声優の漫画って忙しい - 声優かっ!の感想

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漫画レビュー数 3,135件

声優かっ!

3.753.75
画力
3.25
ストーリー
3.25
キャラクター
3.75
設定
3.50
演出
3.75
感想数
2
読んだ人
2

声優の漫画って忙しい

4.04.0
画力
3.0
ストーリー
3.5
キャラクター
4.0
設定
4.0
演出
4.0

目次

ドタバタしまくる

声優の漫画って、どれも忙しいのか?「天使とアクト!」もそうだったけど、とにかく物語が熱血っぽくて、どったんばったんと忙しいんだよね。しかもそれは恋に忙しいわけじゃなくて、仕事に忙しい。とにかく、自分たちの能力を向上させるべく、駆け上がっていくから、考えているよりもスポ根漫画寄りになるらしい。

主人公の姫は、子どものころに自分を助けてくれた声優さんみたいな声優になる!と決めて、声優科のある高校へと進学した。しかし、彼女の声は、自分では気づいていないが、着飾って出そうとするとものすごいダミ声に…まるでおばあちゃんかおじいちゃん。…っていったいどんな声なのか想像できないのだけれど、そういう声らしい。なぜこの声優の卵を輩出する学園に進学できたのかも謎な姫が、落ちこぼれメンツと一緒に学園内の困難に立ち向かい、声優へと近づいていく…お話だと思っていた。

序盤からいきなり頭角を現し、実は王子声を出せることが判明した姫。山本プロデューサーにスカウトされて、男性の声優として修業&学校通り越してプロの仲間入り&学校では姫として活動&山本Pが押し付ける難題を常にクリアしなければならない…という過酷な生活へと突入するのだ。なかなかハードだが、姫にとってみれば、自分のやりたいことのために時間を費やせることがものすごく楽しいし、久遠に勝つため・自分に勝つため、闘争心を燃やして頑張ることが性に合っているようで。ハードスケジュールにも負けずすべてをこなしていく。

姫と母親との確執は普通に泣ける

ラストまで、こんな感じで物語はうるさく展開していくんだろうなーって思っていた。だから、不意打ちで、姫と姫の母親との間にあんな冷たいものがあるなんて…驚いた。そして、そんなクソみたいな母親のことですら、私が足りないところがあるからだって思ってがんばる姫にはほろりと来ちゃったよ。山本Pも、まさか姫にそんな家庭事情があるなんて思わなかったし、ひどい言われようでも前を向いて夢を見る姫に、いつもは約束しないことを約束してしまうのだった…

なんで母親が妹の茜ばかり愛するようになったのか?その理由は定かではないけれど、見た目が異様にかわいくなっちゃったからなのかどうなのか…見た目がかわいいからって愛が偏るなんて、親だからこそやってはいけないことなのにね。っていうか、あんたの遺伝子が入ってるんだろう?って思うと、やはり母親の態度があれだけ違っているのは何となく納得できないところではある。

ラストにかけて、姫がやってきたことを認めさせる的な流れにするのかなー?って思っていたから、そうしなかったのがなんだか拍子抜け。いつの間にか久遠と結婚できちゃってるし、他のモブたちはそれでいいの?って思ってしまった。母親を通らずして結婚なんてできないだろうし、姫がやりたかったのは、もちろん自分が目指した声優になることでもあるけれど、母親に認められたいという気持ちが大きかったのは確か。途中からそれが少しずつずれてしまったような気はするよね。

役に入り込んで自分がわからなくなる

久遠の母親といい、久遠自身といい、役者魂が受け継がれているせいか、ひとたび決まった役に入り込むと、自分のキャラクターなのか、役を演じているのかがわからなくなる…という事象に陥るそうだ。そんなことある?って思いつつも、俳優・女優さんたちが取り組む役作りも、役になり切るためのイメージトレーニングだったり、肉体改造だったり、その役柄のために行われるプロセスが大きいから、やはりその役に近い思考をする時間は増えてしまうんだろうね。そこで、久遠は誰も傷つけないために敢えて他人と距離を置くということをしているが…和馬とのトラウマに関してはもう少し詳しく語ってほしかったな。それに、ハッピーエンドにするなら、和馬ともう一度対話させるシーンは絶対必要だと思うんだけどね。敢えてそれをしないのは、打ち切りに近い駆け足展開だったからだと言うしかない。

また、久遠が他人を遠ざけている方法は、ツンデレ通り越してほとんど人が嫌いとしか言いようのない行動の数々で、傷つけたくないと言いながらめっちゃ傷つけているのが若干納得できない。それなら誰とも関わらず、孤高の王子で、学校にはたまにしかやってこない無口な奴…くらいのポジションに押さえておけばいいのにね。ちょっと学校に来る割合多すぎたんじゃないかな。

山本Pの夢と久遠の母親との間にあったものについても、ずいぶんとさらって流されてしまって、「役柄に入り込む」ということを悪く言いすぎな気がしたよね。

シロになっていきなり逆ハーレム漫画に

姫がシロとして山本Pのもとで修業するようになり、漫画はよくある逆ハーレム漫画へと変貌。「花ざかりの君たちへ」のような雰囲気も醸し出されて、あんなに女として論外だと言われていた姫が、一気に男たちを虜にする男の子になっていく。やはり、男のわりに華奢で、男のわりにかわいいとなれば、必然と人気になってしまうのだろう。最後まで姫を男だと信じていた哀れな役者もいた。

シロになってからの姫は、学校をかなり休むようになり、出席日数足りるの?状況に。落ちこぼれメンバーにも花がなくなって、少しきわどい空気にもなっていた気がする。まぁ姫が悪い奴じゃないってことはみんなわかっていて、信じているのがまた美しい友情ではあるけどね。シロとしてすでに声優の仕事をしているなんてばれたら、嫌われる材料がそろいすぎて、怖い展開しか思いつかなかったから、安心設計になっていると思うね。姫の家庭環境以外は、さほどのドロ沼展開もなかったから落ち着いて読める。何しろ、姫の味方をしない存在っていうのがあまりにもいないし、応援して支えてくれる人ばかりで。母親だけが突出して嫌な奴だったから、あまり心配にもならなかった。

どっちかと言うと、姫と久遠のエピソード、シロと久遠のエピソードがあまりないんだよね。確かに心通わせてはいたけれど、姫のほうはまだまだ恋って感じじゃなくて、声優・役者としての尊敬の気持ちがかなりの部分を占めていたと思うし、憎い気持ちが憧れに変わった、くらいのところだった。もしかしたら、もうちょっと続けていれば、恋物語の充実も見れたのかもしれない。

ラストは一足飛び

シロと久遠だけでなく、ミズキ先輩や、男と勘違いしままの藤森、山本Pなどなど、恋してもいいよね?っていう人はたくさんいた。山本Pが一番怪しいと思っていたけれど、そこはやはりオトナということで、論外になったのかな…なんの途中経過もなく姫と久遠がゴールしてしまったことが残念でならない。しかも、久遠がどのタイミングで姫とシロをイコールとして考え、どのあたりが好きポイントになったのかも、全然わからなかったからなー…

また、山本Pの目指したもの・夢の解釈とか、それが達成されたのかどうかとか。そのあたりも薄いままだったね。学校での落ちこぼれメンバーたちの成長に関しても、月乃ちゃんや梅ちゃんなどを除き、掘り下げきってないよね…?というメンバーがいた。主軸の姫の成長と変化を一番に持ってこないといけないのはわかるんだけど、それならあまり登場人物増やして忙しくしないほうがいいじゃん。前半で盛り上げまくったぶん、姫がシロになってから全然スポットライトが当たらないのはかわいそうだった。

最終的に、姫はラブリーブレザーの主役を射止めることになるが…

王子声はどうしたのだろう。

ここだけは気になっている。プリンセスじゃなく、プリンスとしての道…だったはずだよね?

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他のレビュアーの感想・評価

男装ものハーレムだよね。

ダミ声姫ちゃん。姫ちゃんダミ声なのに、なんで美少年声はちゃんと出せるのかが不思議。ダミ声からの美少年声ってなかなか想像出来ないけど、現実世界でも女の人が少年声出してたりするしそんな感じなのかな。というか、なんで設定で美少女声を出そうとするとダミ声だけど美少年声は出せるってしたのだろう。わかりやすくするなら美少女声はダミ声っていう部分らカットでもいいような気がする。最終的に美少女声が出せるようになっているみたいだけど、その過程もないからちょっと消化不良。男装ハーレムものにしたかったらつくった設定なのかなって感じる。雑な終わり方。途中まで誰とくっつくのかワクワクドキドキして見ていたのに最終回で千里と呆気なくくっついたし、オムライスってなんだよって感じ。もうちょっとくっついたラブな感じが見たかった。最後怒涛の展開だったことから推測すると、打ち切りだったのかなって感じが否めない。同じ作者さんが...この感想を読む

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  • ユズリハユズリハ
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