何も考えずに楽しんだ方が良い作品
犠牲と恋愛が描きたかっただけの作品
原作は未読の状態でこの映画を観たが、全く感動できなかったわけではないものの、むやみに感動させたい(もしくは作り手側が感動したい)がために、無理やり「戦争をやっている世界」を作り出して、彼女を兵器にして、悲恋をさせて、最後バッドエンドにした、という感じの作品である。
本来戦争に無縁そうな女子高生を武器として戦争に加担させることで、ああかわいそうに、普通の恋愛ができなくてかわいそうに、という部分だけを描きたかったのだと思う。
観ていて単純な疑問として、そもそも何で戦争をしているの?と思ってしまうと、国家間の利害や戦争自体が終結しさえすれば、こんなに苦しまなくて済むのに、何が原因で戦争をしているのかと内容自体に無意味さを感じてしまう。主人公たちが無駄に苦労をさせられていないか?背景について考えてしまうと、そんな疑問もわいてくる。
細かいことはどうでもよい
主人公たちが悲恋に苦しんでいる以上、なんでこんな戦争をしているのか、そして、人間兵器にふさわしい人間を兵器化するようなことが行われている、技術的問題や理由をもっと知りたくなる。
しかし、尺の関係なのか、映画内には描かれていないし、どうも原作のレビューなどを見ていると原作でもそのあたりは詳しく描かれていないようある。要は兵器になったかわいそうな彼女とその彼氏の悲恋が描ければ、他の細かい設定などは、映画を見る人のご想像にお任せしますよというスタイルなのか?と感じた。
そういう意味ではミリタリー物や、何かと対峙する敵キャラとのストーリー性を楽しむ作品としては物足りなさがある作品なので、純粋に障害の多い恋愛を楽しめれば細かい設定など気にしないで楽しむしかない。
それなりに虚しさや悲しみはある
最終兵器彼女のような作品は、いわゆる「マンガらしいマンガ」と言えるので、どんなに優れたCG技術をもって実写化しても、嘘くささ、言い換えると「どうせCGだろう」という感じが前面に出てしまい、実写の方がリアルを失ってしまうことが多い。
そういう意味では、ちせがどんどん兵器化していくシーンなどは、3DCGなどの方が良かったように思った。しかし、演じている役者さんが実力のある方ばかりだったせいか、それなりに感情移入もできる。最後にちせが自分の身を投げ打って最悪の事態を回避し、ちせの残骸の前に立ちすくすシュウジのシーンは、物語の背景設定の甘さがあってもやはり悲しいものは悲しかった。
バトルロワイアルの様な実際あり得ないような子供同士の殺し合いにもそれなりに社会背景が描かれていたので、もし今後この作品を扱う媒体があれば、そのあたりオリジナルでもしっかりさせると、より人物の感情に入れ込むことができるのではないか。
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