障害のある人にとっての幸せとは - 花嫁の父の感想

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花嫁の父

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映像
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脚本
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キャスト
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音楽
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演出
4.50
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障害のある人にとっての幸せとは

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.0
キャスト
4.0
音楽
4.0
演出
4.5

目次

父親の手が震えていた瞬間

花嫁の父親の気持ちは女の私には分からない部分が沢山あるだろう。寂しい気持ちは両親共に変わらないと思う。私が男なら寂しいという気持ちはもちろんあるだろう。そしてその気持ちをどのように娘に伝えれば良いのか考えるだろう。寂しい気持ちを娘に伝えるのは親としては難しく思う。娘に心配させたくはないし、だからと言って胸に秘めておくのも息苦しい。娘の門出を心から祝えないなんてそんな悲しい思いはしたくはない。自分の寂しい気持ちばかりを押し付けるのも親として良い姿とは言えない。素直になれずに強がって見せたり無口になったりするのかもしれない。娘が決めた人生を信じて応援する親の気持ちは晴れ晴れとしているとは限らないだろう。

私が嫁に行く時、父親はただ泣いていた。嬉しい気持ちと寂しい気持ちが交差して、言葉にはならない思いで胸がいっぱいになっていたのだと思う。涙をただただ流していた。決して涙など見せない父親が泣いた瞬間、父の手は震えていた。ごく普通の家庭に育ったごく普通の娘だが、両親から受けた愛情により世界で1番幸せな花嫁ではないかと思うほどだった。愛を受けて私はまたこれからの人生を頑張ろうという気持ちになった。親の愛はいつの時代も変わらない、真っ直ぐ深いものだ。

障害を持つ人の幸せとは何か

日曜劇場特別企画として放送された。耳が不自由だという”障害を持つ娘”美音は結婚を決める。父親である里志の感情は試行錯誤を繰り返していく。その心境の変化をまじまじと見ていた私には深い理由があったのだ。障害を持つ娘をテーマにした題材に目を惹かれたのは私の実家には生まれた時から上手く喋れない叔父が物心ついた時から一緒に暮らしていたのだ。小学生になった頃の私は、何故叔父は上手く喋れないのだろうと疑問に感じたことがあった。でもそれを嫌に感じたり恥ずかしく感じることなど一切なかった。何故なら彼は家族の一員であり、そのままの彼が私の叔父でありそんな叔父が私は大好きだったのだ。50代の叔父は、一人では出歩けない。車も乗れないし、自転車にも乗れない。買い物も一人では行けない、他人と関わることはできない。いつも私の母は、叔父に対して私達子どもと同じように対応して、叔父にも沢山愛情を注いでいた。彼は恋も出来ずもちろん結婚もしていない。体は大人だか精神的にはまるで幼稚園児のようだった。叔父のような障害者は結婚する事は難しいだろう。小学生だった私が今では、結婚し子どもが三人いる。私が実家に帰ると叔父は手を振り喜んでくれる。もちろん結婚もしていない。私の母が面倒を見ている。彼がいつも笑顔で迎えてくれるから私は実家に帰ると、親友に会うような気持ちが溢れてくる。彼のような生き方が幸せかどうかと考えてみたが、それは彼自身がどう感じているかによるのだと思う。障害者同士でお見合いなどして結婚をする未来の方が彼にとって幸せだったのか、今のように結婚はせずに家族と一生暮らすことが幸せか。彼にしか分からない事だ。

美音は結婚する未来を選んだ。それは自分の意思であり彼女が描いた幸せがそこにはあるのだろう。何が幸せでどうしたら本人のためになるのかは、その本人にしか分からない事であり、本人が決める事なのだ。家族や他人が決めることではない。

障害者にとって誰でも手話の必要性があるのか

私の叔父は美音の様に手話を覚えなかった。それは、長年一緒に暮らしているとどんな分かりづらい言葉も自然と分かるようになる。不思議と叔父の言いたいことや怒っていること、拗ねているところも彼の感情がだいたい分かる。手話が全てではないということだ。叔父は家族の口の動きで何を言っているのかを読み取っていた。里志が手話を覚えないことにも意味があったのだと私は思う。面倒だとかそんな理由で手話を勉強しなかった訳ではない。娘の幸せを1番に考えていた里志。手話を勉強しない理由も、里志が美音のためになると思っていた。誰もが手話を知っている訳ではないということを里志は理解していた。叔父は手話を勉強していない分、口の動きを読み取る力は非常に鋭い。そのため、外出先で一緒に居ても他人の言っていることを口を見て理解している。そんな叔父は今となっては手話は必要ないといえるほどだ。障害を持つ人が手話を習うことや、結婚をするしないかはその本人が決めることで世の中の誰かが勝手に意見を言い合うことではないように思う。

作品の美音は結婚を決め、父里志はその勇気と決意を応援する。その行動に私は共感した。私の叔父が家族の元で笑顔で暮らせているのはきっと幸せを感じている証拠だろう。そんな風に感じたら私は少し安心した。何故なら叔父は私達家族の前ではいつも笑っているからだ。子どものような笑顔を見せてくれる。美音も里志から手話で”おめでとう”と言われた時非常に良い顔をしていた。それは幸せだったからだ。障害があるから幸せになれないなどということは決してないのだ。私は心からそう感じた。

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