グラナダ?そんなことよりロマンタジーノだ!
いとうみきおの打ち切られ作品
私はいとうみきおの作品が好きだ。
勢いのある青春、個性的なキャラクター、美学を貫くおっさん、そして必殺技。
いとうみきおの作品、というかノルマンディーひみつ倶楽部にはそれらが詰まっていた。
しかし、このグラナダはどうだろうか。前作と似たような主人公、よく分からない科学理論、唐突に始まる過去編、打ち切られ要素が詰まってしまっていた。
残念ながら打ち切られて当然の作品であった。
読みきりの『ジュゲムジュゲム』は面白かったんだけれど。
ロマンタジーノ!
二巻の巻末に載っている一話読みきり漫画。いとうみきお(当時は伊藤幹雄名義)のデビュー作。
悪党はこびる西部の町!看板娘がピンチだ!立ち向かう渋いおっさんと自称ヒーロー!彼らは悪党どもをやっつけることができるのか!
よくある西部劇のストーリー、よくいそうなキャラクター。
しかし、主人公の百銃のジーノはどうだ。自称ヒーローの熱血漢。後ろから撃たれても平気。なぜなら、マントには百丁の銃があるから。
もう馬鹿かと。なんだよ百丁の銃の銃って。当時の回転式拳銃だとしても、一丁が1 kg以上、百丁あったら100 kg以上の重さになる。そんなマントを翻して街中を闊歩するジーノ。いや、重いし何かにぶつかったら暴発の可能性があって危なくないか?
いや、漫画なんだから細かい設定に突っ込んではいけない。相手は、「記憶をなくすためにぶん殴る」理論を謎の村雨くんで平然とやってのけるいとうみきおである。突っ込みポイントはそこではない。
問題は、読みきり漫画でこんな設定を持ってきたことだ。普通、デビュー作や読み切り作品を出すときに、今後のことを考えて連載しやすい設定を考えるだろう。『グラナダ』だって読み切りの『ジュゲムジュゲム』が連載作品になった物である。しかし、このロマンタジーノ、連載をする気がまったく無い。
なんだ百丁の銃って。明らかにワンアイデアで発展性が無い。それぞれの銃が特殊な能力を持ち、その個性を生かして戦っていくならまだしも、百丁の普通の銃である。必殺技は、百丁の銃を一気にぶっ放す。そりゃ強い?かもしれないが、ワンパターンに陥りやすい。この続きを面白く描くことは不可能だ。
そんな連載の芽が無い作品をデビュー作として出してしまういとうみきお先生、さすがである。
二巻を買おう!
ぶっちゃけ、本編のグラナダより最後にページ調整のため?の読みきりのほうが面白い。今からグラナダを読みたい!って人は、二巻を買おう!ロマンタジーノが楽しめるぞ。本編はよく分からないかもしれないが、一巻から読んでもあまり分からないので大丈夫だ!
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)