シーズン1より見易い
千秋がいなくなりました。
シーズン2は、シーズン1と比べてより原作に近い形になっています。
シーズン1で謎のオリジナルキャラクター、千秋が登場していますが、シーズン2ではしれっといなくなっていたりします。
やっぱり千秋いらなかったんだなあって感じですね。全然触れられていないし、なかったことになっているので。
千秋は原作のマサル的なポジションという人もいますが、そうでもないんですよね。
貧乏は経験しているけど最低のところは克服している設定で、ウシジマくんに「こんなことして良いと思ってるんですか?!」とか言っちゃう感じなんで、マサルとはちょっと違う感じですよね。
ていうか、映画でマサル出てくるし。
多分企画の段階で過激すぎるので、ワンクッション置いてくれるキャラクターが必要だったんだろうなあと思いますが、シーズン2になってようやく好き勝手にできるようになった、というところでしょうか。
私も千秋がいない方が見易くなったなと思います。
シーズン1は千秋がという一般的な倫理観のフィルターを通して、裏社会の人を見ている感じでした。全然違う世界を覗いているというか。それがなくなったシーズン2では、ウシジマくんの世界が、すぐ身近にある現実のように視聴できるようになったと思います。
実際ウシジマくんを取り巻く、裏社会や多重債務者のいる世界は現実的に存在するし、原作ではそのリアルさを追及しているので、よりフラットな視点で観られている感じです。
これはドラマだけど、こんなこと普通にあるんだろうな、みたいな。
そこがたぶん作品のキモの部分だったりすると思うので、この改変は良かったかな、と思います。
多重債務者の思考回路はギャグのよう?!
シーズン2は、読モの中田広道が裏社会とつながって堕ちていってしまうストーリーを主軸に、ニートくん、ジャニオタのエピソードをサイドストーリー的に展開していきます。
ウシジマくんと関わり、中田は転落。ジャニオタは兄から救済され、ニートくんは更正することになります。
実写のいいところは、悲惨な内容がマイルドになることですね。
ジャニオタがお金を手に入れるとすぐパチンコに行ってすってしまったり、いかにも怪しいG10に言葉巧みに中田が騙されたりする場面は、マンガだと「悲惨だなあ」と思うのですが、実写で見るとちょっとギャグっぽくもあって、笑えてしまいます。
しかもそういう時、すごい軽快なBGMをかけていたりするんですよ。
これはシーズン1からずっとそうなのですが、クズが調子に乗ってMAXクズの思考回路で動いてるとき、すごい楽しいBGMでお送りしてるんですよね。
本人は「最高だ!」と思っているんでしょうが、他人から見れば滑稽そのもの。まるでギャグ。
なんかこれって現実でもこうなのかな、って思っちゃいます。
ウシジマくんみたいな、もう他にお金を借りられない債務者が行きつくような闇金にお世話になってる人って、普通の人とはちょっと違う思考回路をしてると思うんですよ。
中田も「東京で有名になりてー!」「でも金が足んねえ…」「そうだ!薬を運ぼう!」みたいな。
イヤイヤ真面目に働けよみたいな考えが全然ないし、場当たり的に最悪の方向へ行ってしまう。
映画の相沢とかもそうなんですけど、ちょっと考えるということをしない。
その場その場で適当に動くので、どんどん事態が悪化していて、本人だけが「どうすんの?なんでこんなことになってんの?」となってしまう。
そのハマっていく感じが結構リアルなのかなあと思います。
実際同じような人はいるんだろうし、そういう人の思考回路はまさにドラマ通りなんじゃないかなと思わされます。
普通に生きている人からしたら、ギャグにも見えちゃう。
原作では普通にドロドロと書かれているところを、うまく改編しているなと思います。
なので、マンガはエグくて好きになれないという人も、ドラマは軽い感覚で見られるんじゃないかと思います。
ただ、ジャニオタが兄から救済され、もう二度と借金はしないと誓った時、ウシジマくんが「またあいつは金を借りにくる」と言ったり、G10がハブに殺された時、身元が分からないよう遺体の歯を全部抜いたりするシーンなど、やはり裏社会の描写に関しては、エグさは残っていると思いました。
身長差を埋める?山田孝之の演技力
この作品が実写化されるにあたって、読者が最初に懸念したことって、「えっ、山田孝之がウシジマくんなの?ちっちゃいじゃん!」ってことだと思うんですよね。
ウシジマくんってすごいデカいイメージがあるんですよね。190cmくらい背丈がある設定なんで。
すごいケンカも強くて威圧感の塊みたいなキャラクターで、それが物語上、結構重要だったりするので、ここがハマらないと「なんじゃこりゃ」みたいに白けちゃうと思うんですが、山田さん全然違和感ないですね。
別番組で山田孝之さんが、ウシジマくんを演じるにあたって、やはり体格の違和感を一番に考えていたと聞きましたが、「考えてどうにかできるんだな」と思いました。俳優さんてすごい、いやすごい俳優さんなんですね。
この撮影のために髭も伸ばしていたのかな?別の局の勇者ヨシヒコが、後半になってどんどん髭が濃くなっていったのが面白かったです。
ていうか、ヨシヒコはヨシヒコにしか見えないし、ウシジマくんはウシジマくんにしか見えない。演技の振り幅が大きいですよね。
あと柄崎役のやべきょうすけさん。柄崎ってまだ20代前半の設定なんですが、この方自身は40代なんですよね…。すごいやんちゃ感もあるし、舎弟感もあって、全然おっさんくささがなくていいですね。
なんか原作の柄崎ってもっとじめっとしてるというか、あんまり好きじゃないんですよね。唐突にホモ疑惑が出てきたりとか。
多分原作だと、ウシジマくんに部下がなぜ絶対的に従うのかみたいな話になったときに、「友情…?イヤイヤ。この内容で今さらそれは説得力ないだろ」みたいな突っ込みが、読者から入ると思うんですよね。それで友情より愛情から忠誠を誓っていることにしているのかなあ、と思ってしまいました。
ドラマの柄崎の方が、「ウシジマ社長が好きだからに決まってんだろ!」と普通に返してくるような明快さがあって好きです。バカだけどかわいい感じですね。
エンディングについて
シリーズを通してエンディングがずっと一緒なのがいいですよね。闇金ウシジマくんに合っていると思います。
内容が結構悲惨なので、曲の明るさに救われる感じがします。
総評
面白いし普通に好きって感じです。マンガの実写は失敗が多くてあまり好きではないんですが、闇金ウシジマくんは成功してるんじゃないかと思います。
ドラマが面白かったので原作も読んでみたんですが、ドラマの方が安心して見られますね。
原作はエグすぎて受け付けない表現も多いし、エグい所を見せていって読者を獲得してる印象があるんです。
ドラマは闇金で借金をするまで堕ちてしまった人達が、なぜそうなってしまったのか、そしてどんな結末を迎えるのかに焦点が当てられているので、物語として楽しめる感じです。
キャストも主演の山田孝之さん、綾野剛さん以外は有名な俳優さんは使っていないのですが、それぞれいい味を出していて楽しく見られましたも
深夜枠のドラマは、アイドルを出しておけば成立するような作品も多く、あまり完成度を期待しないで見るようにしているのですが、全話通して見るとかなりきちんと作られていると思いました。
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