どこにでもいる中年女と中年男の運命の恋 - 女神の恋の感想

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女神の恋

4.504.50
映像
4.50
脚本
4.50
キャスト
5.00
音楽
4.00
演出
4.50
感想数
1
観た人
1

どこにでもいる中年女と中年男の運命の恋

4.54.5
映像
4.5
脚本
4.5
キャスト
5.0
音楽
4.0
演出
4.5

目次

嘘つきの見栄っ張りの二人が出会った瞬間

会社の自分の立場もあやういし、後輩からは毎日嫌みな態度でうっとうしがられる、結婚に焦るオールドミスを演じる末吉を演じる松本明子がドはまり役で、私はこのドラマを見て一気に松本明子の大ファンになった。なんせ美人でもないスタイルもよくない、酒はよく飲むし、飲む場所の赤ちょうちんの屋台だし、顔を真っ赤にして大声でくだをまく、末松さん。私が友達になりたいくらいな末松さん。等身大の松本明子が演じる、器量も容量もスタイルもよくないオールドミスが、なんとかイケメンの上司にプロポーズさせたくて必死になる姿が痛々しいけど、自分も自分の周りのあの頃の同僚もそうだったんだと妙に共感できる。そこに居合わせた自称売れている作家の山口裕一郎演じる小田も私はこのドラマをきっかけに大ファンになって、のちに追っかけをするくらいのきっかけだった。演技が上手、どこからみても痛いだけの時代遅れの作家なのに、気づけない不格好な姿が思わず笑ってしまう。末吉の会社での立場もなんとも痛々しくて、かわいそうになっている。きれいで出来る後輩OLたちに嫌みを毎日言われ、トイレの個室で泣いたり、憤慨するシーンが実際にいそうなリアルなシーンで過去の自分を見ていて応援したくなる大事なシーンである。

別れた妻と子供、交際中の上司が鉢合わせでドタバタが始まる

別れた妻が出てきて、過去の一回だけの受賞歴をこころのよりどころにしているだけの今は無収入のただのさえない中年のおじさんだったんだよと、ぼろが明るみなった小田の正体がばれるシーンで一気に老けたようになるただの中年男の背中が妙にセクシーにうつる。小田は小田で末松がただ上司に利用されるだけの都合のいい女なのを教えてあげたいけど、それを信じない末吉を悲しい顔で見るめるだけしかないところがドラマの中盤なのだ。自分は不幸なのに、それど同時進行で、小田の子供とは仲良くやったり、地鶏の燻製を作って見せたり、素の末吉の飾らない魅力が中盤で分かって楽しい。松本演じる末吉と山口演じる小田の過去や嘘が登場人物によってばれ、ハチャメチャになるのだが、そこは末吉の馬鹿がつくくらいのお人よしとお節介が功をなして、周りの人間関係を上手にまとめていく。末吉の結婚なんて考えてくれてもいない、寂しいときだけ体を求めてくる、調子のいい上司の北岡がむかつくくらい、末吉を利用するだけ利用するところが、なんとも憎々しい。また、辰巳琢朗がその嫌みな演技がいかんなく発揮されて、これじゃ、どの女も落ちるだろうと思わせるところが見ていて地団駄を踏みたくなった。出来る上司が、ふと見せる弱弱しい態度と猫なで声は、ずるいだろう!!と叫びたくなる。そして、やり手の上司らしいところが、ちゃっかり末松の開発した地鶏の燻製を売れると見込んで、商品化しようとそこは冷静に出てくるところが、できる会社員の鏡のようなところがずるいなと思う。

運命の恋とはまさにこのことだ

お互いの正体もバレて、嘘もつかなくていい、虚勢もはらなくていい、楽になった関係でいいたいことを言える自然体でいいのだが、またお互いを異性と見れないジレンマがこちらに伝わってくる。小田の元妻も末吉が探しに来るシーンで「あの人のこと好きなのね」というセリフが大好きなのだが、とても癒される表情をして慰めてくれる場面は元妻と現彼女の立場が分からなくなるくらい、超越した友情が感じられて私の好きな場面の一つだ。小田の子供の倫伝君の存在が二人の潤滑油になっていいポジションについていて、見ていてほっとするシーンが多かった。お互い気になっている存在だとはまだ認められない二人なのに、視聴しているこちら側としては、もうくっつきなよといいたいところだが、それぞれがまだお互いどんだけ相手を好きでいるのかがわからないところがいい。東京に戻ったり、仕事を変えたりしないとそれぞれの存在の大きさに気づけないところが、このドラマの大切なメッセージなんだと思った。やっとのことでお互いの気持ちを確かめ合うシーンが何回みてもうっとりする私の大好きなシーンだ。しかもきれいどころの男と女のラブシーンではなく、農作業の小屋の前の汗だくのキスシーンなのだが、これこそ汗水流して探し出した運命の人なんだぞという感じでキラキラ光る場面だ。末吉が背が低すぎて、長身の小田がたらいに乗せて調整つけてキスをするシーンはうっとりする。末吉も初キスではないのかというほど、照れて恥じらうシーンがなんともかわいいので何回も見たい。結婚式に呼んだ、その場で相変わらず女に手を出そうとする元上司も、健在だがそれを見てももう笑うだけの余裕がある末吉も成長したなと思える。そしてナレーションの前田美波里の天使姿がとても納得のいく終わり方ですがすがしいエンディングで拍手喝采したくなる。松本明子のウエディングドレスがとてもキュートで本当にこの人の笑顔に救われるドラマだった。

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