優しさも程度あり
二重螺旋シリーズの3作目。
篠宮家の家庭崩壊事情が世間に知られることになったきっかけの、高校生連続暴行事件の被害者、尚人の後輩野上への対応の話。
よくまあここまで読者をムカつかせる表現ができるなあと、感心します。主人公の尚人のしなやかさ、強さ、透明さが際立つほど、周りのエゴがみえてきて、なさそうでありそうな現代の人間・事件がそのまま重なってきます。
BLだし、Hもありますが、はっきり言ってあんまりそこは読んでて楽しくないので、すっとばします。何故っていつもワンパターンだからです。
実の兄雅紀と弟尚人の禁断の関係、これはすごく好きな組み合わせなんで、雅紀が嫉妬するとかべたべたに可愛がるとか、まーちゃんかっこいいとかってノリのエピソードはもっと入れてほしいけど、Hシーンはねえ。はっきり下手です。
さて話を戻して、被害者同士だしと学校サイドに頼まれて野上にアドバイスしていくうちに、野上が尚人に依存していって、僕をわかってくれるのは篠宮先輩だけと思いこんでいく様子は理解できるっちゃあ出来るけど、周りが言うように、早く自分で立て!尚人に甘えるな!とホント言いたい、言いたくなる展開。
作者もあとがきで言ってましたが、善かれと思ってやったことで傷つけてしまう。優しさっていったい。難しいですね。
でも本当にこの話の中だけじゃなく、家族関係や友人関係、世間の認識とか色々と現代社会のあるあるを投影していると思う。
シリーズの中ではまだ序盤の話なので、この後まだまだハラワタ煮えくり返る出来事いっぱいなんですよね。
できればハッピーエンドで終わってほしいです。- あなたも感想を書いてみませんか?
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