ドタバタコメディながらも自立した結婚スタイルを体現 - ホタルノヒカリ2の感想

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ホタルノヒカリ2

4.004.00
映像
3.50
脚本
4.00
キャスト
4.00
音楽
3.50
演出
4.00
感想数
1
観た人
4

ドタバタコメディながらも自立した結婚スタイルを体現

4.04.0
映像
3.5
脚本
4.0
キャスト
4.0
音楽
3.5
演出
4.0

目次

愛するがゆえに・・・

2007年放映のホタルノヒカリの続編。
放映は3年後の2010年。

前作は、干物女のホタルと上司のぶちょおの出逢いからカップルになるまでの
いろんなドタバタだったけれど、
今作は、結婚相手としてのお互いの歩み方とか、生き方とか、思い合い方、
みたいなものを軸に、やはり相変わらずドタバタの日々が繰り広げられている。


みんなそれぞれに経験あると思うけど、
相手のことを思うがゆえに、その思いが空回りしたりとか、
思いやりのつもりがありがた迷惑になってたりとか、
全然的外れだったりとか、
そういうすれ違いって、よくあることだと思う。

恋愛経験が乏しく、思い込んだら一直線のホタルゆえに、
その勘違いやすれ違いっぷりは甚だしく、
現実的にはそれはさすがにありえんだろう、と想いつつ、
コミック原作という独特のキャラ設定と、綾瀬はるかの絶妙な演技が
かえってその非現実感がファンタジーで可愛いと思わせる、
前作同様、単純に楽しめる作品だった。


数々のエピソードの中で、結構共感したのは、
朝食の味噌汁作りに挑戦するくだり。


料理も完璧なぶちょおから、朝食の味噌汁作りを伝授してもらうんだけど、
朝4時に起きて仕込みからして本格的な味噌汁を作る、なんてことは
フルタイム勤務をしていて、しかも本質が干物女のホタルにしてみたら至難の業。

だけど、「やるぞ!」と思ったら実現するまでとことんあきらめない、という性格のホタルは、
「愛するぶちょおのために絶対作ってやるんだ!」と、持ち前のバイタリティで頑張る。


一方、やはりホタルのことを心底愛しているぶちょおは、
自分の一方的な考えを押し付けてたのは間違いだった、
ホタルらしさを尊重してあげたい!と思い、

「もう無理してそんなことしなくていいんだよ」

と言う。

でもホタルは

「いいや、絶対に作りたいんです!」

と譲らない。


「作らなくていいったら!」
「作りたいんです!」

両者がっぷりよつ。

しまいにはいつものパターンでケンカへと。


これ。この構図。わかるなあ、と。


二人とも、本当に相手のことを愛してるがゆえにぶつかってて
それがとてもいじらしい。

こんなバカバカしいパターンじゃないけど、
似たようなこと、私にも経験あるなあ、って。
それがゆえに離婚までしたことも。

お互いを想うがゆえに、相手のために頑張りたい、
いつしかそれが自分の幸せにもなってたりする、ってこと
よくあることだと思う。

ただ、注意したいのは、
自己犠牲での頑張りなのか、
自分を大切にしている前提での頑張りなのか、
ってところ。

これって、似て非なるものだ。


今のパートナーとも、そこんところは
徹底的にお互い見つめ合っていて、
各自、自分の気持ちをちゃんと感じるようにしているんだけど、

特に共感力が高い人ほど、他人との境界線があいまいで
自分の気持ちなのか他人の要請を無自覚に引き受けちゃってるのか、
そこらへんが分からなくなってしまう部分もあるから、
より意識的にあることは大事だな、なんて思う。

言いたいことを言い合える関係性

この作品は前作同様、なんといっても
ホタルとぶちょおの関係性が見どころだと思うし
二人の関係性がとても魅力的だ。
そこが、人気の理由のひとつでもあると思う。


二人とも、なんだかんだありつつも、
お互いの本音を言いあえてる。

なかなか思うことを言い出せない、というプロセスすらも、
最後にはちゃんと表に出せてる。


人間だから、しょうもないことで悩むし、
トンチンカンなことで迷ったりもする。

相手にとっては「は?!」って思うようなことでも
本人にとってはすごく真剣だったりもする。

そういう、違う価値観の人間同士だからこその、葛藤や苦悩も、
ありのままに言いあえてたら、それぞれの違いを認めあえるし
一人だけの世界がぐっと広がって、視野も広くなる。


そしてそのことを、体験を通して
ぶちょおもホタルも、実感していくのだけど、
そのプロセスが丁寧に描かれていて、すごく親近感が感じられた。


今作品は、「結婚相手としてのパートナーシップ」がテーマに
あったように思うんだけど、
私個人としてもすごくそのテーマには思い入れが強いので
前作よりもより一層、身近に感じられたかもしれない。

で、じゃあ、なんでもかんでも全部さらけ出すのがいいのか、
というと、そうでもないというのが人間のファジーなところ。

あえて口にしないこととか、
見て見ぬふりをすることが、思いやりだったりもする。


そのへんの塩梅は、
どれだけお互いのことを分かり合えているかにもよるし、
そこはもう、経験で、身体で、お互いの間合いを掴んでいくしかないのだろうな、と思う。


結婚生活って、それが楽しみでもあるような気がする。

毎日同じ人と顔を合わせるわけで・・・
でも、その人をすべて分かるなんでありえない。

毎瞬、毎瞬、違う表情、違う姿をしているわけで、
同じだけど違う、違うけど同じ、
そんな無限の出逢いを、一緒に楽しんでいくわけで・・・。


毎朝顔を合わせるたびに、

「今日も会えましたね」

という気持ちにさせてくれる今のパートナーとその出逢いには
感謝しかないな・・・なんて、このドラマを思い出すたびに思う。

自立が前提の二人

結構ドタバタな展開だけど、
意外にもホタルもぶちょおも、
すごく「自立」を大切にしてる二人だ。

「自分はどう生きたいのか」

ってことを、よくよく見つめているし、
結婚するからって、愛し合っている関係性だからって、
その関係性に甘えて自分を無くしてはダメだ、って、
「自分自身」というものをとても大切に考えている。

そこがすごく共感する。


そういう理由から、ぶちょおはぶちょおで、
一旦ホタルと距離を取って、別居をしてみたりもするし、

ホタルはホタルで、
ぶちょおが香港に3カ月出張することになっても、
よくよく考えて一緒にはついていかない、という選択をする。


お互いにもたれ合わない関係性が築けたら、
本当の意味で協力し合う、ってことができると思うから、
コミック原作のドタバタコメディながらも、
結構、というか、かなり大事なテーマが流れてる作品だな、と思う。

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