過酷な世界を生きる、少年の成長物語
「真・女神転生デビルチルドレン」は、ゲーム「真・女神転生デビルチルドレン 黒の書・赤の書」のコミカライズ版であるが、ゲーム版のストーリーに大幅なオリジナル要素を盛り込んだ作品となっている。顕著なのが、主人公「刹那」の腕が敵により切断されるというシーンに代表されるような残虐なシーンだ。刹那は、魔界で悪魔たちとの過酷で壮絶な戦いに否応なしに巻き込まれていく。原作のゲームでは、低年齢層をメインターゲットにしていることもあり、戦いの描写はとてもマイルドなものだ。これは原作を知る方の中には、原作を逸脱していると不快に感じる方もいるかもしれない。しかし、あえて幼い少年にとっては過酷すぎる世界を描写することで、より主人公刹那の成長を実感を持って感じられるようになっている。
刹那は、物語冒頭では頼りない少年であった。しかし、魔界での過酷な戦いの生活の中で、男として、戦士として成長していく。筆者が好きなシーンは、刹那が敵に向かい、「俺を殺してみろ!」と叫ぶシーンだ。頼りない少年が、敵を打ち倒す一人の戦士として成長したことがうかがえる、良いシーンだと思う。この作品は児童誌向けの連載作品でありながら過激な描写が多いという点が注目されがちだが、それはこの作品の表面を見ているだけに過ぎない。過激な描写は舞台装置でしかなく、過酷な世界で生きる一人の少年が戦士として成長するプロセスに、この漫画の魅力はある。- あなたも感想を書いてみませんか?
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