地下鉄(メトロ)に乗っての感想一覧
映画「地下鉄(メトロ)に乗って」についての感想が4件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
昭和へ!
地下鉄に乗って幾度となくタイムスリップしてしまうのは、主人公の真次。中年男性。行き先は戦後すぐなど、確執のあった自分の父の人生の転機をいろいろ垣間見ることになります。そして真次と不倫中のみち子。演じる岡本綾さんの影がある雰囲気が驚くほど合っていて、それだけの為にもう一回観ても良いと思えるほど。もちろん主演の堤さんも独特な味わいの演じ方を見せてくれます。設定随所によくわかんないポイントもなくはないですが、昭和の時代を体感し、登場人物の出生の秘密を味わい、常盤貴子の蓮っ葉な感じを楽しめます。とある人物の苦悩の先にある、観ていて衝撃だった展開が本当に忘れられません。
大沢たかおさんの演技が光る
大沢たかおさんの演技に尽きる映画。地下鉄の中でタイムスリップをしてしまうところにはファンタジー要素があり、父親との確執は現実味があり、その二つがうまく融合することができずに分離している印象。うまく表現することができないが、その分離が「真面目にタイムスリップしている」かのように、違和感を感じ続けてしまった。その中でも文句なしによかったのが、大沢たかおさんの演技。父親の若い時代はタイムスリップするたびに変わるが、どの時代も熱演されている。少年時代は初々しく、大人になるにつれて男性としての色気と力強さを感じた。不倫相手という立場だからか、最初からみち子には好感を持てなかったが、ラストの重要な選択でも疑問を感じるところがあり、最後まで共感できなかった。映画全体の要素はいいが、うまく調理しきれていないような印象を持った映画だった。
罪悪感が在ると、時が止まる 呪縛の思考回路
これは「親のありがたみは親にならないと判らない」と言うお話で、育成する人が吹き込んだ話を子供は情報として、データー入力してしまう、母親が語る言葉は大切だというメッセージがあります。母親が父親は酷い人間だと言う情報を吹き込まれた青年が、タイムスリップして青年時代の父に合い、真実を見つける話です。これは、多分ここでなら本当のことを言っても叱られないと思うので言いますが、ゆがんだ母親から父親への憎悪を植え込まれた人は沢山居ます。また反対に父親から母親への憎しみやゆがんだ感情を植えつけられた人も沢山居ます。この映画は、根本的に大人は大人であるわけではなく、大人にならない人は其処に留まって自縛されてしまうと教えてくれてます。主観と客観は全く違うもので、人は己に非が在ると知っているとき、相手を無理やりに攻める、こういう自己肯定をするという特性が在ると教えてくれる映画です。
育った環境は影響する!?
よく、育った環境は人生に影響する。と聞きますが、まさにそれが映画になった感じでした。 父親の生き方が嫌いで、確執があった堤真一さん演じる真次。そんな真次が、地下鉄で過去へタイムスリップイしてしまい、自分が生まれる前の父親に会いに行く。。といったストーリー展開。自分が今まで知らなかった父親の思いや愛を知り、ようやく父の気持ちが理解できた。。という真次ストーリーはとても感動できたのですが、どうも愛人側の岡本綾さん演じるみち子が、自分の出生の理由を知り、最後に取った行動が、それでいいの!?違う道はなかったの!?と理解できず。。 そして、ど真次もみち子も両親と同じような人生を辿っている所があり、血は争えないのかな。。といった印象を受けました。 俳優さん達の演技力も高く、とても見ごたえある映画でした。 が、結末は個人的には腑に落ちない展開でした。