ユーモアと意外性のドラマのヨシヒコ
雑な主人公設定の魅力
このドラマの主人公は正義感にあふれ、故郷を愛し、優しい心持ったいわゆる一般的なRPGのヒロインである。しかし、これらに加えバカ真面目故に空気を読めないことが多々あるというヒロイン風の性格を持った人間の弱点のようなものを見せているのが面白い。確かに普通のRPGでは細かい会話までは出てこないし、空気を読むなんてことは不要である。しかし、人間同士が旅をする以上空気を読まないといけないことやバカ真面目ではいけないこともたくさんある。そこに目を付けたのがこのドラマの独自性である。バカ真面目なヨシヒコは誰にも嫌われないし、愛されるがバカ真面目な彼の行動が面白く感じたことはたくさんあると思う。そもそも勇者に選ばれたのもかれの「バカ真面目さ」故である。彼のバカ真面目さがドラマにユーモアを与えているという不思議な構造になっていると思う。
愉快な仲間たちの魅力
一緒に旅をした仲間たちもキャラ設定がはっきりとしていて面白い。ムラサキは敵を討つはずがいつの間にか仲間になっており、ダンジョーもいつの間にか仲間になっていて、メレブも敵だったのに一緒に旅することを願い出た。彼らは三人とも非常に弱い。なぜか戦いのシーンが少ないドラマであるが負けることが多い。普通は力を合わせて分業で戦うというのがRPGのセオリーであるが残念ながら力を合わせて戦っているところは無い。しかし、そんな弱いが必死に何かしようと悪戦苦闘している彼らの姿がまた魅力的に見えるのも確かである。このドラマのキーワードは「意外性」だと思う。意外故の面白さをよくわかっている、現代人向きのドラマであるとおもった。
固定概念から外れた仏の魅力
このドラマの魅力は何といっても固定概念にとらわれないストーリー設定がなされていることで、固定概念から外れたキャラクターが出てくることで視聴者は意外性に対して面白いと感じるのである。その最たるものが佐藤二郎演じる仏であろう。仏さまといえば普通は文字通り雲の上の存在でありありがたいお告げや説教をするのだが、この作品の中の仏はまず呼び捨てで「おい、仏」と呼ばれている。お告げもちぐはぐで時には天女と遊んでいて出てこないこともある。人間味あふれる仏の設定を毎回見ることを楽しみにしていた視聴者は私だけではないはずである。仏役に佐藤二郎がはまり役だったこともよかった。このように偉い立ち場のキャラクターが気さくで親しみやすいというのは現代の会社の縦社会の中ではなかなか見られないものであり、頼りは無いが「こんな人がいたらいいな」という視聴者の思いもあると私は考えた。見ていて憎めない存在というのは今の社会の中では希少だと思う。
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