大人気作家ジョン・グリシャム処女作の映画が面白くないわけがない! - 評決のときの感想

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大人気作家ジョン・グリシャム処女作の映画が面白くないわけがない!

4.54.5
映像
4.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
4.0
演出
4.0

目次

アメリカの人種差別問題を取り上げた根っこの深いストーリー

話の始まりはアメリカ南部のミシシッピ州クラントン(架空の街)で、白人の青年2人が黒人少女をレイプする事件が発生するところからです。黒人少女はレイプされるだけでなく激しい暴行を受けて重体になり病院に運ばれてしまいます。

黒人少女をレイプした白人青年2人は逮捕されますが、黒人差別が強く残るこの地域では白人が正当に裁かれる可能性が低く、黒人少女の父親カール・リー・ヘイリー(サミュエル・L・ジャクソン)が馴染みの白人弁護士ジェイク・タイラー・ブリガンズ(マシュー・マコノヒー)に相談します。

しかしカールは生まれも育ちも南部であり、法の機関である裁判所でさえ白人が黒人に対して犯す犯罪の評決が甘いことはわかりきっていました。

ここでカールは娘をレイプした白人達の判断を裁判所に委ねるのではなく、自らの手で引導を渡すことを決意します。裁判所に連行される白人青年2人を待ち伏せして自動小銃で射殺してしまいます。この時、護衛をしていた警官も負傷させてしまい第一級殺人罪と傷害罪で逮捕されてしまいます。

馴染みの白人弁護士ジェイクはカールの弁護を引き受けますが、黒人差別の根強いこの地域では裁判官も陪審員もそれ以外のほとんどの人間が白人贔屓です。KKK(クー・クラックス・クラン:白人至上主義団体)も登場してきて家族や助手、自分の命も狙われる緊迫した状況の中で裁判は進んでいきます。

この圧倒的不利の中でどのように巨大な白人主義に立ち向かっていくのか?

黒人差別、白人至上主義、娘をレイプされた父親、同じ年頃の娘を持つ白人弁護士、、、

「正義」とは?

「人間」とは?

映画を見終わった後、色々と考えさせられる作品です。

豪華俳優陣で臨むキャスティング!マシュー・マコノヒーの出世作となった本作品

本作はストーリーも秀逸ながら、映画を盛り上げるキャストも豪華な顔ぶれです。

若き白人弁護士ジェイク・タイラー・ブリガンズ役にマシュー・マコノヒー、彼はアメリカ映画の若手スターのほとんどがオーディションを受けている中でこの作品の主役を勝ち取りました。

ジェイクの助手エレン・ロアーク役にサンドラ・ブロック、彼女は「スピード(1994年)」で一躍有名になった翌年に「あなたが寝てる間に…(1995年)」でゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされ、勢いのある時の出演になります。ジェイクの助手を務める好奇心旺盛で知的な女性を演じています。

黒人少女の父親カール・リー・ヘイリー役にサミュエル・L・ジャクソン、ハリウッド映画有数の名脇役です。アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたこともあるほどの実力派俳優です。娘をレイプされ復讐に燃える父親を見事に演じています。

検察官ルーファス・バックリー役にケヴィン・スペイシー、アカデミー賞主演男優賞、助演男優賞等、数々の賞を獲得して来た超実力派俳優です。本作品ではマシュー・マコノヒー扮する白人弁護士ジェイクと、法廷で熱い討論を繰り広げる敏腕検察官を演じています。

殺害された白人青年の弟フレディ・リー・コブ役にキーファー・サザーランド、ご存知海外ドラマ「24」のジャック・バウアー役で有名な彼ですが、この頃はあまり役がもらえなかったようですね。

この映画で問われる真の正義とは?

この作品に初めて出会ったのが原作の方で、最初に読んだときは衝撃を受けたのを覚えています。この作品を読んだおかげで裁判モノの作品が好きになり色々な裁判モノの小説を読みました。そのくらい私に影響を与えてくれた作品です。

では感想の方ですが、この作品の重要な要素は「人種差別」だと思います。日本でも人権問題はありますが黒人差別問題は想像できないくらい理不尽なものだと感じたのを記憶しています。このような環境の中で健全な議論ができるとはとても思えませんが、裁判はどんどん進んでいくんですね。そのなかで仲間達と知恵をしぼりながら差別社会へ一石を投じる結末に向かっていきます。

レイプされた娘を持つ家族は、白人贔屓の裁判所の不当な判決を受け入れなければならないのか?というと、それは不条理を感じてしまいます。娘をレイプされた父親の感情で言えば、「裁判所が裁かないなら自分で裁く!」という部分にフォーカスしてしまい、正義があれば復讐は認められてしまうのか?ということになってしまいます。

では白人青年2人を射殺して復讐を果たした父親は、理由は何であれ殺人を犯したわけだから法律で裁かれなければならないのか?というと、簡単にそうだとは言えない割り切れない自分がいます。

本作のクライマックスに白人弁護士ジェイクの最終論弁があります。この最終論弁が終ると陪審員達は最終評決を出すことになりますが、この最終論弁のなかに白人だからとか黒人だからではなく、人間としてあるべきものを見て感じて考えようという気にさせてくれます。

ハッピーエンドなのかバッドエンドなのかは、実際にこの映画を観るか、原作を読んで自分で感じて欲しいのでここには書きませんが、この映画を観て「差別って嫌だな〜。」とか感じることが出来れば世の中のイジメも少なくなるのかなぁと思いました。

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