独特の雰囲気が漂うアニメ作品
カナダ制作のアニメ
日本のアニメ作品とは、雰囲気が全然違うように感じられます。ショートアニメである点もあり、展開が早く、内容が詰め込まれた作品だと思いました。1話が10分ほどのアニメ作品ですが、観ていると信じられないくらい時間が長く感じます。日本アニメ作品だと30分かけて制作する内容を10分にショートカットしている印象です。
無駄な場面がありませんので、ストレスフリーです。
無駄がない分、物語本筋から進行が逸れることもないように思えます。そして、紙芝居感覚のアニメーションなので、体感スピードが速いのだと考えられます。日本アニメ作品でいうと、ギャグアニメが近い構成で描かれることが多いのではないでしょうか。
しかし、「アトミック・ベティ」はほのぼのとさせる雰囲気を打ち出していますが、基本路線はヒーローものです。ヒーローものというジャンルで、こういった描き方をされるアニメ作品が、とても新鮮だと思います。また、ヒーローもので女の子が主人公の作品だと、少女マンガ原作からのアニメ化というパターンが多いです。結果的に、女の子向けアニメになる風潮があります。
「アトミック・ベティ」において、性別を分けてターゲットとしているように思えません。
子ども向けアニメなのは間違いありませんが、男の子が観ても面白く感じさせるアニメ作品に仕上がっているのではないでしょうか。男の子が観て、面白いと感じさせる部分は、アトミック・ベティの武器の存在や、乗り物の存在は男の子向けのものだと考えられます。また、ロボットの存在なども、男の子志向の設定だと考えられます。
日本のアニメ作品は比較的、しっかりジャンル分けされており、そのジャンルにおける枠組みを逸脱しないように思います。「アトミック・ベティー」を観ていると、どこにジャンル分けされるのか悩まされます。すなわち、ジャンルというものを制作スタッフはあまり気にしないので、作品づくりをしていることが伺えるのではないでしょうか。
日本アニメの当り前みたいな風潮を壊すのは、海外アニメの存在だと思います。
「アトミック・ベティ」のようなアニメ作品から、日本アニメにおいても影響を受け、切磋琢磨できると良い方向に向かっていくのでしょう。そう考えられる存在だと思います。
主人公について
「アトミック・ベティー」の主人公、ベティーは変身しなくても強いのだと思います。しかし、変身することで使用できる武器、使用できる能力があります。これは変身することでのメリットだと思われます。
ただ、アニメ本編を観ていると当然のように変身しますが、変身する必要がないようにも思えます。
そう思えるのは、ベティーは変身しなくても強い為です。
このことについては、心の中に納めておくべきことなのでしょう(笑
そう考えてみると、変身というより着替えと受け止めた方が良いのかもしれません。これはベティなりの仕事服・制服として考えたほうが自然のように思います。
そして、見た目は女の子ですが、性格は男の子だと思えます。好戦的な性格は、まさにその表れなのではないでしょうか。それとも、カナダの女性は、こういった性格の人が多いのでしょうか。この場合、女性らしさといっても、日本の女性らしさと考えることができます。また、日本の風潮として存在する女性像といえます。日本では、女性は非力な存在であり、大人しく可愛らしく慎ましいことが理想像として在る姿ではないでしょうか。しかし、それは日本における風潮であり、世界共通の風潮ではないことを考えなければなりません。
ベティのキャラクターは、カナダ女性の典型例をモデルにしているのか、それとも、アニメオリジナル要素なのでしょうか。
そう考えてみるのも面白いことのように思います。
ベティーの仲間たち
キャラクターデザインもしっかり成されており、性格の違いも見て取れます。
最も子どもっぽいのはスパーキーでしょう。スパーキーの発言は極論であることが多く、突拍子もないように思えます。また、後先を考えないで行動してしまう部分が、子どもっぽく感じられる大きなところです。また、外見が緑であり、明らかに宇宙人であることもキャラクターデザインで、意図的に意識したところなのだと思います。
ロボットであるX-5においても、機械らしく難しい言葉を用いるところは、見た目の印象と合致する部分で面白いです。ただ、X-5においては、見た目と内面のギャップも意図的にされており、ノリの良い部分は見た目の印象と相反する部分なのではないでしょうか。そのギャップがX-5の魅力として映るのだと思います。
主人公、ベティーの仲間は、宇宙人とロボットという構成になっており重複していません。
それぞれ違う設定にすることで、スパーキーとX-5の、それぞれのキャラクターを立てているだと思います。チームとして見たとき、それぞれバラバラのようにも思えますが、ベティーを中心に纏まっています。そして、力を合わせたチームとしての結束力が面白いと感じさせるのだと思います。
チームワークという要素が、「アトミック・ベティ」というアニメ作品に込められたメッセージ性なのかもしれません。
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