結局ハーレム漫画にしたいのね - メイちゃんの執事の感想

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メイちゃんの執事

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画力
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ストーリー
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キャラクター
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設定
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演出
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2
読んだ人
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結局ハーレム漫画にしたいのね

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画力
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ストーリー
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キャラクター
4.0
設定
3.5
演出
4.0

目次

身寄りのなくなった東雲メイ

四国で讃岐うどん屋を営む東雲家。そりゃーお金もたくさんあるわけじゃないけれど、娘の東雲メイは、元気に学校生活を過ごしていた。そんな時、突然の事故で両親が他界。自分は本郷家という大富豪の家の孫娘であることが判明し、一流のレディを目指してお嬢様学校へ通うことが決まるのであった。一流の執事と共に…。

「メイちゃんの執事」は、けっこうな人気作。ドラマになったときは、理人役を水嶋ヒロ、剣人役を佐藤健が演じるという、そうそうたるメンバー。メイちゃんのイメージは小さくて愛らしいイメージだったのに、榮倉奈々さんが演じたことにおどろきを隠せなかったな…原作マンガを読むと、ルチア様が山田優だっていうのも納得できないところ。ルチア様って腹黒だけど、可憐なのに毒があるキャラクターだと思うんだよね。それに、ルチア様との争いよりも、本編では婿選びに必死だったご様子。とにかくメイちゃんをめぐるハーレム漫画にしたかったのだと思う。

メイのキャラクターは、庶民だからこそ持てる根性と気合い、逆境に屈しない精神が、お嬢様学校の世界では光っている…というもの。お金と権力があるだけではお嬢様じゃない。強い心、誰かの道を照らすような光を持つお嬢様。それを育てたいがためのお嬢様学校。執事

たちとの固い絆、友情、あるいは恋愛の気持ち。どんなものでも、彼らのお嬢様としての品位を高める材料になる。けっこういい話も出てくるけれど、トータル的にギャグが多いから、そんなに深みを求めて読む漫画ではないね。

自分の芯を強く持つお嬢様

芯の強さ、そして真のお嬢様としての素質は何なのか。と言っておきながら、結局はお嬢様という肩書に左右されない、強い心や謙虚な心を持つ人間に育てたいんだと思うんだよね。執事達も、お嬢様自身も、お金と高飛車な人間たちばかりが集まる世界で生きていては、将来有能な人間にはなれないし、自分たちの家を守っていくことなんてできない。どんな世界でも、泥にまみれようとも自分で光ることのできる存在になることが、大事なんだと言いたいのだろう。お嬢様である自分の地位に負けないこと。それが大事。

お嬢様たちは自分の家を守らなくてはならないから、基本婿を取る形になる。女が男を見極め、選んでやらなくてはならない世界…みんながこびへつらう中で、真実の愛情と将来のためのビジョンの見える相手を選ぶ…大変だね、お金持ちも。自分自身が強くなくては、誰かを守ることなどできない。でも、一人だけでは叶えられないことも多く、執事、友だち、友だちの執事たち…みんなが強力してくれて無理難題を解決していくことができる。やっていることはギャグだけれど、伝えたいことはまっすぐなメッセージ。最終的に、メイはクリーンなままで終了することもできたし、爽やかな漫画だったよね。

おねがい!理人さーーん!

で解決されるこの世界。いいなーこんな執事ほしいなー…執事が流行るきっかけをつくったと言っても過言ではない漫画だよね。黒執事とはまた違うけれど、実写版ではどっちの執事も水嶋ヒロだったから、その変わりようには驚いた。あのミステリアスな雰囲気と、細目になったときの優しいような怪しいような空気感が絶妙だ。

仲間たちのトリッキーさは漫画が一番

木場くんのドジっ子具合や、タミのまさかの男の子設定、呪いを操る5歳児などなど…やはりマンガならではのお楽しみ。最初から最後まで味方でいてくれた泉のことがやっぱり好きなので、木場くんには他の執事以上に思い入れがある。一生懸命で、たいていは執事のほうが優れているにもかかわらず、泉のほうが断然デキる女性…それでも木場が執事を続けていけるのは、やはりそこにある信頼関係が並々ならぬものだからだし、恋愛感情とはまた違って、大事にしたい気持ちにあふれているからだよなー…って。一番爽やかな組み合わせだったと思うよ。リカたちみたいにこじらせているのはちょっと…めんどくさい。

そういえば、お嬢様学校で行われる授業は、一般学校の授業とは全然違うっていう話だったけれど…あまり登場しないよね?馬術とか、護身術の授業はあるっぽいけど、他のは全部執事がやってくれてしまうというか…初めのころ小テストがあったくらいで、あとはハチャメチャなメイをめぐるデュエル、誘拐に建物爆破など、通常経験できないような事件に巻き込まれて実に忙しそうであった。常に命を狙われる身であるということ。誰かの羨望の的でありながら、憎まれる対象でもあるということ。それを自覚するためにこの生活があり、なにに変えても守ってくれる執事たちとの信頼関係を築くのがこの学園での最重要課題なんだろうね。

続編の「メイちゃんの執事DX」のほうでも、結局は物足りなかったラブの部分をつめていっているだけで、学校内における行事はあまり多くはない様子。これはこれでいいけれど、お嬢様はバカになるんじゃないかなって心配だよ…。

結局は婿選びで大半を消費

最初は理人とメイ、クラスメイトたちとの友情が主体だったけれど、10巻越えるあたりからはもうずーーっとメイの婿候補とのバトルで。いろいろなパターンのイケメン・御曹司を登場させるんだけれど、理人と剣人が蹴散らしていくという流れ。困ったときは必ず理人さんが助けてくれる。その揺るがない信頼に完璧に応える理人。応えられないときもあるのかなと期待していたけれど、そういうときはメイがかなりしっかりしていて、支えあって解決へ向かう。だんだん飽きちゃったけどね…剣人が身長180センチのイケメンになって帰ってきてくれておもしろかったのに、関係性が全然進展しないから物足りなかった…。

翔(シャン)のことは、なんでそんなに引っ張るの?って思っちゃったけどね。イルのことをかなり長く登場させていたから、そっちでいくのかと考えていたのに。メイ様と結婚できないなら俺は死にますって…そんなこと言うなら結婚してやろうかっていうメイが男前。確かに翔の経験してきた痛みは、婿候補の誰よりも悲惨で、辛いものだった様子。助けてあげたいと思ってしまうのも無理はない。あなたが幸せになれるなら、結婚くらいしてやるよ…ってメイさんそれは男に言わせて!

翔がラストの婿候補っていうのはインパクトがなんかないよなー…悲しいけれど、目立ち方ならイルだし、あずまっちだって泉との関係性を考えたらなかなかいい立ち位置だったと思うから。

どっちも選ばないのが卑怯すぎる

理人を選ぶんでしょ?って思っていた。それが剣人と一緒にいれないのは寂しいから…二人ともメイの執事を継続するという形でこの漫画はひとまず終了する。

もう読者が理人と剣人、どちらも選べなかったのと同じように、作者たち制作者サイドの人たちも選べなかったんだろうよ。イケメンのレベル、メイへの愛情、手際の良さ、誠実さ…弟系のやんちゃでかわいく時々強引な剣人でいくのか、お兄様系の優しくSを隠し常に完璧で一歩先を歩くような理人でいくのか…どちらも捨てがたい。確かに選べない。

まさかデラックスという続編が登場するとは思わなかったなー。このままフェードアウトしてくれてもそれはそれで納得させようと思っていたのに、デラックスシリーズが登場すると言うことは、それなりに決着をつけてくれるということだろう?

いや、理人でしょ、結局。わかってるって。剣人だったら、うんしょうがないよね、って思えないもの。それなのにこんなに引き延ばすなんて…ちょっと卑怯じゃありませんか。しかし読んでしまうというマジック…。困る。

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