クトゥルフを知らなければ面白さ半減、知っていれば倍増
実はクトゥルフ神話の知識皆無で見ていました。
この作品を見ていた頃、私はクトゥルフ神話のことを全く知りませんでした。続編の「這いよれ! ニャル子さんW」を全話見終わった後に偶然クトゥルフ神話TRPGのリプレイ動画を視聴し、「ああ~、ニャル子さんってこれのことか!」と気付いた次第です。ですので、クトゥルフ神話を知らない人の視点からのレビューも書いていきたいと思います。
元ネタを知らなくても面白いかというとそうでもない。
はっきり言って、元ネタであるクトゥルフ神話を知らない方には9割方面白くない作品です。「これを見れば初心者でもクトゥルフのことがなんとなく分かる」ということもありません。私は可愛いキャラや好きな声優さんがいれば視聴を決定するタイプでもないですし、知らないままよく続編まで見られたなあと不思議に思うくらいです。ギャグテイストなのでそれでなんとか見られていた感じでしょうか。
ただ、クトゥルフ神話を知らないと分からないギャグが非常に多く、そもそもクトゥルフ神話を抜きにしても面白くないギャグも間々あり、テンションで押し切ってる感は否めません。続編も併せて見ると中々長い作品ですし、途中でだれてしまって見切りを付けた方も多いのではないかと個人的には考えております。
また合間合間で入ってくるラブコメ要素も、ギャグのノリでやっている間は良いのですが段々真剣ムードになってしまい、ちょっと蛇足感があるといいますか。「ギャグだから見てるんだけど」「そういうのは求めてないんだけど」という感想を抱いてしまいます。主人公とニャル子さんを好きになれれば問題ないと思いますが、皆さんそれぞれにキャラの好みがありますから、「ラブコメ部分も良いんだよ!」と断言はできません。
TRPGとセットで触れることで面白さが倍増!
が、クトゥルフ神話を知ってから見直してみると、見違えるように面白かったです。やはり「これ原作のあれじゃん!」という感覚は何度味わっても快感です。
クトゥルフ神話というのは元々設定が曖昧なところが多く、二次創作や独自の解釈を受け入れる懐の深さがありますので、普通なら「キャラ崩壊」などと評されるようなところも「ああ、なるほどそういう解釈もありか……」と納得できてしまいます。元々クトゥルフ神話を知っていて『這いよれ! ニャル子さん』を見た方は、おぞましい邪神たちへのイメージが一変したのではないでしょうか。TRPGでは敵として出てくることがほとんどの邪神たちですが、ニャル子さんを思い出せばみな愛着が湧くというものです(笑)
クトゥルフ神話に触れる媒体というのは殆どの方がTRPGだと思いますので、ニャル子さんに登場する設定や解釈を自分がプレイするTRPGのセッションで採用するという楽しみ方もあり、「見るだけ、受動するだけ」では終わらない、能動的な楽しみがある稀有な作品です。
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