他人に素直、自分に忠実な恋愛劇
自分と違う人
えー、おもしろーい。と思うんですが、どうでしょうか。えーって最初に入って、へーって終わったように思います。リアルタイムでは見てなかったし、そんなドラマを放送していたのも気づかなかったのですが、放送終了後にまとめて見ても楽しい作品。きっと何年後に見ても魅力的なんじゃないかと感じます。キャラクターがしっかりしている作品は時代を超えて楽しめるので。今作はキャラがよくたっていて、ドラマって「人を見る」のが面白いんだなあ、と改めて気づかされました。
置いていかれない進行
初回は、こんな設定ですんなり話が進むのか、どうやってこのゲームをやりこなすのか、現実ではありえない、とか頭がグルグルするのですが、2回目ともなると、不自然に感じない進行具合に驚きます。ラブシャッフルに賛成する人も反対する人もいて、それぞれの意見を述べるので、登場人物の誰かに自分を重ねることが出来るので、内容についていけたのだと思います。何を考えているのかよくわからない人がいないのが、分かりやすくて良かったです。複雑な気分を生む展開にも関わらず、キャラクターによってこんなにも考えが違い、感情が違い、頭と心のちぐはぐや、理想や思惑を見るほうは把握できるように描かれていて面白い。パズルのようなお話の組み立てに、よく出来ているなあと、ただただ感心してしまいました。気づけば完全にペースを取られて、最後まで何も言わずに見守っている自分に気づきます。都会の高層マンションの隣人たちが、顔を知らないどころか、まるで一緒に生活しているような設定は絶対に違和感があるのですが、逆を言えば、こんな風に隣人と仲間として付き合えたら楽しいだろうな、といった明るい理想像でもあり、夢を見せてくれるのもテレビドラマの醍醐味なのだと思います。
恋愛観測
テーマはやはり恋愛なのですが、切り口が違っていて、通常は「惹かれあう二人とその他」な設定が多い所、今作は、それがシャッフルされるのです。そうすると、余計に恋愛は出会いで、出会いを呼ぶのは運命なのかと、ありきたりなことにどうしても思い当たり、ここは素直に「恋愛」を感じるに尽きる、なんて所に落ち着きます。この人と決めたからにはこの人!でいいのか、相手ばかりを思いやっているようで実際はどうなのか、などなど本当に自分が好きな人は誰なのか、どんな人物なのか、勢いや思い込みでなく、素直な心で恋愛を続けたり、結婚を決めるのが自然なことなのです。だけど案外それが出来てなかったり、迷いが生じたりする。自分を見極めるのは難しいのですが、バラエティに富んだ出会いによって、見つめ直すことが出来る。そういう「見つめ直し」をしている人たちを見て、自分も便乗できるのがこのドラマの魅力でした。ちょっとしたお勉強ができた気がします。そして恋愛って、最終的には「癒し」に落ち着くんだなと私は感じました。作風はコメディに近い雰囲気でしたが、核心をついているというか、理知的に恋愛を詠んでいる作品だったと思います。
絵に描いた何かのように
登場人物たちが、エリートばかり、眩しくすぎて、リアリティがあったとは言い切れませんでしたが、それもまた良かったと思います。漫画かファンタジーかな、と思うくらい美男美女が揃って、その役柄もぴったりだったのが目に愉しかった作品でもあります。どなたのファンも満足感が得られたのではないでしょうか。この配役以外ではありえないな、というくらいぴったり、役者同士のつり合いも取れていたと思います。実際、華のある顔だちの人たちなので、他のドラマだと、ちょっと顔が浮くくらいの役者さんたちだったと思います。それを一同に見られるのがなんとも贅沢。どのキャラクターも、最後に自分なりの幸せを掴む出発点に立てるというハッピーな終わり方をしていて、ダサくないんですよね。なんならかっこいい、彼らしい彼女らしい、そういう終わり方なのが好感度ますますアップです。役者さんがほぼ役柄とイコールで見えてしまうので、演技のうまさもさることながら、役と役者のマッチングに大満足なのでした。
ちょっと不思議な部分
一つ気になるのが、タナトスで。画家が見ていた霊的なタナトスは医者の姿そのままでしたが…。真相はどうなのでしょうか。あれは、彼女にそう見えていたのであって、医者本人ではない、と解釈しましたが、少し凝りすぎていて分かりづらい場面でした。そういう謎があるのも、あれこれ解釈してみて面白いのですが、そうする必要があったのか分かりません。意図があるというよりは、画家に見える霊を別の人物や人以外のの姿で(例えばCGなどで)表現できなかったからではないかと、そんな気がします。もしそうなら、医者の姿で霊が現れるのはナイスアイディアだったのかもしれません。意味深が深すぎて、混乱しましたが。
それからやっぱり、一番驚いたのが、うさたんが政治家という道を見出したこと。これは、全く急展開のようで、だけどすごく納得のいく結末だったと思います。だけど、やっぱり驚きました。そうくるか!?と。本当に「自分じゃない人って面白いな」と感じるいい機会となりました。過度にドラマチックなのですが、それが鼻につかず、むしろず爽快な作品でした。
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