明治時代を自分らしく生きる二人の少女の物語
物語は、11歳で両親を亡くした少女・お卯野が、父親の知り合いで横浜の貿易商「叶屋商会」の主人に小間使いとして引き取られるところから始まります。お卯野は自分が小間使いとして仕える同い年のお嬢さん・万里子の見かけの美しさに似合わぬおてんばぶりにびっくり。叶屋の主人の好意で、お卯野と万里子は横浜の英語塾へ一緒に通うこととなりました。二人は共に学び、遊び、大親友になり、そして叶屋の隣りに住む医者志望の新太郎に共に恋をします。二人は英語学校を終え、お卯野はアメリカ人医師の診療所の手伝い就職し、万里子は女学校に進学、新太郎はアメリカに医学を勉強しに留学することになりました。三人の恋の行方は、将来は? 男尊女卑の明治時代初期に女性が学校に行くのはなかなか認めてもらえないことであり、だからこそ二人が英語塾で生き生きと勉強に励む姿がすがすがしく見えます。読んでいて元気になる巻です。 優等生の芸者の先輩、外国人の父親を持つ混血児の学友、英語塾の先生の息子、貧乏な船乗りの青年など、個性が光るキャラクターが出てきます。彼らはこれからのストーリーで大きな役割を果たすことになるので、要チェック。 ちなみに、田舎育ちの少女がお金持ちの奉公人になり、お譲さんのよき学友、よき親友になり、同じ人を好きになってしまうところは、昔のNHKドラマの『おしん』に似ていますが、『おしん』放送の2年前にこの作品の連載が始まっているので、『おしん』のパクリではありません。
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