BL界1の繊細な絵
bl界で人気急上昇中の宝井先生の作品の「花のみぞ知る」の魅力をたっぷりと引き出していきたいと思います。
宝井先生の作品の魅力として一番初めにあがるものはやはり”繊細で綺麗な絵”でしょう。第一印象はやはり大事です。綺麗なタッチの表紙に惹かれてこちらの作品を手に取った方が多いのではないのでしょうか。絵の繊細さはもちろん登場人物の心情も事細かに描かれているため読者も感情輸入しやすいです。
二人の主人公は言ってしまえば間逆の性格です。有川は社交的で明るい性格、御崎は人付き合いが苦手でクール。こんなふたりがお互いに惹かれあっていく描写が心をくすぐられます。筆者が惹きつけられたのは、有川です。彼は男女問わず人気で人当たりもよいんですが何事にもあまり執着しない様子が作中から伝わっています。彼女にもとても紳士的なんですが、熱が感じられない。そのことに彼女も気づいていましたね。有川を好きでよく観察している人にだけわかる彼のどこか不思議な人柄。そんな何にも執着しない彼が御崎のことでいっぱいっぱいになってしまいます。もうこれがたまりませんよね。その細かい人柄をじわじわと描いている宝井先生は素晴らしいです。彼自身も自分の行動にとまどっているでしょう。思うがままに御崎にアタックしていきます。御崎も始めはうんざりした様子でしたが有川と一緒にいる時間が増えていくにつれて彼に惹かれていっていますよね。御崎のようなおとなしい子には少し強引なほうがあっているのでしょう。強引と言ってもそれは御崎を好きだからついついとってしまう行動。有川は裏表のない素直な子なんです。だからこそ御崎も彼を受け入れることができる。
御崎には少し暗い過去がありましたが、それがあったからこそ素直で御崎を受け入れてくれる有川に惹かれたんでしょう。御崎のことになると衝動で動いてしまう有川がとてもかわいいです。そしてそれに不器用ながらも答えようとしている御崎もまたかわいらしい。ちぐはぐなふたりだからこそ恋に一生懸命になれるんでしょうか。何にせよ、ようやく思いが通じて最後のほうはラブラブで読者からすると美味しい展開で嬉しい限りです。御崎が少しづつ素直になって言っている様子もほほえましいですしこれからも二人のペースで過ごしていくんだろうと思いました。
そしてこちら読んでいる方は知っているとおもいますが、スピンオフ作品で”花のみやこ”でという作品があります。”花のみぞ知る”を読んだ方は絶対に読まないといけないです。二つの作品でより感動を得れます。筆者が思ったことですが、やはり時代背景や家柄は恋に様々な要因をあたえますね。この時代の二人だからこそ恋が実ったのです。そういった点ではほんとうによかったね、と有川と御崎に言いたいです。二人を温かく見守っていた辻村教授のことを思うと胸が痛くなってしまいました。教授は障害があまりにも大きすぎた自分の恋は実らなかった為、二人には上手くいってほしかったんでしょう。同性同士の恋とはラブラブだけではなく切なさやもどかしさもこんなにもあるんだよ、と教えてくれた作品でした。
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