動物は人間を見守っています。
飼い主となった人の心の闇をペットが癒し、また傷ついたペットの心を人間が癒す、そんな漫画なのです。
動物を虐待する者には容赦はしない
基本的にD伯爵は動物の味方。
だって動物は人間のように八つ当たりはしないし、苛めもしない。ましてや自分から攻撃をすることなどないのだから。
もし攻撃したとしてもそれは全て人間が先に悪さをしたのだから、当然の報いなのです。
そんな人間がどうなろうと知ったこっちゃない。
刑事さんだけは特別?
刑事のレオンにはD伯爵も甘いのかもしれません。だってレオンは純粋な心を持った人間ですから。
レオンと出会い、D伯爵の人間に対する気持ちは少しずつ変化していきます。
物語全体を通して思うこと
私の感想としては、D伯爵もまた人間に傷つけられた一人なのではないかとおもいます。
人間同士の醜い争いは遠い昔から現在に至るまで続いており、戦争が終わった今でも、苛めや殺人などは行われ続けています。くだらないことでいがみ合い、憎しみ合う世の中はとても醜く、私から見ても汚れた世の中だと感じます。
もしや作者はそんな世の中の醜さや汚らわしさを漫画を通して表現したのではないかと考えました。
ただ人間同士の争いを漫画にしても、それだけでは読む方はつまらないし疲れるだけです。でも、動物が加わることで何もかもが幻想的な世界へと変化するのです。
動物が人間の汚れた心を癒し、浄化してくれるのでしょう。
今の世の中はとても醜く生き辛い世界です。まさにD伯爵はそれを訴えてくれる代表のような存在ではないでしょうか。
時々私も思います。人間とは何て醜い生き物なのだろうかと。
地球から人間がいなくなれば、それこそ素晴らしい世界になるような気がします。ですが人間は存在している限り生き続けなければなりません。
争いばかりを繰り返す人間にどうにか向き合おうとするD伯爵ですが、そう上手くはいかないものです。
いつかそうなる日が来ればいいと思いながらもD伯爵はここを去り、新たな場所へと流れていくのですね。
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