桜の森の満開の下。傑作 - 桜の森の満開の下・夜長姫と耳男の感想

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桜の森の満開の下・夜長姫と耳男

4.004.00
文章力
4.50
ストーリー
4.50
キャラクター
2.00
設定
3.00
演出
5.00
感想数
1
読んだ人
1

桜の森の満開の下。傑作

4.04.0
文章力
4.5
ストーリー
4.5
キャラクター
2.0
設定
3.0
演出
5.0

正直に言ってこの作品は腑に落ちないことが多い作品だと思う。しかし、かといって駄作かと言われると決してそんなことはない。単純に言ってしまえば不可思議とでもいうべきなのであろうか。桜という漢字では決してわからないことだが、古来桜とは神の居座る場所という意味があった。そのせいであろうか、人間は桜を見ると何分不可思議な高揚感に襲われてしまうものである。決して桜の下で沸き起こるどんちゃん騒ぎによるものでない、なんとも言えない興奮、これが桜のもたらす美というものであろう。この桜の森の満開の下でも、もちろんそれは変わりがない。ただ、唯一の違いといえば桜の森がなんとも言えず恐ろしいのである。主人公の男がやがて女に毒され、ついに桜の森=錯乱の森?に足を踏み入れてしまって以来、男の鼓動は止むことがなかったであろう。脈打つ鼓動に突き動かされ女を殺してしまう瞬間には恐怖から解放されたためであろうか、ある種のカタルシスすら感じる。きっとこの女こそ桜にやどる恐ろしさの象徴なのであろう。なにせ、美しくも恐ろしいのだから。世の中に 絶えて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし この世に(はたまた男女の中に)もし桜がなかったのならば、春の人の心はのどかであろうに・・・全く持って同感である。桜とは美しくも恐ろしいのなのだから。

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