西尾維新の代表作『化物語』のアニメーション - 化物語の感想

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化物語

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映像
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ストーリー
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キャラクター
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声優
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音楽
4.40
感想数
5
観た人
21

西尾維新の代表作『化物語』のアニメーション

3.03.0
映像
3.5
ストーリー
2.5
キャラクター
3.0
声優
3.0
音楽
3.0

目次

好き嫌いが分かれる西尾維新ワールド

原作本、アニメ、グッズ、円盤と好評な売れ行きを見せ、ロングヒットを飛ばしている『物語』シリーズ。そのはじまりが『化物語』だ。

西尾維新という作家はよくも悪くも特徴的かつ個性的な作家で、万人受けする作風ではない。

それはアニメにも顕著に表れ、『化物語』は西尾維新独特の言葉遊び、レトリックとダイアローグが際立ち、アニメーション制作会社のシャフトらしい独特の背景、間と合わさって、独自の世界観を生み出した。特に『化物語』最大の特徴である各ヒロインとの丁々発止のやりとりはアニメ本編においてもかなりウェイトを占めている。

それらの特徴を好きだという人もいれば、全く受け付けないという人もいる。

これは西尾維新の他の作品にもいえることで、いわゆる”アンチ”と”信者”がくっきりと分かれているのも特徴だ。

好き嫌いが分かれるという事情をあらかじめ述べたうえで、『化物語』の考察に移ろう。

ヒロインたちそれぞれの怪異を解く物語

『化物語』シリーズは、それほど凝ったストーリーであるわけではない。作中に登場するヒロインたちはいずれかの怪異と関わりを持っており、悩まされている。主人公・阿良々木暦は忍野メメに協力を仰ぎ、彼女たちの怪異を解いていく…というのがおおよそのストーリーになる。

ヒロインごとにエピソードがわかれ、アニメはおよそ2話程度で話が解決する。分類としては伝奇ミステリと呼べばいいだろうか。阿良々木がヒロインと出会い、彼女たちを苦しめる怪異を知って、メメの助力のもと解決する。その一連の流れが繰り返される。

しかし、ここでも見どころとなるのが西尾維新イズムだ。阿良々木はツッコミ役で、ヒロインたちと漫才のようなやり取りが随所に挿入される。そのほとんどは、物語(怪異)に関わりのない内容ばかりだ。あまりに会話の数が多いので話のテンポが悪くなるとも思われがちだが、慣れてくると不思議と気にならなくなる。

ここが”アンチ”と”信者”の分岐点になるだろう。慣れれば気にならないということは、裏を返せば慣れるまでは我慢が出来ないということだ。ヒロインと主人公の会話が延々と続くと思えば、急に「そんなことより」で本題に戻ったりして、真面目な視聴者は戸惑ってしまうだろう。今までの会話の意味はなんだったか問い正したくなるほどだ。

しかし、不思議なことに慣れてくると、むしろその会話がないと味気なく思えてしまう。先にも述べたように、『化物語』のストーリーは凡庸で、よくある物語の一つにしか過ぎない。そこに西尾維新のスパイスを入れることによって、オリジナリティーを出すことに成功した。つまり西尾維新のレトリックがあってこその『化物語』であって、それが損なわれたら商品価値自体を失ってしまうのだ。

その特異な商品価値についていけない人間も、当然ながら存在する。故に『化物語』は、これだけ人気コンテンツとして有名になりながらも、賛否両論わかれている作品なのである。

独特のヒロインたちにも好みが分かれるか

さて、『化物語』もう一つの魅力が個性豊かなヒロインたちだ。

昨今、エンタメ業界では”冴えない主人公のハーレム”ものが定番となりつつある。いわゆるギャルゲーのような、没個性の主人公の回りに魅力的な少女たちが集まり、主人公を取り合ったりする物語のことである。

『化物語』も広義には”ハーレム”ものと云われている。主人公の阿良々木暦は不死身ではあるものの、日常生活でそれが発揮されることはなく、極めて普通に高校生活を営んでいる。阿良々木が怪異から解放される手助けをすることによって、ヒロインたちとの仲が深まる…というのもよくあるハーレムものの流れだ。「ツンデレ」、「妹キャラ」、「スポーツ少女」、「ロリ小学生」、「委員長」とヒロインそれぞれのアイコンも全くギャルゲーそのものだ。

しかし、西尾維新はここでもただテンプレートには収まらない。戦場ヶ原ひたぎは「ツンデレ」を超える毒舌サディストヒロイン、「妹キャラ」の千石撫子は何気にあざとく、「スポーツ少女」の神原駿河はレズにして腐女子だ。「ロリ小学生」の八九寺真宵は実はヒロイン最年長で思慮深く、「委員長」の羽川翼はネコ化するとかなりエロい。

このように、ヒロインの個性にも西尾維新の強烈がスパイスが降りかかり、そんじょそこらの少女たちにはないニュータイプのヒロイン像が確立されている。ヒロインのエピソードと共に、毎回オープニング曲が違うのも、彼女たちの個性付けに一役買っているだろう。

また、エピソードの怪異は彼女たちの悩みがダイレクトに反映されており、ただアイコンとしてのヒロインだけでなく、等身大の人間としての共感性も持ち得ている。一見変人ばかりの彼女たちは、いずれも思春期の少女らしい悩みを持っており、それが『化物語』という物語が支持される理由にもなっているのではないだろうか。

貴方のお気に入りは、いったいどの子だろうか。

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