暑苦しいほどの情熱が心地よい - アニメーション制作進行くろみちゃん 日本のアニメは私が作る!の感想

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アニメーション制作進行くろみちゃん 日本のアニメは私が作る!

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暑苦しいほどの情熱が心地よい

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目次

主人公の魅力

まずは「くろみ」の命名に驚かされました。

大黒 みき子(おおぐろ みきこ)

おおぐろみきこ

 ̄ ̄ ̄

フルネームの真ん中を切り取って「くろみ」と呼ばれ、このような命名手法が、制作現場で使われているプチ知識が面白かったです。これは、このアニメ作品のオリジナル要素なのでしょうか。しかし、一般的なアニメ作品の登場人物を、このように略すことは少ないのではないでしょうか。苗字と名前の頭文字をとり、「おおみき」とか命名されそうなものです。

アニメ本編の中で、さも当然のように命名されていたので、私自身は業界内における一般的な命名方法なのだと受け止めています。

また、彼女自身のキャラクター性においても魅力的だと思います。目の前のことに全力で走っていけることが、「くろみ」の強みなのではないでしょうか。そして、周囲が無意識のうちに、そのペースに巻き込まれていく様子が印象に残っています。

そして、予想はしていましたが、ブラックな職場なのは間違いなさそうです。本当に好きでなければ、勤まらない仕事だと感じました。アニメ業界だけではありませんが、仕事には締め切りがあり、それに間に合わせなければなりません。そして、タイトなスケジュールの時には、殺人的に忙しいことがあるのは、どの仕事にもいえることなのではないでしょうか。アニメ制作というテーマで描かれていますが、自分自身の仕事と照らせ合せてしまう場面も多かったです。

特に、業界における現実を知った時、「くろみ」のモチベーションが下がって会社を辞めようとする場面がありました。自分自身を振り返った時にも似たような経験があり、仕事の楽しさを知るまでは苦痛だったことを思い出しました。

どこの業界、どんな仕事においても、根本的な部分は同じなのだと感じました。

そして、自分自身の仕事の意義や、周囲の人物たちのプロ意識を目の当たりにすることで、自分が変わっていくのです。まさに「くろみ」を通して描かれていたところは、変わっていく自分なのだと思います。

アニメ制作の裏側

あくまでアニメ作品なので、現実から脚色されている部分は強いのだと思います。

現実社会でアニメ本編の登場人物のような方たちが、そのような行動をしていたら、締め切りに間に合わないことも散見されるのではないでしょうか。しかし、現実は電車のダイヤのように、放送時間は守られています。

逆に、間に合わず放送できなかった例を、私自身は知りません。

そのような例を聞いたこともありません。

オーバー気味に描かれているのは、間違いないことだと思います。しかし、作画から始まり、完成に至るまでのプロセスは、ほぼアニメ本編に描かれている通りなのだと受け止めています。アニメーション30分を制作するのに要する手間は尋常じゃないものだと推察致します。手作業で描かれていた時代は、本当に大変だったのだと思います。

時代は移り変わり、手描きで制作されているアニメーションは激減しているのではないでしょうか。現実社会において、今はCGアニメ作品の全盛期だと思います。昔のアニメ制作は大変だった、という苦労話のようにも受け取れなくもありません。

ぜひ、続編が制作され、今のCGアニメ制作を背景にされた内容に期待したいです。

また、人の使い方という部分においても、勉強させられることは多かったように感じます。

現実社会のビジネスシーンでは、「誉める」ことで人材を育て、人を動かすことにクローズアップされている風潮があります。そういったことを映像として描かれていることで、強い説得力となっている意味は大きいように思えます。また、人それぞれに合わせたコミュニケーションの取り方は勉強になる部分がありました。人それぞれツボとなる部分は違い、それを見付けることから人材育成や仕事は始まるのだと思います。

そういったことを分かりやすく描かれていたように感じられます。

アニメ作品に対する情熱

アニメ作品における情熱が、プロ意識に強く作用していることも伺える内容でした。

期限に間に合わせるだけではなく、アニメ作品そのものの完成度にこだわっている様子は印象的でした。アニメ本編の物語としての面白さだけではなく、作画や動きに至るまで、全てを含んで一つの作品として形成されます。そこに向けられる情熱は、観る側として、あまり気にする部分ではないように思います。

しかし、自分自身の中で、価値観は変わったように思います。

この部分に、これだけこだわって制作されているスタッフはいるのだと驚かされます。それは、CGアニメ作品の全盛期においても、形は変わっても同じことはいえるのではないでしょうか。

CGアニメは手描きより作業が楽で、手間はかからないのだと推測致します。

しかし、それはアニメ制作に関わるスタッフの数は減るのかもしれませんが、制作スタッフ一人一人の情熱には変わりがないように思うのです。

プロ意識を描いた素晴らしい内容だったと受け止めています。

そして、手描きアニメにこだわったとされている宮崎アニメは、ほぼ「アニメーション制作進行くろみちゃん」のアニメ本編に紹介されていたプロセスを辿って制作されたのでしょう。一つの作品を仕上げるのに、数年もの月日を要すると聞いたことがあります。そんなことも、アニメ本編を観ながら思ったことです。

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