人魚という美しさ
アニメ史上、最も美しくそしてこんなにも鮮やかに同性愛を描いている作品はあるだろうか。
両親のエゴによって傷つき、唯一愛情をもって育ててくれた祖父を亡くした少年・洲と美しき人魚(男)のイサキ。キャラクターデザインはもちろん映像自体が美しく、30分の放送が少々惜しいと思うほどの作品である。
徐々に二人の距離が縮まっていく描写も独特であった。洲は右目、イサキは左目をアップで描写され、それが対照的かつ二人の信頼が厚くなっていくことを現しているようにも見えた。
「愛して…」
この言葉は作中で何度も出てくる。親の身勝手な思想を押し付けられ、自分を見てくれない寂しさから発した洲の言葉は現実世界の子供たちに通じる者があるのではないだろうか。過去の回想で、「理想の自分」「いい子の自分」と値段タグのようなものがつけられて横たわるたくさんの幼少期の洲。ただ親の愛情を求めるがために自身の心に負荷をかけて苦しんでいた洲の闇は、現在問題になっている虐待や育児放棄にもつながるのではないだろうか。
そんな洲を支え、愛してしまうのがイサキ。
愛に飢えた洲の心を理解し、人ならざる者としての苦悩を抱えながらも一途に洲を愛す。そんな彼がこの作品ではとても人間的に描写されているのではないだろうか。
そして最後のキスシーン。
鼻血をふいてしまった(笑)
またTSUTAYAに言って借りようと思う。
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