イカレ具合がひどくて若干引くぐらいの勢いがある
意味が分からなくて引いた後に吹き出し笑い
本来はラブコメだったんだと思うのだが、これはもうギャグ。それ以上も以下もなし。ヤンキー君である品川大地と、メガネっ子の一見真面目そうな女子の足立花。2人の繰り広げる…というか花の繰り広げるワールドに飲み込まれて生活が激変していく品川の物語なのである。
花は、とにかくわけが分からない。そこでなぜその訳し方ができるのか、おごると言っておごらないという嘘を繰り返しながら、次の日悪びれることなく品川の前に現れる花。もはや恐怖の域である。もうコメントがうまいとか、ボケとツッコミが秀逸だとかじゃなく、常に花の行動が奇怪極まりないのだ。はじめこそその状況に唖然とするが、慣れてくると笑ってしまう。「次はこう来るんじゃないか」という読みが全然当てはまらず、常に新しく、予測できない花の行動。それに振り回される品川がかわいそすぎて、面白すぎるのだ。ギャグマンガを描く人って本当に尊敬するよね。なぜこの場面でその使い方ができるんだろうって思ってしまう。ネタ作りがうまくなきゃ描けない。
有名な第1話のシーンからしておかしいんだけどね。男子トイレのドアの上から品川に話しかける花。真面目を装っているものの、品川よりもむしろ頭が悪くて学年最下位を常にキープ。常識がまったく通用せず独自のワールドに生きているような人間で、キレると今度は最強の戦士となり誰も彼女に勝つことができなくなる。イベントのたび問題を起こす彼女なのだが、なぜか学校側は花を受け入れていて、何が起ころうが許してしまっている…謎。そこもまた面白いところではある。常識をわかってそうな花が実はまったく常識をわかっておらず、常識を外しているはずの品川が常識人のように見えてしまうのがシュール。ヤンキーって、やっぱり狙ってはずしていこうとしているから、実は常識ってもんがよくわかっているんだろうね。本当に危ないのは花みたいなやつのことだ。
男はつらいね品川くん
品川くんが本当に不憫で。頼られると答えたいのが品川くん。次こそは絶対に断ってやる。そう思っているのに
品川君じゃないとダメなんです
と迫られて、連れ去られる…ちゃんと断っても武力行使で連れ去られるからね…どんだけがんばっても花の呪縛から逃れられない品川の無念さといったらない。花は一度も折れたことがないしね。そして、メガネを外したらすげーかわいいらしく。品川は花と気づかずデートに誘ってしまってドツボにはまってたなー。花が原動力になって行動することも増えてきたし、どうしようもなく心配してしまったり、花ががんばるだろうと思うから自分もがんばってみたり…友だちが増えたのも事実で、学校生活というものに馴染んでいけたのも事実。でもね…花はネジが外れまくっているので、おかしいんだよ?花ワールドに読者も慣れてしまったと言えるかもしれない。後半にさしかかるにつれ、真面目に語っているときも出てくるし、学校生活がにぎやかに豊かになっているが、花の狂い具合を思い出さねばならない。がんばってはいるが、みんな花に振り回されて疲弊しているのである。そこをうまく繋いでくれているのが品川であり、彼の苦労をもっとねぎらわねばならない。
全然いい話系じゃない
ギャグ漫画であろうと、たいていの話は何となくいい話にまとめようとする傾向がある。でもこの漫画ではそういう甘さはいっさいなし。どれほどいい話系の雰囲気を出そうとも、結果目的は果たせずに華麗に散るのがヤンメガである。意図しないところで誰かが助けられていたこともあったが、基本常に残念。特にテストだよねテスト。最高に笑った。眠くならないように一生懸命努力して、朝まで必死こいて勉強したというのに、肝心のテスト当日の朝に爆睡してテストを受けられないあの残念さ。それなりに努力が報われそうな雰囲気を最大限醸し出しておきながら、ラストは盛大にオトすのである。花に道連れにされて品川も受けれず。まさに屍のような状態だった。千葉くんの努力すらもすべて水の泡と化す。
しかも。テストのくだり、1回で終わらないのがすごいよね。次のシーズンのテストでも同じようなことをやる、その斬新さが逆にウケる。普通同じネタ使わないのに、思い切ってるよね。
やりたいことを力の限りやろうとする花は、ぱっと見では努力家で真面目な女子高生に見えてしまうが、振り回されるヤンキー品川のほうがよっぽど努力家で真面目に生きている。そんな2人の恋なんて見たくないと常々考えていたため、そういう関係にならなかったことについてはほっとしている。単品で関わりあうからおもしろいんだよこういう話は。しかも花と結婚なんてしたら怖すぎる。どうか品川には花から解き放たれて自由を手にしてほしい。
落ちこぼれだってやるときゃやるんんだ
途中から残念な日常にいきなり進級と生徒会編が乱入。それまでの品川・花メインの話から進化して、ついに念願のお友達エピソードが始まった。もはや学校のシステムを疑いたいが、生徒会長&生徒会副会長のポジションに君臨した2人。もちろん会長は花である。確かに、花の行動は明らかに自己中心的なものだったが、誰かの役に立ちたいという思いは持っていた。学校生活を最高なものにしたいと思うことだけは、唯一、花のまともなところだった。(結局は他人のためより自分のためがメインになっているので、悲しいことに口だけである…)
花が生徒会長になれたのも、確実に品川の努力あってこそであり、花は品川君じゃなきゃ絶対だめ。品川自身も少しずつ変わってずいぶんとまっとうな人間になっていく。花の行動から学び、社会適応をいち早く成し遂げることができたキャラクターであると言える。生徒会に入ることで出会った連中もずいぶんとおかしな奴らだったし、品川の中でも基準値が変わったのだろう。引きこもりもいれば、舎弟になった凛風、謎に競ってきやがる和泉岳など、熱い人が集まった生徒会。単独行動だったのに結束を固めて学校行事に勉強にと勤しむ。徐々に初めのころの花のインパクトが薄れ、品川がツッコミからボケに回ることも多くなる。このあたりから若干方向性がぶれてきた感が否めない。しかも、みんなで大学に合格しよう!とか、そんな話、後から考えられたとしか思えない演出だろう。
驚愕の最終回にネットが騒ぐ
受験した大学も最難関。スケールが違う。そしてみんな合格…!お…おぅ…落ちこぼれすらも脱したわけだ。実際、品川はもともと常識人だったのだ。少しぐれていただけで、ポテンシャルは高い男だったということよ。
そして肝心の花はどこに…?大学でも合わないけど、推薦で合格していたはずだから、どこかで会えるよね…?って思っていたらそのまま4年経過したらしい。花がいなくなってさぞ平和な大学生活を送ったことだろう。感慨深い気持ちで品川は母校である紋白高校に赴任する。そして出会うのである。トイレで。…例の花と。まったく同じ格好同じ見た目。今度は教師と生徒という形で物語を繰り返すそうだ。
いやーそれはないよ…大学合格してたならもう高校卒業させてあげりゃーよかったじゃん。それで終わりじゃん。なんで最後の最後に真面目そうな理由で花をおとして、ラストはつじつま合わないほど留年した花と品川を再会させるんだろう…もはや終わり方がわからなくなっちゃったんじゃなかろうか。この内容で本当にいいと思って…ないよね?ラストの意味不明さは天下一品。ここからまた彼らのギャグが始まるなんて見たくはない。ネットがざわつく驚きの幕切れであった。
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