九頭龍匠についての考察
棲龍館について
この探偵学園Qにおいて九頭龍匠の作品は最も重要なアイテムである。人物像についてはほとんど謎のままだが、天草流の曽祖父であることが分かっていることと、彼は同じ作品は10作以上作らず、9つまでしか存在していないということだ。そしてその作品一つ一つに謎が存在しているが、これがまたさまざまな事件の引き金になっていることも事実である。
しかし九頭龍匠はどのような考えで数々の作品を作り上げたのだろうか。もちろんヴァイオリンや幽霊画などはともかく棲龍館はいったいどのような思いで建造したのだろうか。とくに現在のQクラスがある旧校舎の七の館の龍は睚眦で「殺すを好む」龍であるが、あの地下牢をなぜ作ったのだろうか。あのような仕掛けなら悪用されてしまうかのせいも可能性あることは考えなかったのか。簡単に解かれるような仕掛けではないとはいえ、実際に冥王星に利用され、キュウとメグが窮地に陥ったのは事実であり、このようなことは考えなかったのか。
七の館を作ったのはいつだか定かではないが、キングハデスこと黒王星彦が生まれた後だと仮定する。そうすればおそらく黒王星彦を閉じ込める為に作られたのではないかと思う。さらに現在の棲龍館ホテルである九の館は黒王百合華の半ば強引な依頼で九頭龍匠に作らせたものである。
ここで注目する点は必ずしも一の館から順に作る必要はないということだ。ここからは完全に想像だが、九の館が最初に作られたのではないだろか。その後黒王星彦を閉じ込めるために七の館を作った。そしてその後、この二つの館が目立たたないようにするため残り七つの棲龍館を建造したのではないかと思う。あるいは九頭龍日記記には自らの息子を閉じ込めたことを後悔の気持ちが書かれていたため、その後悔の象徴でもある旧校舎を紛らわすために作ったのではないかと思う。
旧校舎の殺人事件の真実
旧校舎である棲龍館七の館の地下牢に閉じ込められていたのはキングハデスだったわけだが、その幽閉されていた時と同時期に起こっていたとされる殺人事件。その被害者はいったい誰だったのか。
キングハデスを閉じ込めていたのは、この建物の建築主である九頭龍匠だがリュウの推理だとその閉じ込めていた人物を殺したということになっていたが、キュウとメグが地下牢に閉じ込められた翌日の職員会議で団先生が警察の資料ではすでに犯人は逮捕され懲役を終えていると言っていた。
この犯人が黒王星彦、被害者が九頭龍匠というのが最も有力な説だろうが納得できない部分もある。もしこのように警察の資料に書かれていたのなら、とくに話の中心にもなっていた九頭龍匠が被害者ということは口にしていた可能性が高い。団先生は九頭龍匠という人物の謎と言っているが、ずっと前から九頭龍匠という人物も黒王星彦の父親であることを知っていた。この事実を隠していたため、この時も隠した可能性もあるが、そうではないように思える。団先生がこの事件には裏も事実があるといっていたように警察の資料に書かれていたことは全く別の真実ではないかと思う。
おそらく警察の資料には別の人物たちが書かれていたと思われる。キングハデスは一日に一度食事が与えられていたといっていたがそれを与えていたのが九頭龍匠でなかったとしたら、別の第三者だとしたら被害者はその人物ということになる。考えれば幽閉した時期も作品を作った時期も定かではないが、九頭龍匠はほかの作品を作るために全国を転々としていたわけだし、幽閉した後も全国を回り作品を作り続けていたとしたら、毎日食事を与えることは不可能に近い。また幽閉しているのを一人で見張るという可能性も低いと思う。二人、もしくはそれ以上の複数で見張っていた可能性が高い。もし仮にこの頃からキングハデスがあの催眠術を使うことができたのなら、様子を見に来た一人を殺し、もう一人に罪を着せることも可能だ。たとえ催眠術が使えなかったとしても、幽閉していたことは絶対にばれてはいけない秘密であるはずだから、キングハデスがあそこにいたことすら知られてはならないはずであり、九頭龍匠をはじめとした幽閉していた人物たちもそのことを隠していたはず。そのため警察もその場にいたもう一人を犯人とし、ばれたくない一心でそれを鵜呑みにしてしまったのではないかと思う。
千鱗龍の写真について
九頭龍作品の中でひとつ気になっている点は、なぜ千鱗龍に旧校舎の前で九頭龍匠と黒王星彦少年が写っていた写真が入っていたのかである。
おそらくこの千鱗龍はこの写真を入れるために作ったのではないだろうか。まず、この写真が千鱗龍に入っていたということは、千鱗龍を作成したのは旧校舎である棲龍館を建造したあとでまず間違いないだろう。そしてこの写真を入れたのも九頭龍匠本人で間違いない。そして入れた理由としては、九頭龍日記にも書かれていたように後悔の気持ちを表すために、幽閉した建物で息子と共に撮った写真をこの中に収めたのではないだろうか。
想像ではあるが九頭龍日記と同じようにいつか千鱗龍の謎を解き、この写真が息子の目に触れることを九頭龍匠は望んでいたのではないだろうか。
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