幸せになれなかった双子 - ひぐらしのなく頃に解 目明し編の感想

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ひぐらしのなく頃に解 目明し編

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キャラクター
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設定
2.50
演出
4.00
感想数
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幸せになれなかった双子

4.04.0
画力
5.0
ストーリー
3.0
キャラクター
4.0
設定
2.5
演出
4.0

双子のキャラクターは漫画界に多く存在する。たとえばタッチの上杉兄弟、デュラララ!!の折原九瑠璃と折原舞流の姉妹など。そしてこのひぐらしのなく頃にの前原圭一、赤坂衛に次ぐ三番目の語り手、園崎詩音も顔が瓜二つの姉、魅音をもつ双子の姉妹だ。

だが、個人的なイメージとして、双子キャラはどちらかが幸せになれないという印象が強い。本当にそうか少し調べてみた。まず先述の上杉兄弟、兄の達也より優れていた弟の克也は事故死という悲しい結末をたどっている。次にローゼンメイデンの蒼星石、翠星石の双子。蒼星石は翠星石に対しては誰よりも嫌いだが、誰よりも大好きという複雑な感情を持っている。 この時点ですでに歪んだ感情を持っている上に、最終的には蒼星石はアリスゲームに敗北し、ボディすらも奪われるという散々な結果である。基本的に、片方がどこか歪んだ感情を持っていたり、二人の間に能力的もしくは地位的に優劣があると、片方もしくは双方が悲惨な結末をたどることが多いようだ。

完全にこれは園崎姉妹にもあてはまるだろう。双子という時点で殺されるのを情けで生かされる代わりに寺に入れると言う意味に詩音と名付けられ、全寮制の学園に強制で入学させられた。だが、本来は彼女が魅音であり、幼い頃に本来の詩音(現在の魅音)に入れ代わりを頼まれ、応じたところ、運悪くその日は園頭首の証である鬼の刺青を入れる日だったため、双子の立場が入れ替わってそのまま固定されてしまった、という歪んだ過去を持つ。そして目明し編では望まぬ入れ代わり、そして愛する悟史を救える立場にありながら救わなかったということで、魅音に激しい恨みを持ち、魅音を監禁し、自らを魅音として行動した。そして雛見沢症候群L4を発症し、誰も幸せになれない結末を迎えた。

本当にお互いを信頼していた双子なら、こんな凄惨な事件が起こっただろうか。いや、いくら雛見沢にルールZ(なにか凶事が発生すると園崎本家の仕業と思わせ、それに囚われる土壌、また、オヤシロ様の祟りを容認する土壌)があっても、詩音が魅音を信じていたら、このような事件は起こらなかっただろう。すべての原因は元々からあった二人のゆがんだ関係、詩音から魅音への歪んだ感情の高まり。雛見沢症候群の発症は、こそれが爆発するトリガーになっただけに過ぎない。

双子の確執がなければそもそも事件すら起きなかったかもしれないカケラ。誰も幸せになれないルールX、Y、Zに囚われたカケラの中でも、一番悲しいカケラ。だがこのカケラでルールYは否定された。古手梨花は二人に感謝するべきだろう。二人が幸せになれない双子の条件を満たしていたからこそ、一つのルールを打ち破るヒントを手に入れたのだから。

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