意味深すぎる'The secret is with me'
今回は、クライマックスでのあの意味深な名セリフについて考察してみたいと思います。
「The secret is with me」日本語字幕は、「秘密は守るよ」となっていました。
状況は、Atomの音声認識機能が壊れてしまって、絶対絶命のピンチに、ダメ親父チャーリーが覚悟を決めて、初めてマックスの期待に応えようとする場面です。
劇中で秘密と言えば、親権の示談に応じた際の5万ドル(マックスは「僕を売った」って言ってましたね)の件です。ネットでも、この秘密を指しているという意見が出ていますが、この緊張の場面で、いくらなんでもその話は蒸し返さないでしょう。
「秘密は守るよ」のセリフは、Atomと初めて出会った時の夜の散歩で、マックスがAtomに向けてささやいていました。あのシーンでの「秘密は守るよ」というのは、マックスの「僕の言葉がわかるんだね」「本当はただのロボットじゃなくて、自分の意思があるんだね」という考えに基づき、「その秘密は守るよ」というそのままの意味ですね。またそれ以上に、Atomへの親近感を表したセリフでもあります。
このシーンから連想すると、クライマックスでのセリフも同じように、マックスからチャーリーへの親近感や信頼を表した言葉ではないかと思います。
あの場面では、チャーリーがAtomに向けて、「Watch me」と繰り返していました。チャーリーは緊張しながらも、Atomに呼びかけることで自分を奮い立たせていました。単純に考えれば、それを見たマックスが「チャーリーもAtomが言葉がわかると思っている」と思い、秘密(=Atomが言葉がわかること。親子二人だけがそれを知っている(信じている)ことの2点)を共有することで親近感を表していると言えます。
ここで重要なのは、2人が本気でAtomが言葉を理解していると信じているわけではないということでしょう。半信半疑だし、セリフを言うときのマックスの表情は、Atomに呼びかけるチャーリーをからかっているようにさえ見えます。
話が矛盾しているように思えますが、マックスはチャーリーを信頼しているからからかう余裕もあるし、チャーリーの緊張をほぐそうという意図もあるのでしょう。生意気なマックスらしいと思いませんか。
以上のことから、「秘密は守るよ」のセリフは、Atomに関する秘密の共有を踏まえたチャーリーへのからかい=信頼の表明というのが、作品の意図かなと個人的には思っています。曖昧ですけどね。
映画の音声解説で、監督も「曖昧なまま、謎を残したままの方がいい」と言っていたような。
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