独身中年男が父親になれるのかが見どころ
独身のサラリーマンが亡き親友の子供を引き取る
なんともありえない奇想天外な発想だが、主人公の阿部サダヲと芦田愛菜ちゃんという今をときめく代表のダブル主演ということでつい見ちゃいました。が、毎回毎回そのキャラクターの言動とストーリー展開と鈴木福君と芦田愛菜ちゃんの可愛さにのめりこんでいき、周りのママ友たちも同じだったようで、毎回感想を言い合うのが習慣でした。マルマルモリモリのエンディングを歌って踊りたいために我が家の子供も、よその家の子供も起きていてもいい日だったそうです。だからか、遅い時間帯のドラマだが、怖いシーンやエロいシーンなど子供に見せたくないようなところはなくて、安心しました。阿部サダヲが演じるマルモが双子を引き取って生活する上でのルールブック「マルモのおきて」が一話一話の大事なキーワードであることが話の終わりで分かりました。そこには母親が存在せずに、父親がわりの男と異性の子供二人の組み合わせが、家族になっていく様を見せつけられているのだが、こっちは本当の家族で私は母親なので、時々は突っ込みをいれたくなるような、乱暴な設定だが、そこには純粋でひたむきな友情と愛があり、私にはできない、かなわないと思わせるセリフと行動にあふれていました。
周囲の大人たちの手助けなくして成長なし
居酒屋「クジラ」の二階を間借りして、マルモと双子の兄弟の薫と友樹と犬のムックが暮らすのだが、このクジラのご主人が、世良公則ということでびっくりしました。あの渋くてかっこいいロックスターの世良公則がどんな風なこわもてのご主人になるかと思いきや、とてもやさしく、たれ目と渋い声でマルモと双子をお世話し、時には保護者代わりに料理や運動会の弁当を作ったり、相談に乗ったりしていい味を出していて感動しました。そこには今の時代に忘れられがちな「義理と人情」があり、お金には変えられない純粋な温かさがあふれている居酒屋でした。出戻っていた、ご主人の娘の彩ちゃんもお店を手伝うが、彩ちゃんががマルモを好きになっていくのは、分かりやすくて、ちょっと直球すぎて、最初から見てて、分かりやすかったです。この彩ちゃんの存在は、双子にはちょうどいい年頃の自分たちの味方になるお姉さん的存在で、この彩ちゃんの説教はすんなり受け入れて、溶け込んでいるのがいいと思いました。彩ちゃんは結婚に失敗していて、出戻りなのだが、マルモたちの風変りの家族ごっこを日に日に目のあたりにして、自分の結婚の反省をするところがいじらしく見えました。マルモの会社で片思いをしているマドンナのかなさんも途中までうまくいくかと思いきや、結局はマルモがかなさんよりも双子を取ったような形で敗北感を味わわせてしまったところが、なんとも後味の悪いところでした。双子とマルモの家族の愛を軸に置いたドラマだから、マドンナのかなさんと恋愛を成就させるわけにはいかないのではあるが、私の感想ではそこはありえないことでした。かなさんを好きなら、まず二人の恋愛を成就させて、味方につけてから、双子に会わせるべきだったのではと思いました。ですがスペシャル版で分かったことですが、のちにマルモと結婚することになる彩ちゃんが控えているので、かなさんとは破局させておかなくてはならなかったのもうなづけます。
実母よりもマルモと暮らすことを選ぶ
会社でマルモが双子を育てていることがばれることになるのだが、そこでもマルモの人の好さの性格と状況に同乗して、同僚の男性のシマシマこと真島君と上司のタミさんと派遣社員のりんかちゃんがそれぞれ育児にだんだんと協力してくれるところが実に気持ちいいと思った場面です。私も二人の子供を育てている最中ですが、子育ては絶対に一人で出来ないです。協力者がいないと育児が出来ないからです。体力はあっても知識がなければだめだし、知識があっても経験がないとだめだし、経験があっても、理解をしてくれる仲間がいないと孤独に陥るからです。薫と友樹の年頃だと、まだかわいいし、素直だし、境遇も同乗されやすいので、そこはすんなりと摩擦がなくてよかったです。担任の先生も大事なポジションですが、ここはマルモのすごいところですが、特別に扱ってほしいと願い出ると思いきや、他の子供と同じように扱ってほしいと申し出るところが、感動でした。
実母との関係に決着をつける
そして、ありえないとおもっている一番のキーポイントの実母のあゆみですが、どうしても、話の設定に無理があると最後までそこは揺るぎませんでした。育児ノイローゼで出ていく、そして、子供には突然目の前に現れる、子供立ちは死んでいることになっているこの3点です。ドラマだし、マルモと子供立ちの友情を超えた家族になるのがこのドラマのテーマなので母親に引き渡し、母親と暮らすことはありえないことかもしれませんが、私だったら、やはり最後は母親に戻すのがいいと思います。マルモとは週末や夏休みに、かつて一緒に住んだことのある親戚のお兄ちゃんでいいじゃないかと思ってしまうのです。ここは、我々、ママ仲間といろんな意見が出ましたが、たいがい元気になって経済力のついた母親に戻すのがいいという結果でした。育児ノイローゼになるのが、悪いみたいな書き方ですが、双子の育児は想像以上に過酷です。一人でも産後うつになった私が言うのですから、想像を絶する生活だったと思います。亡くなった友達には悪いですが、サポートが足りなかったと思うのです。離婚して出て行った母にも、死んだことにせずに、元気になったら顔見においでくらいはしていてほしかったです。想像していた通り、母親に引き取られて、マルモに別れを告げるシーンが皆泣いたと思うのですが、当然私も泣きましたが、涙を流しながら、見ている私が感じたことは、泣かせている実母が悪者になっているような設定も違和感がありました。まるでマルモから引きはがすいじわるな母親にするのも、なんだかなあと感じていました。じゃあ、逆に、母親と暮らしているところにマルモが乗り込んでいって、母親が泣きながら別れを告げるシーンがあったとしても、私は確実に泣きますし、皆さんもおそらく泣くでしょう。
最後はみんなハッピーエンドになったかどうか気になる
私的には、マルモに家族を守ってくれてありがとうと言って実母のまゆみに引き渡してほしかったです。そして、亡くなった双子の父親である純一郎のシーンも増やしてほしかったです。まゆみに対しても、希望につながる手紙かビデオレターを残すとかしてほしかったです。そこは私が母親だからかもしれません、子育ての大変な時に逃げ出したわけですから、夫や子供に許すよと言われないとずっと負い目から逃げれないと思うのです。最後はまゆみも彩ちゃんも、亡くなった純一郎のお兄さんや、かなさんも一緒にバーベキューをするシーンで締めくくってほしかったです。皆が幸せになるシーンを見て、最終回を迎えたかったです。もう少ししたら、薫は女性っぽくなるだろうし、友樹も男っぽくなるだろうし、あの狭い部屋には3人で川の字で寝れなくなる日も近くなります。あの終わり方だと、その後の双子の人生がどんなになるのか、想像の域を残したまま終わったドラマになります。いつか大人になった双子が、マルモの元を離れてどんな過程を得て、それぞれの道を歩むことになるのか、どのように自立することになるが、スペシャル版を見てみたいと切に願っています。
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