輪廻転生について考えてみる”崖の上のポニョ” - 崖の上のポニョの感想

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崖の上のポニョ

4.154.15
映像
4.40
脚本
4.10
キャスト
4.00
音楽
4.40
演出
5.00
感想数
10
観た人
56

輪廻転生について考えてみる”崖の上のポニョ”

4.54.5
映像
5.0
脚本
4.5
キャスト
4.5
音楽
4.5
演出
5.0

目次

可愛い人面魚のポニョが導く不思議なストーリー

崖の上のポニョは、可愛くて仕方ない大きな目をクリクリさせた人面魚のポニョを中心に描かれたストーリーです。子供にはとても好かれそうな外見と、主題歌を歌ったのが可愛らしい女の子でした。身振りを付けて歌う姿がとても印象的でした。ちなみに主題歌を歌ったのは、大橋のぞみで当時は様々な歌番組でこの曲を歌い人気でした。

特徴のあるポニョの声を演じたのは、ならゆりあです。ポニョの見た目からあの可愛い声がとても印象深く、頭から離れませんでした。声優には、女優の山口智子(リサ役)や、天海祐希(グランマンマーレ役)も務めました。

輪廻転生というテーマを楽しく描いているように感じました。

話の中で不思議な出来事が次々と起こります。歩けなかったはずの老人ホーム'ひまわりの家'のおばあちゃん達は、元気に走り回っています。小金丸の船員が船の墓場を見つけた時に『船の墓場ですよ、きっと。あの世の入り口が開いたんですよきっと』と言っています。その後に、大きなグランマンマーレが通過したのを見て、『観音様が見えた』と言います。津波が起きて水没した町が綺麗なままの状態で残っていましたし、水も濁りや汚れがなくとても綺麗なままです。ポニョはトンネルを潜ろうとするとポニョは魚に戻っていきます。

これらは、”死後の世界”を表現しているのでしょう。歩けなかったはずのおばあちゃん達が急に走り回る姿は、もう天国へ旅だった後の姿でしょう。彼女たちと一緒にいた宗介、リサ、ポニョもみんな死んでしまっているのでしょうか。しかし私達がこのストーリーを見る限り寂しく悲しい気持ちになるようなことはなかったと思います。人は例え死んだとしても、天国という楽しい世界に進み死後もみんなと一緒に生きるのです。魂になり、生き続けるのです。決して悲しいことではなく、それが人生であり、また生まれ変わり次の命を受け取り生き続けるのです。つまり、難しい言葉でいうと”輪廻転生”という言葉がしっくりきます。生まれて、亡くなり、また新しい命として生まれる、この繰り返しなのです。難しく少し怖い印象のテーマではありますが、子供が見たら、輪廻などとは考えることはなく、人面魚ポニョの不思議な姿や宗介の可愛い声、リサの母として働く姿、ひまわりの家のおばあさん達を自分のおばあちゃんと見比べてみたり、そんな風に楽しみながら子供たちはこの作品を見るでしょう。宗介やリサが実は亡くなっているなど考えないでしょう。津波が起きてもそれほど怖いというイメージはないでしょう。大人が見たら、もしかして、、と感じる内容ですが、子供たちにとっては楽しく可愛い人面魚と幼い男の子宗介の話となるのです。

子供から見るポニョと大人から見るポニョのストーリー性の違いについて考えてみます。

ポニョにキスをされるとある境界を超えることが出来ます。ストーリー中にポニョからキスされたのは、宗介、おばあさんのトキさん、ボートの上で会った赤ちゃんです。

ポニョは亡くなった人を死後の世界に連れていく役割があるのでしょう。ポニョは案内役のような存在なのです。もうすぐ生まれてくる魂が海に沢山浮かんでいます。それはポニョの妹たちなのです。

作品中に出てくるトンネルは、この世とあの世の境界となっています。子供から見たらトンネルと聞いたら電車を想像して楽しいイメージがあるかもしれません。しかし、トンネルの中は真っ暗で怖く、トンネルの先にはどんな世界が待っているのか分かりません。ポニョが気にかけていた小さな舟の上にいた一家は、”山の上のホテルに向かう”といいますが、それはあの世を意味しているのです。まだ成仏出来ていない魂が彷徨っている様子を描き、夫婦と一緒にいる赤ちゃんは、まだ成仏出来ない状態なのです。ポニョは成仏出来ない赤ちゃんをみてそっとキスをします。それは、赤ちゃんを成仏させて死後の世界に導いているのです。ポニョの役目は重要な役割だということが分かります。

婦人が飲んだスープは、人が生まれ変わる前に前世を忘れさせるために飲まされるスープなのです。忘却のスープと呼ばれるものがあるそうです。

ポニョのお陰で赤ちゃんが成仏したことにより、夫婦は安心します。赤ちゃんのことがずっと心配で成仏出来なかったが、ポニョのおかげで夫婦は安心しているのです。その証拠に、他のボートの人に夫婦は声を掛けます。”こちらはもう大丈夫ですよ”と。もう成仏できましたから大丈夫ですよという意味として捉えることができるのです。このように、考えると悲しく切なく少し怖いというイメージがしてしまいますが、きっと子供たちはここまで深入りしてこの作品を見ることはないと思います。子供にとっては楽しい作品として世の中にでていますが、物事の裏側をつい考えて見てしまう大人からすると輪廻転生、死後の世界という映像に見えてきます。これは決して駄目な見方ではありません。きっと子供には楽しく愉快な作品として、、大人には死後の世界について考えさせられるような展開のストーリーになっているのです。見終えた後の不思議な感情はこれらが理由だと私は理解しました。

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