この映画を知らない人は少しもったいないかもしれない
料理がなぜ人を魅了するのだろうか。日々機械的に料理を考えずに口に運ぶ私にとっては料理というものを見直すきっかけになるような映画だったと思う。大統領専属の料理人に抜擢された女性シェフを描いた作品であるが、この話は実話をもとに作成されたものだというのだ。なんともうらやましい話である。なんといってもこの映画に出てくる料理はどれも一級の芸術品としての価値があるからだ。それは単に技巧的に凝った豪華なデコレーションのある料理というわけでは決してない。素材そのものが美しいのである。「技巧でなく、素材で料理を魅せる」この当たり前の事実を再認識するのは自分の食に少々の喜びを加えてくれる。また美しいのは料理だけではない。料理人を取り巻くスタッフとの不和・栄養士からの無理難題・・・。料理人の苦悩とその結末に至る一連の流れがこの映画そのもののフルコースなのである。だからフランス大統領(実は著名な哲学者が演じている)は言うー「辛いことというのは人生のスパイスだ」ー全くもってありがたい。この言葉が無かったらこのフルコースは完成し無かったであろう。見た目の美しさだけでなく、料理を通じた苦悩という人生のフルコースまで味わえるこの作品、一見の価値は十分にあるだろう。
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