意味深すぎる'The secret is with me' - リアル・スティールの感想

理解が深まる映画レビューサイト

映画レビュー数 5,784件

意味深すぎる'The secret is with me'

4.54.5
映像
4.0
脚本
3.5
キャスト
4.5
音楽
4.0
演出
4.5

今回は、クライマックスでのあの意味深な名セリフについて考察してみたいと思います。

「The secret is with me」日本語字幕は、「秘密は守るよ」となっていました。

状況は、Atomの音声認識機能が壊れてしまって、絶対絶命のピンチに、ダメ親父チャーリーが覚悟を決めて、初めてマックスの期待に応えようとする場面です。

劇中で秘密と言えば、親権の示談に応じた際の5万ドル(マックスは「僕を売った」って言ってましたね)の件です。ネットでも、この秘密を指しているという意見が出ていますが、この緊張の場面で、いくらなんでもその話は蒸し返さないでしょう。

「秘密は守るよ」のセリフは、Atomと初めて出会った時の夜の散歩で、マックスがAtomに向けてささやいていました。あのシーンでの「秘密は守るよ」というのは、マックスの「僕の言葉がわかるんだね」「本当はただのロボットじゃなくて、自分の意思があるんだね」という考えに基づき、「その秘密は守るよ」というそのままの意味ですね。またそれ以上に、Atomへの親近感を表したセリフでもあります。

このシーンから連想すると、クライマックスでのセリフも同じように、マックスからチャーリーへの親近感や信頼を表した言葉ではないかと思います。

あの場面では、チャーリーがAtomに向けて、「Watch me」と繰り返していました。チャーリーは緊張しながらも、Atomに呼びかけることで自分を奮い立たせていました。単純に考えれば、それを見たマックスが「チャーリーもAtomが言葉がわかると思っている」と思い、秘密(=Atomが言葉がわかること。親子二人だけがそれを知っている(信じている)ことの2点)を共有することで親近感を表していると言えます。

ここで重要なのは、2人が本気でAtomが言葉を理解していると信じているわけではないということでしょう。半信半疑だし、セリフを言うときのマックスの表情は、Atomに呼びかけるチャーリーをからかっているようにさえ見えます。

話が矛盾しているように思えますが、マックスはチャーリーを信頼しているからからかう余裕もあるし、チャーリーの緊張をほぐそうという意図もあるのでしょう。生意気なマックスらしいと思いませんか。

以上のことから、「秘密は守るよ」のセリフは、Atomに関する秘密の共有を踏まえたチャーリーへのからかい=信頼の表明というのが、作品の意図かなと個人的には思っています。曖昧ですけどね。

映画の音声解説で、監督も「曖昧なまま、謎を残したままの方がいい」と言っていたような。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

他のレビュアーの感想・評価

ただのロボットの殴り合いではない。

親子の絆離婚をして息子と離れて暮らしていたが、元妻の病死をきっかけに息子と再会し、初めは仲が良いわけではなかった二人であったが、ロボットボクシングを通じて親子の絆を深めていく。いまの時代となっては離婚はよくある話だが、離れて生活をしていた親子が、共通の趣味を持ち、その趣味に反発し合いながらも熱中し、お互いをパートナーと呼び合う様子はとても希望を感じられた。初めは息子と距離を取ろうとしていた父親が、物語の後半には、自らの子どもを手放したという過去の行動を反省し、息子に歩み寄ろうとする姿に、私は素直に感動した。徐々にお互いを認め、親も子も成長していく親子の絆の物語であるが、男同士の友情物語でもあると言えるだろう。迫力のあるロボットボクシング人間同士で戦いをするのではなく、人間がロボットを操作し、ロボット同士で戦わせる近未来型SFボクシング。まず注目したいのが人間の身長を遥かに超えた大きさのロ...この感想を読む

5.05.0
  • なまてぃーなまてぃー
  • 141view
  • 2079文字
PICKUP

関連するタグ

リアル・スティールが好きな人におすすめの映画

ページの先頭へ