流石羽海野チカ先生
この作品は短編集なのですが、どの話もよく出来ていてとても良かったです。その中でも怪我をした野球部員の青年とバレエを習っている少女の話がとても泣かされました。
この話は、怪我をしたせいで野球ができなくなってしまった青年が、転校してきて学校の勉強についていけず、それをお母さんにバレエのせいにされてしまい悩んでいるか弱い少女を励まし、共に成長していく話です。
この話の見どころとして、最初は気が弱く小さくなっていた少女が、野球部達と関わる中で少しずつ勇気をもらい、成長し、遂にはお母さんに言葉で、そしてバレエで、自分の思いを伝えるまで成長する、という所が挙げられると思います。特に最後お母さんと娘が打ち解けた場面は感動して思わず涙を流してしまいました。また、羽海野チカ先生が描く成長した少女はとても美しく、心に焼き付いています。思春期の男女の成長を、あの短いページ数の中で描く技術も羽海野チカ先生ならでわの技でしょう。
また、最後の先生と男子生徒の数ページだけの小さな恋を描いた話もとても良かったです。煙草を通して男子生徒が男の先生に寄せる小さな想いを読者にさり気なく悟らせる。これも羽海野チカ先生だからこそできるものだと思います。
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