ちょっと刺激が強すぎるアニメで笑えない
このアニメ作品の位置付け
そもそも、バラエティー番組の中のひとつのコーナーとして、放送されていたのが「ねこぢる劇場」というアニメ作品です。ただ、地上波という広い層に向けて、この内容で放送されていたことに驚いてしまいます。
作画自体は、ほのぼのとした可愛らしいタッチのアニメ作品です。少年アシベなどを彷彿とさせるタッチで、柔らかい印象を抱かせ、子供向けの画ではないでしょうか。ただ、子供には絶対に見せてはいけないアニメ作品であることを付け加えておきます。
それは、表現にグロテスクなものが含まれていることもありますが、共食いだったり、殺してしまう場面をダイレクトに描写していることで、精神衛生上の観点から、決して良くないことだと思うのです。
私自身も観ていて笑えるどころか、吐き気を催してしまう場面が多く、面白いものではないように感じました。私の固定概念が強く、頭が固いだけなのかもしれません。ただ、画のタッチに騙され、子供に見せてしまうとトラウマになり兼ねないように思います。
取扱いには、細心の注意を払って観るべきアニメ作品であるのは間違いないでしょう。
ニャーコとニャッ太
正直、ろくな大人になりそうにない二人です。だいたいのアニメ作品に通じるパターンは、悪いことをした子供に対し、罰が下って良い方向に導いていくものです。しかし、このアニメ作品において、そのパターンを意図的に壊しているように感じられます。
平気で我がままを尽くし、友達の親まで殺してしまう場面まであります。恐怖すら感じさせられます。また、友達がブタであることから明らかに見下した態度をとっていますので、差別を描いているのだと思います。
しかし、それを悪いことだと描いていないので、危険なアニメ作品なのだと思えてしまうのです。意図的にそういう描写をすることで、観る側に与えるインパクトに比重を置いているのかもしれないです。ただ、作品そのもののクオリティーとしては残念に感じて、ニャーコとニャッ太が可哀そうに思えてきます。
それとは対照的に良き人格者である母親が、ニャーコとニャッ太にとっては、せめてもの救いなのだと考えられます。
世の中において、弱肉強食という言葉に表されるように、自然界では、肉食生物は他の生物を食べることで生きています。そういう意味では、自然の摂理の厳しい部分を描いていることは間違いないです。ただ、友達を差別していたり、暴力に訴えたりする場面は、どう考えても行き過ぎの表現であり、気分を害してしまいます。笑えるどころか、冷めて引いてしまう気持ちをもってしまうのは否めません。
飲んだくれの父親
アニメ本編で、一切話す場面がない父親は良いキャラクターをしているように思います。そして、無口であることから掴みどころのないキャラクターになっており、とても良い味を醸し出しています。お酒が抜けてしまうと、本来の力が発揮できない点も面白いです。
ただ、ニャーコやニャッ太と違い、大人なので、無益な殺生や暴力を振るいません。自分や子供も守る為、そして、食料として家畜のブタを殺してしまうのは仕方ないことです。
無口で無気力、ヤル気は一切感じられません。しかし、時々見せてくれる行動力は、立派に父親の役割を果たすものだと思います。
また、こんな父親のキャラクターをしているからこそ、しっかり者の母親の存在も活かされているのではないでしょうか。それぞれが対照的なキャラクターであるからこそ、お互いを強調していることにつながっており、良い夫婦像であることも伺えます。
ダメな父親に映ってしまいますが、やる時にはやる、というところに妙なカッコ良さがあります。
アニメ本編で最も引いた場面
ニャーコ家族で、家畜としていたブタで豚カツを作った話が忘れられません。逆にいうと、早く記憶から消してしまいたいです。家畜のブタにも家族構成があり、父親と母親、兄と弟で構成されていました。
ニャーコ家族の晩ご飯は豚カツだった為、若い兄ブタを料理して食べることになりました。家畜だったブタにも、人格が設定されていたので、とても可哀そうに映りました。ただ、食べる為なのであれば、仕方ないことのように思えます。
ただ、ニャーコ家族の晩ご飯で、食卓に並んだ豚カツをみた弟ブタが「美味しそう」と言ったことで、ニャーコは自分の分の豚カツを弟ブタに食べさせてしまうのです。共食いであるのと同時に、兄の肉を、なにも知らない弟が食べてしまう描写になっているのです。
この場面では、さすがに気持ち悪さが拭えません。
面白さを狙ったものなのでしょうが、全然笑えないし、センスのかけらも感じ取れません。弟ブタが豚カツを食べたところで、その話は締め括られ、それ自体が話のオチとなっています。
この「ねこぢる劇場」が好きなファンもおられるようで、ファンの方から、原作者に感想を寄せられることも多かったそうです。
私としては、そんなの信じられない、というのが本音の部分です。
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