どこか懐かしいスタイルのドラマ - マルモのおきての感想

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マルモのおきて

4.134.13
映像
3.50
脚本
3.63
キャスト
4.50
音楽
4.00
演出
3.75
感想数
4
観た人
13

どこか懐かしいスタイルのドラマ

4.04.0
映像
3.0
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
3.5
演出
4.0

目次

連続ドラマらしい、毎話のおもしろさ。

このドラマは当時これ以上ないブームを巻き起こすドラマになった。その年では一番流行したといってもいいくらい世に知れたし、紅白歌合戦にも子役二人が出演していた。これほどまでにブームになったのだから、さぞ有名なプロデューサーや脚本家がこのドラマを作ったのだろうと思って調べてみると、それがそうでもない(非常に失礼な言い方になってしまうが)。ただそれもある種よかったのではないかと思う。かつてのドラマと言えばそうだった。特に脚本家や作り手の癖や特色を前面に出さなくても、毎話毎話が楽しめるということでドラマというのは見られたと思うからだ。最近はそういったドラマが少なくなってきていると思う。やりすぎとまで思えるような世相を反映させた景気の悪さやリアリティを追及しているようなドラマ、原作が面白くて且つヒットしているというある種の証明を得たものをドラマ化するもの、また確実にヒットを生み出してきた名脚本家による盤石のドラマ(これについては全く否定する気はない)。このようにある種予定調和的なドラマが多くなってきているのに対して、このドラマはそういったものに当てはまる物ではない。そして十数年前ではこういったものの方が多かった気がする。

ではこのドラマにある十数年前にあったような「らしさ」というのは何かというと、いくつか挙げられる点がある。一つは時代の流れやみんながその当時それぞれ抱く問題を前提として用いないテーマだということだ。このドラマはいわばどの世代の誰にでも平等に楽しめるようなテーマになっていて、下手をすれば途中から見ても面白いというような内容だった。

そして突拍子もない物語の立ち上がりなんかもそうだと思う。ドラマが始まるきっかけとなる一つの出来事が、ある種「そんなことあるかよ」というような現実離れしたないようであることだ。これは現在最も少なくなってきていると思うドラマの形式なのだが、これも以前は必需的なポイントだったと思う。同じ子役もので言えば、かつての『人にやさしく』や『家なき子』なんかもそういった始まりを見せていた。多少物語の始まりが強引だったとしても、その点をポップさや表現次第で乗り切り、その後は目新しい出来事に対して現実に起こるテーマをぶつけていくというやり方だ。このドラマで言えば独身の男性が友人の双子を引き取るということや、犬がしゃべりだすというようなことがそれにあたる。その点だけ考えれば、「そんなことあるかよ」と言いたくなるが、実際はあまり気にせず見ることができる。

もう一つは分かりやすいポイントで、『やまとなでしこ』でもあったような、あまりかっこよくなくてモテなさそうな男性が、美人な女性と恋愛関係に発展していくという要素があるということだ。このドラマに関してはそこはあまり大きなポイントではないが、ドラマを見ていく上では楽しめる要素の一つであった。

芦田愛菜のすごさ

テーマについての良さは上に記したとおりだが、それもある意味で言えば常とう手段を普通に用いただけともいえる。ではこれほどまでにヒットした要因として言及せずにはいられないのが芦田愛菜の演技だ。それはこのドラマを明らかに牽引しており、それだけでもドラマをみる価値がある。かつての杉田かおるや安達祐実など子役をメインに用いてヒットしたドラマはたくさんある。しかし個人的な意見で言えば、芦田愛菜の演技力はその誰もを超えるレベルのものだと感じた。子供の演技特有の、大人にやらされている感や、意味をあまり理解していないうえでの演技というものが全くなかった。セリフのスピードや音節は完璧に聞こえるもので、大人がするそれと遜色がなかった。もちろん子役だからというハードルの下がり方はしていたかもしれないが、それにしても過去に前例がないほど彼女の演技は卓越していた。一生懸命にやる演技は本当に一生懸命に見えるし、悲しんでいる演技は本当につらそうに見えた。演技を評価するうえではいささかアホみたいな寸評になってしまうが、シンプルにそういったことに感動できる演技だった。

キャストの新鮮さ

ドラマをヒットさせる方法としてかなり盤石な方法ばかり取られている現代において、キャスティングが面白かったこともヒットの要因だと思う。阿部サダヲを主役にもってきたこともそうだし、比嘉愛未をヒロインにもってきたこともそのうちの一つだと思う。物語の立ち上がりこそ強引で突拍子もないテーマを用いていたが、それからの毎話の出来事に関しては日常的な会話の面白さややり取りの良さが重要だった。そういったやり取りに関しては目新しいキャストで見られたことは楽しめた要因だと思う。きれいな人は分かりやすくきれいで、コメディな演技はわかりやすくコメディなひとが担当する。

本当に誰も傷付けないような、良くも悪くも角のない作品だが、近年はむしろこういったドラマのほうが見られなくなってきた。肩の力を抜いてただ面白いドラマを見たいひとにとってはすごく楽しめるものだと思う。

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独身のサラリーマンが亡き親友の子供を引き取るなんともありえない奇想天外な発想だが、主人公の阿部サダヲと芦田愛菜ちゃんという今をときめく代表のダブル主演ということでつい見ちゃいました。が、毎回毎回そのキャラクターの言動とストーリー展開と鈴木福君と芦田愛菜ちゃんの可愛さにのめりこんでいき、周りのママ友たちも同じだったようで、毎回感想を言い合うのが習慣でした。マルマルモリモリのエンディングを歌って踊りたいために我が家の子供も、よその家の子供も起きていてもいい日だったそうです。だからか、遅い時間帯のドラマだが、怖いシーンやエロいシーンなど子供に見せたくないようなところはなくて、安心しました。阿部サダヲが演じるマルモが双子を引き取って生活する上でのルールブック「マルモのおきて」が一話一話の大事なキーワードであることが話の終わりで分かりました。そこには母親が存在せずに、父親がわりの男と異性の子供二...この感想を読む

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4.04.0
  • みるぼーみるぼー
  • 149view
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同じくらいの子供がいるので親近感

全体的にほんわかして癒されるドラマでしたね。阿部サダヲの出てるドラマや映画が好きなのでマルモも観てみました。なんでしょう、この人って真面目にやっててもおもしろいですね。子役2人はちょうどかわいいのピークでしたかね。男女同時で同レベルの人気が出るってなかなかないのではないでしょうか。私もこの2人と同年齢の息子がいるので、マルモのおきてはなんだか心に染みました。育児って正解があるのかないのかわからなくて自分のやってることが常に不安です。マルモは自分の子供でもないのにこんなに一生懸命世話したり友達みたいだったり親みたいに心配したりドラマだけどそれだけでなんだかウルウルしちゃいます。この子たちは双子だから助けあえて愚痴も言いあえてさみしいもうれしいも半分こにできるから1人で預けられたりしてる子たちよりはすさんでないよね。やっぱり一人っ子はだめかと打ちひしがれる私(うちは一人っ子です)ただの現実...この感想を読む

4.04.0
  • みかんまろんみかんまろん
  • 51view
  • 527文字

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