危うい世界観にのめり込む/流血が多いので苦手な方は注意を
昔、心理学を勉強していた時期があったので、『悪夢』というテーマにひかれて、あまり内容を確かめずに観ました。後で確かめたら、分類上はホラーでした。確かに、心理学というよりオカルトっぽい内容です。流血シーンが多く、かなり生々しく描かれているので、血が苦手な方は避けた方がいいかもしれません。 夢を見ながら自分を切りつけるという不可思議気な事件を追うために、自殺者たちが最後にかけた相手『0』に自ら電話する女性刑事をhitomiさん、他人の夢(心にも)に入れる能力を持った自殺願望のある不思議な青年を松田龍平さんが演じています。他にも、囮捜査のつもりが自殺してしまう刑事の安藤政信さん、ベテラン刑事の大杉漣さんなど、皆さんいい演技をなさっていると思います。鍵となる『0』は監督・脚本の塚本晋也さんが演じているのですが、これもまた迫力満点です。 物語は不可思議な感じなので、評価はわかれるところかなと思います。はまる人はどっぷりつかって楽しめるでしょうし、駄目な人はただグロテスクな映像が目につくだけという感じになりそうです。 映像は、全体的に色彩を抑えた感じが、心に危うい死の影を抱えた登場人物たちの姿にとても合っています。その中で、血の赤だけがやけに鮮明なのも、死の影を濃くしています。しかし、その分、主役の2人が『生きたい!』と心の底から思った瞬間の鮮明さも際立っています。 個人的には良作だと思います。少なくとも、松田龍平さんの感情を抑圧した演技は一見の価値ありです。
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